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#47 アメリカ大都市の死と生

"アメリカ大都市の死と生"を読了。
コルビュジエの輝く都市を直前に読んでいたこともあり、明確に対比している本として名高い「街づくりの名著」をようやく読むことができた!

いわゆる街づくりの専門家ではない著者が、実際に街を歩いて感じた問題点を鋭く指摘した上で、本来あるべき街・コミュニティのあり方を語ってくれている内容。
なんていうか、CX思考全快で非常に面白かった!

特に印象に残ったのは下記の3点。
・成功した都市地区の一番の基礎となる属性は、人がそれだけの他人に囲まれつつ、安心できて身の危険を感じないでいられること。無条件に他人を怖く思えるようではダメ。
・都市街路の信頼は、街頭で交わす数多くのささやかなふれあいにより時間をかけて形作られている。地元レベルの何気ない市民交流の総和が公的アンデンティティの感覚であり、公的な尊重と信頼の網であり、やがて個人や近隣が必要とする時に、それがリソースとなるのだ。
・一次用途の混合として重要なのは、人々を経済的互助性のプールとして、いつも普通にどれだけ混ぜ合わせることができるかということ。これが要点である。

街づくりはやっぱり面白い領域だな〜。
良書!
以下、学びメモ。

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・★成功した都市地区の一番の基礎となる属性は、人がそれだけの他人に囲まれつつ、安心できて身の危険を感じないでいられること。無条件に他人を怖く思えるようではダメ。★
・★それ自体として安全に貢献する資産にできる街路の特徴は次の3つ★:
①何が公共空間と私的空間かというハッキリした区分が必要
②街路に目が光ってなければいけない。その目とは、街路の自然の店番とでも言うべき人々の目。
③歩道には利用者がかなり継続的にいなければならない
・★都市街路の信頼は、街頭で交わす数多くのささやかなふれあいにより時間を呆気て形作られている。地元レベルの何気ない市民交流の総和が公的アンデンティティの感覚であり、公的な尊重と信頼の網であり、やがて個人や近隣が必要とする時に、それがリソースとなるのだ。★
・都市が利用や利用者の日常的な多様性を、その日常の街路でうまく混ぜれば混ぜるほど、そこの人々はうまく無意識に(しかも安上がりに)良い位置にある公園を活気づけて支援し、そしてそうした公園は近隣に対して空疎さではなく、優雅さと喜びを返すことができる。
・★都市における有効な近隣の物理計画は、以下の目的を目指すべき★:
①活気ある面白い街路を育むこと
②そうした街路の目を、都市よりも小さい規模と力を持つ地区全体に、できるだけ連続したネットワークとして展開すること
③公園や広場や公共建築を、その都市の網の目の一部として使うこと。その網の目の複雑さと複数の用途を強化して編み合わせるのにそれらを使うこと
④地区として機能するだけの規模を持つ地域の機能的なアイデンティティを強調すること
・どんな一次用途であれ、それ自体では都市の多様性を生み出すものとしてあまり効果がない。それが別の一次用途をと組み合わさった場合でも、同時間帯に人々を出入りさせて街路に来させるのであれば、何も実現したことにはならない。
→★ただし、もし別時間帯に街路人々を来させるのであれば、その効果は経済的な刺激をもたらしたと言える。二次的多様性を生み出す肥沃な環境が生まれたことになる。★
→一次用途の混合として重要なのは、人々を経済的互助性のプールとして、いつも普通にどれだけ混ぜ合わせることができるかということ。これが要点であり、そしてそれは漠然とした雰囲気効果などではなく、実態のある具体的な経済的問題である。
・★都市の街路や地区にすさまじい多様性を生み出すために4つの条件が必要★:
①その地区や、その内部のできるだけ多くの部分が、二つ以上の主要機能を果たさなくてはならない。できれば三つ以上が望ましい。こうした機能は、別々の時間帯に外に出る人々や、違う理由でその場所にいて、しかも多くの施設を一緒に使う人々が確実に存在するよう保障してくれるものでなくてはならない。
②ほとんどの街区は短くないといけない。つまり、街路や角を曲がる機会は頻繁でなくてはいけない。
③地区は、古さや条件が異なる各種の建物を混在させなくてはならない。そこには古い建物が相当数あって、それが生み出す経済収益が異なっているようでなくてはならない。この混合は、規模がそこそこ似通ったもの同士でなくてはならない。
④十分な密度で人がいなくてはならない。何の目的でその人たちがそこにいるのか問わない。そこに住んでいるという理由でそこにいる人々の人口密度も含まれる。
・都市街路が多すぎるのは無駄だというおとぎ話は、正統派都市計画の心理の一つとされているが、これは田園都市と輝く都市の理論家たちから来ている。
・★高密な都市人口は資産である。私たちがやるべきなのは、都市の人々の都市生活を推進することである。そしてその都市の人々が都市生活を発達させられるまともなチャンスが提供できるだけの、十分に高密であると同時に多様性のある形で集中して収容されることを希望したい。★
・都市のある一画の用途を大規模に単純化しすぎると、隣接地域の用途も単純化してしまう傾向がある。
・成功する脱スラム化とは、十分な人々がスラムに愛着を持ち、またスラムにいることに実利があるということ。
・★都市の理解で最も重要な思考習慣は次の通り★:
①プロセスを考える
②一般から個別事象へ、ではなく個別事象から一般へと帰納的に考える
③ごく小さな量からくる「非平均的」なヒントを探して、それがもっと大きくてももっと「平均的」数量が機能する方法を明かしてくれないか考える
・(解説者からのコメント)本書の根底にあるのは、実際の都市(特に彼女自身が住んでいる街路やその周辺のグリニッジ・ヴィレッジ)の詳細な観察だった。ジェイコブスのアマチュア性が非常に活きたのは何よりもその総合性であった。

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