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本に呼ばれるということ

 sagashimono


 図書館や本屋で、見知らぬ本に呼ばれるという経験をしたことはありますか?

 擬人的な表現で申し訳ありませんが、要するに、その本のことを全然知らないのに、なぜか気になってしまう…
 そんな本との出会いがあったことはありますか? ということなのです。


 私にとって、そんな本の一冊が

角田光代さんの「さがしもの」

 「その本を見つけてくれなけりゃ、死ぬに死ねないよ」、病床のおばあちゃんに頼まれた一冊を求め奔走した少女の日を描く「さがしもの」。
 初めて売った古本と思わぬ再会を果たす「旅する本」。
 持ち主不明の詩集に挟まれた別れの言葉「手紙」など九つの本の物語。
 無限に広がる書物の宇宙で偶然出会ったことばの魔法はあなたの人生も動かし始める。



 角田さんといえば「対岸の彼女」や「八日目の蝉」が有名なんですが、この「さがしもの」って本には予備知識は全くありませんでした。
 ただ、ある日、本屋に行ったときに見かけて、このタイトルに惹かれてしまったのです。


 読んでみると、本にまつわる話を集めた短編集でした。

(収録作品)
旅する本
だれか
手紙
彼と私の本棚
不幸の種
引き出しの奥
ミツザワ書店
さがしもの
初バレンタイン


 9篇が収録されています。
 ひとつひとつが短いので、読み応えみたいなものはありませんが、その分、さらっと読める良書です。

 個人的には表題作より「旅する本」が好みだったりしました。

 ただ、この本には、収録作品以外にも読み処があって、作者さんの “あとがき” が、とっても面白いのです。


 “あとがき”  に「本は人を呼ぶのだ」という言葉があって、まさに、この本に呼ばれるように出会ったので、そこに共感したのを憶えているのです。

 と、考えれば、この “あとがき” を読むために、呼ばれたのかもしれませんね。