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「職場ってそもそも何?」 から良い職場をつくるためのコミュケーションスキルを学ぼう

普段意識せずに「良い職場」という言葉を使っているかと思いますが、どういったものなのか問われると具体的に表現するのは難しいかもしれません。
また、テレワークやAIが普及する中で、時代と共に職場のあり方が変遷し、今後どのように舵を切れば良い職場がつくれるのか、お悩みの方もいるでしょう。

今回は、職場とはそもそもどのような場所なのかを紐解くことで、良い職場を形成するヒントを見つけていきます。
これからの職場において重要となるコミュニケーションスキルも紹介しますので、参考にしてみてください。


そもそも職場とはどのような場所なのか

「職場」とは、多くの人々が多大な時間を費やす場所であり、業務や執務を行うための物理的な空間や設備環境としてだけでなく、社会的な関係を築き、発揮する場としても捉えられることがあります。言い換えれば、職場は業務遂行や成果に関連する機能的な側面と、日々の感情や葛藤を生み出す社会的な側面の両方が存在していると言えるでしょう。生産性を向上させる場所でありつつ、悩みや葛藤の根源でもある職場とは、どのような場なのでしょうか。

職場を紐解く「ゲマインシャフト」と「ゲゼルシャフト」

上記のとおり、業務や生産性を産み出す職場は、一方で悩みや葛藤を産み出す場でもあります。学者のフレームワークを照らし合わせながらこの二重構造を紐解いていきましょう。
ドイツの社会科学者のフェルディナント・テンニースは、「ゲマインシャフト」と「ゲゼルシャフト」という2つの概念で、あらゆる集団を類型化しています。
ゲマインシャフトは、血縁・家族や、地域集団、企業などにおける社内サークル、創業期のベンチャーなど、構成員の情愛や精神的意思でつながる集団や組織とされています。
一方ゲゼルシャフトは、国家機関、政党機関、都市などの自治体、大企業などといった、特定の目的達成のためなどの合理的意思でつながる集団や組織だと位置付けられています。

では、職場とはゲマインシャフト(精神的情愛的集団)とゲゼルシャフト(合理的功利的集団)のどちらに分類されるのでしょうか。
 
大企業や組織の一部に分類される職場は、社会的な集団の典型であるゲゼルシャフトの性質を強く持つはずです。しかし、一般的に職場は比較的小規模であるため、従業員同士が顔を合わせながら仕事をする環境にあります。従って、従業員同士のコミュニケーション頻度も高くなり、業務の範囲や役割を超えた人間関係が構築されることが考えられます。
つまり、職場は機能的、精神的な面の両面を併せ持っていると言えるでしょう。

生産性向上のカギはコミュニケーション

職場は、機能的合理的側面と精神的情愛的側面が複合しているため、時には「忖度」「本音と建て前」などの二重構造を生みます。この二重構造のバランスが崩れることにより、うつ病、離職、ミスコミュニケーションといった生産性を損なう問題が発生するのです。
 
物理的資本ではなく人的資本が生産性やイノベーションのカギを握る現代の産業構造は、人的資本のパフォーマンス向上=生産性の向上と言っても過言ではありません。
組織の人的資本のパフォーマンスを向上させるには、職場における機能的合理的な側面と情愛や精神的側面の均衡が重要です。
 
そして、その均衡を調整するのはコミュケーションです。円滑なコミュニケーションのためには、それに伴ったコミュニケーションが必要となります。
つまり、職場で必要なコミュケーションスキルを身に付けることは「良い職場」の形成に直結するのです。

これからの「良い職場」をつくるために

現在、コロナ禍を経て働き方が大きく変わっているため、職場で求められるコミュニケーションの形も大きく変化しています。企業は、自社の変化に適応するために新しいコミュニケーションのあり方を再考する必要があり、積極的に変化を受け入れる姿勢が重要になってきます。
 
また、コロナだけでなく、AIなどの技術進化による変化の波も大きくなっています。
将来の職場では、これまで人間が担っていた業務がIT化され、人間はより創造的な業務に取り組むことが予測されます。それに伴い、従来のコミュニケーションの形とは異なる複雑でクリエイティブな会話が求められるでしょう。
 
以下では、これからの職場において重要となるコミュニケーションの手法を紹介します。

1.対話

対話とは、お互いの立場や意見の違い、感情的な葛藤を理解し、そのズレを擦り合わせることを目指すものです。
職場においては、モチベーションや雰囲気、社員同士の関係性など目に見えない部分を表出したり、言語化したりすることに役立ちます。
ただし、感情や心情を表出することは、胸襟を開くことであり、心理的抵抗を伴います。1on1などの場で時間や場所を使って、相手の言葉と同じ土俵に立ち、安心感を抱ける空間を作ることが大切です。
 
共感や感情の力を活用した対話は、成否がない理屈では片付けられないような問題を扱うときや、あちらを立てればこちらが立たないというような関係の窮地に陥った際に効果的なコミュニケーション手法です。
 
