見出し画像

20240501「野を進む」

野を駆け
四つ足みたいに俊敏に
ぶつからないように走る
ほぼこちら側に向かって来るが
反対の方へ行くものは
見当たらない
ずっと先なのか
ずっと後なのか
おそらくどこかに居て
どこかに居たのだろう
獰猛さを充し
関われない物ものの咆哮
突発的に反射を促し
それでいて躱す身のこなしで
空気を捌いている
駅はもうすぐだというのに

いつくかの川を渡り
いつくかの橋を進む
違う草花を嗅いで
どれもがどこへ収まっていくのか
その様子を知らないのだけれども
こもごものことだから
大凡に考えつつ
それでも個々の物語を紡いでるだろう
地点と地点
その渡りの間で
着地を少なくして
速度を上げ
時に零速に空を見上げ
数秒立ち尽くす
我にかえり
もう一度振り向く

進むしかないのだろうから
その時々の光景は過ぎ去り
また違う場面に遭遇する
どれもが初めてだとして
頭を下げて謙る
そこは誰の所有か知らないが
誰のものでもないのは正答
仮領分では物足りないと
誰かが呟く
耳にしている間にも
進んでいるから
聞き逃すことも多いし
応えるその瞬間も惜しいなら
一体どこで何をするというのだろう
只に進みつつ後ろを引きずって
野の上に今いることは知っている

この記事が参加している募集

朝のルーティーン

読んでくださってありがとうございます!サポートいただいた分は、noteの他のクリエーターのサポートに使わせていただきます😁