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風景のレシピ #58 “個人史的な楽器店”| nakaban

「旅と記憶」を主題に絵を描いている画家のnakabanさんが、風景画の制作過程をレシピ化するこころみです。序文はこちら



風景のレシピ #58 “個人史的な楽器店”

調理時間:4時間
 
材料: 
薄明かりの空間:ひとつ
ショウウインドーのある店:ひとつ
石畳の路地:ひとつ
楽器:適宜


1.薄明かりに覆われたアーケードの内側の空間をつくる。
  足下には石畳を敷きつめる。


2.埃っぽいショウウインドーのある店舗を建てる。
  ウインドーの内側には、ガラスの飾り棚を取り付ける。


3.自分の人生を振り返って、思い入れの深かった楽器を並べる。
  木のやさしさ。
  鉱物の透徹。
  皮の哀しみ。
  プラスチックのあどけなさ。


調理のコツ
*回想のページをめくるように。


120度の角度の角地のショウウインドー
眠る楽器はもう音楽を奏でることはない それとも?
隙間に苔が生えた石畳
できあがり。クリックすると拡大して見られます。


◎プロフィール
nakaban (なかばん)
画家。絵画、書籍の装画、文章、映像作品、絵本を発表している。
新潮社『とんぼの本』や本屋「Title」のロゴマークを制作。
著作に『ダーラナのひ』(偕成社)『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)『窓から見える世界の風』(福島あずさ著、創元社)など。
好きなことは果樹栽培、ポストカード収集、そしてもちろん絵を描くこと。
本を読むのが遅い。
広島市在住。www.nakaban.com

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