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「組織の強み(コアコンピタンス)」と「可能性(ケイパビリティ)」を見つけるためには?組織を動かす強み(ゴールド)を見つけよう

日本企業や国民は、自分たちが「優れている」「競争優位が高い」と思っている部分が、他の国や組織では評価されていないと感じている場合があります。果たして実態はどうなのか、社会全体から見た自社を正確に理解したうえで組織をつくり、それを伝えていくことが重要です。

組織づくりにおいて「ストーリーを掘り起こし語る」ことが必要です。語るべきストーリーとはいったいどのようなものでしょうか。

組織の強み(コアコンピタンス)」や「可能性(ケイパビリティ)」に着目して、組織を動かすストーリーをどのように掘り起こし、見つけ出せばよいかを解説していきます。


コアコンピタンスってなに?

コアコンピタンス( Core Competence )とは、企業の中核となる能力、強みのことです。著書『コアコンピタンス経営』によると、「顧客に対して、他社にはまねのできない自社ならではの価値を提供する、企業の中核的な力」と定義しています。
コアコンピタンスは、単に独自の技術や製造スキルに限らず、マーケティングにおける活動や、確立されたコーポレート・ブランドの価値などもコアコンピタンスに含まれる場合があります。

1.コアコンピタンスの2つのポイント

「自社にとってのコアコンピタンスは何か」を認識するにあたり注意すべき重要な点が2つあります。

▶競合他社との差異
どんなに得意で専門的な技術があったとしても、同じような技術を持ったライバル企業が多いとなれば、それは自社のコアコンピタンスとは言えません。「うちの会社はこれが得意で、ここを大切にしている」とアピールするだけではなく、「ライバルよりどれほど優れているのか」を具体的に考え、明確にする必要があります。

▶市場環境の変化
しかし、そのタイミングでは強力なコアコンピタンスでも、市場の変化とともに時代遅れになる場合もあります。その価値を保てるかどうかは確かではありません。
持続可能な企業であるためには、現在のビジネスの中核となっている価値を大切にしつつ、未来を見据え、調査や研究、最新技術への投資を続けることが必要です。急激な変化に対応できるよう、コアコンピタンスを柔軟に設定しましょう。

ケイパビリティってなに?

ケイパビリティ(Capability)は、コアコンピタンスと同じような意味を持つ言葉ですが、考え方には違いがあるため、視点を明確に分けて考えることが大切です。

コアコンピタンス
= 企業にとって最も本質的で、他と差異を確立する中核的な能力
ケイパビリティ
= 自社だけでなく協力企業なども含めたバリューチェーン全体が持つ総合力

ケイパビリティとは、市場性や価値などの外的環境から競争優位性を生み出すことで、特定の技術ではなく「ビジネスプロセス」に重点を置いています。

2.ケイパビリティのポイント

▶競争優位性
ケイパビリティの構築は、ビジネスプロセス全体に関わるため、時間と労力がかかります。しかし、適切に構築することで、競合他社から模倣されにくく、同時に確立した能力を他のビジネスに応用することもできます。さらに、生産性の向上やコストやリスクの低減も期待できます。そのため、構築が難しければ難しいほど、競争優位性は高まるのではないでしょうか。

▶従来の方針に対する影響
ケイパビリティが変わるということは、「巨額の投資」「従業員の意識変革」「ビジネスコンセプトの変更」などが必要となり、従来の組織や方針を大きく変えなければならない場合もあります。その際、コアコンピタンスをベースに具体的なビジネスモデルを設計し、それに基づいた組織開発や人材育成を行い、事業のベクトルを合わせていきましょう。

「コアコンピタンス」と「ケイパビリティ」を見つけるためには?組織を動かす強み(ゴールド)を見つけよう

企業として、どのような目標を持ち、誰にどのような価値を提供するのか、という理念を確立する必要があります。これが「コアコンピタンス基盤」となります。

この章では、「ゴールドマイニング」というソフィア独自の手法を紹介します。これによって、会社や事業、商材の背景や想いを多くの関係者に「理解・共感・納得」してもらうことができます。
まず、企業内に眠っている理念にまつわる貴重なエピソードやストーリーを金鉱石(ゴールド)として発掘します。それを「センスメイキング」と「ストーリーテリング」で磨き上げ、組織のダイナミズムを向上させます。

1.ゴールドマイニングによる「自社の特色探し」(何を語るか)

ソフィアでは、組織強化をサポートするためにゴールドマイニングを活用し、以下の流れでストーリーを探し組み立てていきます。

▶リーダーが内省の機会を作る
自社の強みに対して、伝えたいことや語りたいことを探るため、リーダーは内省の機会を作ることをおすすめしています。新規事業の立ち上げや新商品開発のきっかけとなり、貴重なエピソードが生まれるでしょう。
まずはリーダー自身の伝えたいこと、語りたいことの理解を深めることが必要です。

