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遺伝子検査を受ける決断をする ~とあるOLの乳がん日記【55】

55.

乳がん患者さんの集まりに行ったり、「おっさん」さんに話を聞いてもらったりしたけれど、当たり前だけれど自分に突き付けられた問題が減るわけではなくて、じゃあこうしようと決意を固めることもできなくて、そんな状態のまま、どうするか決めなきゃいけない日になった。

仕事を中抜けして、内科の先生に、遺伝子検査どうしますか?とか、抗がん剤、どうしますか?と聞かれても、ただでさえ思考力が落ち切っていたので、結局その場で決めることができず、じゃあ相談センターで看護師さんとよく相談して決めようということになった。


相談センターの看護師さんは、もう顔馴染みになったいつもの看護師さんだったので、私の頭がこんがらがっているのを見ると、とりあえず全部選択肢を紙に書き出してみようと、私の言葉を拾ってどんどん書き出していってくれた。

『抗がん剤をすると閉経して子供が持てなくなるかもしれない』
『再発が怖い』
『遺伝子検査をするかしないか』
『妊孕性温存をするかしないか』
などをうまく図にしていくと、実現性はどうあれ、
「遺伝子検査をした結果、抗がん剤をしなくてもよいという結果が出る」

「抗がん剤をしても、閉経せずに将来子供が持てる」
のどちらかが、自分にとって望ましいということがぼんやりと出てきた。

でも、もし、抗がん剤をしなくてもよいという結果が出たとしても、将来再発をしたときに後悔しないだろうかと思ってしまって、そこでもやっぱり決断にブレーキがかかってしまった。
そんなことをうだうだとずっと悩んでいると、時間はあっという間に過ぎていって、病院の診察終了時間が近づいてきていた。

とりあえず、1つだけ、遺伝子検査を受けるか受けないか、の選択肢だけでも決めようということになって、改めてその問題だけに向き合った。

その結果、どういう結果が出るにしても、お金はかかってしまうけれど、遺伝子検査をすればまた判断材料が増えるだろうということで、遺伝子検査をするということを伝えた。

看護師さんは、すぐさま内科の看護師さんに電話で連絡をしてくれて、内科のフロアに向かうように言ってくれた。
看護師さんはたぶん、数時間は私の悩みに付き合ってくれていたけれど、私を急かすこともなく、根気強く向き合ってくれたので、本当にプロフェッショナルだと思った。

内科のフロアに降りると、内科の看護師さんが待ち構えていた。
遺伝子検査をすることを伝えて会計をしようとしたら、今日の診察分である保険のかかった医療費と、保険のかからない遺伝子検査の医療費は、同じ日に会計できないということがわかった。

なんとかできないか、看護師さんが確認してくれたけどやっぱり無理で、後日遺伝子検査のお会計をするためだけに、病院に来る必要があるとのことだった。
看護師さんは申し訳なさそうに言って、でもそうは言っても仕組み上、仕方のないことなので、後日会社に行く前に、お会計をしに病院に行くことになった。

病院を出るとあたりはすっかり暗くなっていて、今から会社に戻ると普通に定時を過ぎる時間だった。
直帰したい気分だったけれど、机の上にPCを置きっぱなしにしてきているので、戻らなきゃなと思った。

そうして会社にこれから戻る旨のメールをすると、後輩の子から連絡が来て、PCは自分のPCと一緒に仕舞っておくから、直帰するのはどうかという提案をしてくれた。
なので心の底から感謝の気持ちを伝えて、そのありがたさに飛びつくことにした。

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