対話についてのより詳しい解説は下記をご覧ください。

2.ディベート

ディベートとは、自分たちの正しさを相手に認めさせることを目指す討論方法です。従って、ディベートでは、論理的に説明し、証拠のデータを集める必要があります。
 
公式には、第三者が客観的に判定する役割もありますが、非公式な場合は、双方が合意するか、あるいは一方が諦めることでディベートは終了します。
 
ディベートをゲームとして実施することによって、反対意見や異論を感情に左右されず整理することができます。
 
ディベートについてのより詳しい解説は下記をご覧ください。

3.ディスカッション

ディスカッションとは、対立せずに意見を交換し、納得できる結論を探る作業を指します。これは建設的な議論を行うことです。
議論の結果として、妥協的な合意に達することもありますし、挑戦的な合意に達することもあります。特定の課題を解決するための意思決定や、仮説の形成において、ディスカッションが行われることもあります。
 
ただし、ディスカッションは必ずしも意思決定を目的としているわけではなく、コミュニケーションの一環としてディスカッションが行われることもあります。ディスカッションであるかどうかに関わらず、建設的な議論のスタンスを職場に浸透させることで、生産性の高い雑談が可能となるほか、会議室で堅苦しい議論をする必要もありません。
 
ディスカッションについてのより詳しい解説は下記をご覧ください。

4.レトリック

レトリックとは、主に説得やスピーチなどの場面で使用される表現方法で、情報を伝える側が相手を納得させたり説得したりするために利用されます。
ビジネスの場でレトリックを活用するシーンとしては、新規事業や新商品の開発担当者が上司にプレゼンテーションを行ったり、上司が部下を業務に動機付けたり、営業担当者が顧客に提案を行ったりする場面が挙げられます。
 
詭弁という訳語もしばしば使われますが、ビジネスにおいては、すべてのコミュニケーションが詭弁でありレトリックであると言えます。つまり、レトリックは問題解決に向けて効果的なコミュニケーションであり、心理的な抵抗を軽減する手法でもあります。
 
レトリックについてのより詳しい解説は下記をご覧ください。

5.ストーリーテリング

ストーリーテリングとは、物語を語ることによって、より深い印象を与え、理解を促す手法です。ビジネスの世界では、プレゼンテーションや提案の場面など、語り手が内容をより深く伝える必要がある重要なシーンで、度々ストーリーテリングが使用されています。
 
語るという行為は、人間にとって根源的なものであり、あらゆる民族に神話や物語が存在します。そして、それらのストーリーは、数多くの世代によって口承されてきたものです。
口伝えの物語は、伝言ゲームのように言い間違いや記憶違いによって内容が変わってしまいます。しかし、神話や物語は、変化しない部分を残しています。
 
この意味では、神話や物語は、人々の深層構造に迫る手段となり、ビジネスにおいても、この物語を積極的に活用することで、聴く人の心の奥深くに訴えかける可能性が生まれます。
 
ストーリーテリングについてのより詳しい解説は、以下をご確認ください。

6.ファシリテーション

ファシリテーションとは、会議やグループワークなどのプロセスにおいて、進行や意思決定を促進する技法を指します。
現代の職場は、プロジェクトが煩雑になる一方で、成果や結果を短期間で追及しなければなりません。それに伴い問題も複雑化し、関係性も壊れやすくなっています。
ファシリテーションは、業務と人のバランスを保つために最も必要なコミュニケーションスキルと言っても過言ではなく、近年その重要性はますます高まっているのです。
 
具体的には、メンバーのサポートや社内外の関係者との調整・交渉を行います。メンバーの納得感を醸成し、職場内外の状況の変化に柔軟に対応しながら、メンバーのモチベーションを高め、安心して活動できる環境を作り出します。
 
外部のパートナーや研修講師といった、専門的なトレーニングを受けたファシリテーターにファシリテーションを頼むことも問題解決の手段となりますが、均衡調整は、さまざまな場面で常に行わなければなりません。つまり、職場のリーダークラスにとっては、ファシリテーションスキルは必要不可欠なコミュニケーションスキルです。
 
ファシリテーションについてのより詳しい解説は、下記をご確認ください。

まとめ

職場とは、機能的合理的側面と精神的情愛的側面が常に併存している場所であり、その均衡が崩れることで「離職」「ミスコミュニケーション」「うつ病」等のさまざまな問題が発生します。その均衡を調整し、生産性を維持するためには、コミュニケーションが欠かせません。
つまり、「生産性が高い」=「人間関係が良好」であり、偏りが生じると業務が上手く回らなくなり、良い職場とは言えなくなってしまうのです。

良い職場をつくるためのポイントは均衡を調整するコミュニケーションにあります。コミュケーションを活性化させ、良い職場をつくっていきましょう。

社員のコミュケーションスキルを向上させたい、コミュニケーションを活性化させるためのシステム構築にノウハウがないといった際は、ぜひソフィアにご相談ください。