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旅人と空

都会ではどうだかわからないが
田舎にいると
気づくことがある

ふと道行くひとを見て
何に気づくかというと

歩いている
あるいは座っているのが
旅人だということにだ

歪んだ見方をすれば
余所者にすぐに気づくということ

しかしその旅人の眼を借りないと
自分たちの暮らしが
どう成り立っているか
わからない時がある

こんな辺鄙で
不便な場所としか思えない場所に
訪れる旅人たちの眼

透き通った眼
一体何が見えているのか

田園か空か村かドライブインか

当たり前過ぎて
わたしが見えないものを
見ているのではないか

空も雲も

ただ白さに隠されているだけの
雲の姿ですらも

濁ったこの曇天の雲ですらも
透明な雲を見るかのように

曇天の向こうに
晴天を見つけているかのように

わたしは旅人の眼を借りないと
空の青さにも気づかない