  • ファウンダー(創業者)の夢

  • 創業時から伝わるDNAが現場で発揮されたエピソード

  • 現経営者の信念などにまつわるエピソード

など、掘り下げたストーリーはゴールドの宝庫です。さらに、関係者への公式・非公式のインタビューや記録収集することが効果的です。第三者の視点によって、ストーリーの奥深さをより追及できます。
クローズアップした部分を、エンターテイメント番組やドラマなどにつなげて想像する方もいるのではないでしょうか。ぜひ、自社の「プロジェクトX」を掘り当ててみてください。

▶リーダーとの対話からストーリー化したゴールドを引き出す
リーダーはメディアとなり、ストーリー化したゴールドを現場に伝えることが必要です。現場の従業員は、ゴールドを語るリーダーとの対話によって、組織や活動に対する理解を深めることができるのです。
そのため、リーダーから引き出したストーリーを理解し、身につけることが重要です。リーダーへ質問の機会があったときは、「具体的」かつ「感情にフォーカス」して聞き出すことで、自分達では気づけないような意外な発見もあるでしょう。
単なる昔話や一般論ではなく、そのエピソードが実際に起こったときの状況や人々の想い、そこから得られた教訓など、頭の中でイメージできるような情報を引き出すことが大切です。

▶社員との対話を通し、自分たちの意図や目的を探す
さらに、同僚や他の部署、関連会社のスタッフなどといった、さまざまな立場の方からヒアリングすることも重要です。リーダー視点では気づくことができない現場の強みを知ることができるかもしれません。何より顧客と最前線で接する現場のエピソードは、リアルで説得力のあるストーリーとなるでしょう。

事業を成功に導くためには、自社の強みや特色を活かした「組織風土」を創ることが必要です。そこで、会社の中で語られるストーリーが重要となります。自社の方針や具体的なイメージを伝え、多くのステークホルダーに納得・賛同してもらうことで、協力関係を気づいていきましょう。

次の記事で、事例とともに「ストーリーテリング」の重要性を理解し、「いかに物語るか」を押さえましょう。

2.腹落ちのためのプロセスが大事

ある経験や出来事に、自分なりの意味を見つけることを表す「センスメイキング」という概念がありストーリーの要素が大きく関わってきます。
センスメイキングとは、ビジョンや戦略についてトップマネジメント層が「意味づけ」を行い、それを従業員や関係者に伝えることで「なるほど、そういうことか」という納得感や腹落ち感を形成していくプロセスです。
ただ、社員や関係者が実際に行動をするかどうかは、ストーリーをどのように伝え、受け手がどのような印象を持つかによって変わってしまう点に注意が必要です。

よくある過去のエピソードや、事実の羅列では共感されにくいため、社内報などのインターナルコミュニケーションメディアを使い、心に響く具体的なストーリーを「企業の方針や価値観、活動内容」として伝達していく施策が有効になるでしょう。これにより、組織基準の浸透や社員モチベーションが上がり、会社の士気を向上させながら組織風土を構築していくことが可能となります。

センスメイキングを踏まえたインターナルコミュニケーションは、組織風土改善だけでなく、お客様や社会にとってより信頼を与える人材へ育成する効果も期待できます。

人の心の動かすのは理屈ではなく物語(ストーリー)

「ストーリー」とは1つの物語として、「人を感情的に惹きつける面白いもの(=エンターテイメント)」として考えています。相手のエモーションに働きかけ、本心から納得を引き出すことで秘めたるパワーを発掘し、組織として無限の可能性を最大に切り開いていくことができるのです。

ビジネスの現場は、多くの人との関わりによって成り立っているからこそ、現実のシーンすべてにストーリーが存在しています。背景と目標を併せ持ったストーリーは、相手の心を動かし、強く印象付けるのです。そのため、ストーリーを企業に眠るゴールドとして発掘・共有することで大きな価値が生まれるでしょう。

また、ケイパビリティの構築は、企業活動のすべての側面に関連します。商談やプレゼン、社員教育などの会話のなかで、ストーリーテリングを意識できるようになれば、好ましい組織風土の構築を後押しできるでしょう。

まとめ

コアコンピタンスとケイパビリティの違いから始まり、それを現場で具体化し理解・共感を生むためのゴールドマイニングとセンスメイキング、ストーリーテリングまで解説してきました。好ましい組織風土の構築には、コアコンピタンスやケイパビリティにもとづいて「ストーリーをデザインする」ことが重要であると理解していただけたのではないでしょうか。ぜひ貴社の組織づくりにお役立てください。

またソフィアでは、ストーリーを探し組み立てるだけではなく、それらを広く伝えるための各種ツール作成もお手伝いしております。詳しくはこちらからお気軽にお問い合わせください。


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