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テレワーク時代に人事評価制度を変更する必要はあるのか?

2020年。企業の雇用型テレワークの利用頻度は格段に増加しただろう。

既にテレワークを止めた企業もあるだろうけど、頻度に違いがあってもテレワークの利用を続ける企業は一定数ある。
働き方が変わる中で、「人事評価制度を変更する?」という話題が出ているのではないだろうか。

今回の投稿では、テレワークによってこの「人事評価制度を変更する必要があるのか?」について書いてみたいと思う。

雇用への思想が変化するなら人事評価制度は変えざるえない

人事評価制度は、あくまで制度であり、その上位には思想があるはずだ。
その思想というのは、「雇用に関する考え方」になるだろう。

例えば、
「メンバーシップ型」から「ジョブ型」へ変更しよう  のような思想変更があれば人事評価制度を変えざるえない と思う。

メンバーシップ型は、「所属」に重みがある為、報酬などに年功序列の側面が強くあるし、職種の変更についても比較的自由度が高い。
一方、ジョブ型の場合は、「仕事」に対して報酬を払うので市場評価により高騰する可能性はあるが、基本的には据え置きだ。場合によっては陳腐化し下落する。仕事のパフォーマンスにコミットしているので、職種変更も簡単にはできないだろう。

つまり、メンバーシップ型では能力評価等で能力伸長を計り年次昇給させていけば良かったものが、ジョブ型になる事で、「ジョブ自体に対価を設定する仕組み」に変わるのだ。

メンバーシップ型では「人(能力)に仕事が付く」 ジョブ型では「仕事に人が付く」という感じだろう。

どちらがベターかは企業の判断によるだろうし、今回は言及しない。
ただ評価制度には「報酬を適正化する事でエンゲージメントを高め成果を上げる」という期待があるはずだ。
思想が変化した場合、報酬の考え方が変わる場合がほとんどだろう。その為、人事評価制度の変更は不可避であると思うのだ。

思想変更が無ければ運用の問題だから制度を変える必要はない

一方、一部の大企業を除けば、現段階でジョブ型に思想変更するという変化は少ないだろう。そもそもジョブ型の一部の企業やメンバーシップ型であった多数を占める企業は変わらず従来の思想のままでいると思う。

僕はこの場合、人事評価制度を変える必要はないと思っている。(就業規則では無く、あくまで人事評価制度についてだ。)

その理由は制度自体の問題ではなく運用の問題である為だ。それ故に制度の変更は不要だと思うのだ。

そして、この運用の問題を深堀りするとテレワークにより運用課題が形成されたケースとテレワークによりが運用課題が顕在化したケースの2種類に別れると考える。

テレワークにより運用課題が「形成」された場合は、ツールにより比較的解消しやすい

テレワークによって「本当」に運用課題が形成されたケースは比較的、課題を解消しやすい。

例えば、会社へ出勤できなくなった事で、直接対面でのMTG等ができなくなりお互いの様子を伝え合う「手段」を失ってしまうようなケースだ。この場合の運用課題は「手段を失った」事だ。
10年も前なら、この手段を失う事は致命的だったかもしれない。
しかし、現代は見事にこの手段を解決するツールをテクノロジーの進化が生み出し、巡り会える事が多い世の中になった。

オンラインMTG用のツールやコミュニケーションツール、タスクツールなどは、一昔前では考えられない程、安価で手軽に操作性の高いツールを使用する事ができるだろう。

100%解決できるとは言わないが、十分使える手応えがあるのではないだろうか。(ものによっては、新しいテクノロジーを生かした方が効果的である場合もあるだろう)

このようにテレワークによる影響で運用課題が発生するのであれば、ツールで解決すべきであり、人事「評価」制度に手を触れる必要は無いと思うのだ。
(新しいツールを活用するために人事制度そのものや関連規定を変える必要がある場合はあるだろうけど)

テレワークにより運用課題が「顕在化」したケースは解決の壁は厚い

解消が難しいのは、テレワークにより本当に運用課題が形成されたのではなく、「実は」顕在化しただけのケースだ。この場合、解決への壁は厚いだろう。
(あえて、高いとは言わない。心持ちと取り組み次第で、きっと超えていける壁だと思うからだ。)

そしてこのケースの方が事象としては多いと思う。

例えば、「出勤して顔が見えないと働いているかどうか分からない。労務管理も人事評価もできない」と言う声があがるケースだ。
これは先ほどのケースと同じように見えるかもしれない。
もしかしたら同じ事もあるかもしれないが、恐らく同じではない。
同じならば顔さえ見えれば、労務管理も人事評価もできるのだ。であるならば、前段に記載のようにツールでカバーできるだろう。

しかし、ツールを導入しても解決しない。

それは、これまでの働き方(出社前提)の時点で人事評価を適正にできておらず、雰囲気に委ねている要素が大きいからだ。
つまり、このケースは、テレワークによって運用課題が発生したのではなく、もともとあった運用課題が顕在化したのだ。

これまでも出来ていない為、ツールを入れても、多くのケースでは元々できる所までしか埋める事ができない。その為、運用課題が解決しないのだ。

この顕在化した課題を解決するには、課題を解決しなくても済む方法(ジョブ型など思想の変更)を模索するか、これまで同様の思想で進めるには、能力開発や土壌作り(できるようにすること)が必要になると思う。

思想の変更は大手術となるし、簡単に変えるべきものではない。この選択をするには相当な覚悟がいるだろう。(勿論、変えないという選択もそれなりの覚悟が必要だろう。)

少し前に記述したように多くの企業がテレワークにより「顕在化」した課題に遭遇していると思う。
苦しい事だと思うが、これをいい機会と捉え、ツールの利用と同時に顕在化した課題に向き合い解決すべきなのだと思う。

向き合い、解決したその先には、会社の素敵な未来が待っているのではないだろうか。

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