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20240317「野趣と饅頭」

いい天気なら
外に出かけて
いろいろ見たらいい
なのに家に居たい気もして
怠けてたい時もある
外に出なければ出ないで
いつものような日常を得られる
それでも誰かがその外へ
まだ見ぬ何かを見つけるために
その向こうへと繰り出す
わたしの代わりにやってくれて
わたしはぬくぬく
そしてあなたはその体験を得る
どこで交換しようと
その場の時を待っている
ここであるものと
そこでの出来事を等価ではないそれを
わたしも持っているし
あなたは豊かさを保持してるだろう

収まった野趣を手懐けて
丸めて千切って宥めている
どれもが獰猛どれもが危なっかしい
それでもなんとか包めて
手にひらに落とす
柔らかでごつごつで
それでいて甘く苦い
聞こえる音叉を手掛かりにして
甘い匂いと暖かみ
冷たい喉越しと
絶え間なく流れる水
落ちて来るそれらに
手を伸ばし
手の延長としての器でもって
媒体の恩恵を委ねる
何を選んでもいいし
どう阿るもいい
あなたのその先に
わたしがいる

傾いた杖を扇形に振って
認知できないレーダーを描く
どこに誰がいるのか知らないが
見ることもできないけれど
どこからか聞こえる鐘の音で
その方角がわかるとするなら
立体の延長線上に選ばれる敵味方
屠る術を知らず
見守る子守唄
さすってぽんぽん
どこが痛いのか
炎症がちらほら瞬き
地上戦は華やかな爆撃
飛んで行けって言ってくれるなら
少しは晴れて
深呼吸できる
内外のしじまに泣きつつ笑って
手に収まるくらいの饅頭で
怖いとお茶を啜っている

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