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風景のレシピ#68 “盛夏”| nakaban

「旅と記憶」を主題に絵を描いている画家のnakabanさんが、風景画の制作過程をレシピ化するこころみです。序文はこちら



風景のレシピ#68 “盛夏”

調理時間:8時間

材料:
空:一面
雲:たくさん
坂道:一本(側道あり)
郊外の町並み:適宜
樹木:適宜
落とし物:ひとつ


1.空を広げ、その青が深くなるまで天日にさらしておく。


2.空にたくさんの雲を流す。
  手に届かない高さにある水分と冷涼な風を雲に振りかける。


3.登り坂をバターナイフで盛り、道の左右に青く染まった郊外風の町並みを並べる。


4.家々に樹木を添え、風に揺らす。
  日陰でしばらく休んだ後、坂を登ってあの日に無くした落としものを取りに行く。


調理のコツ
*降り注ぐ日光のみでなく、青い空の反射をシャワーのように浴びる。

坂の上に水色の壁
剥がれたポスターの跡
雲の眩しい季節
できあがり。クリックすると拡大して見られます。


◎プロフィール
nakaban (なかばん)
画家。絵画、書籍の装画、文章、映像作品、絵本を発表している。
新潮社『とんぼの本』や本屋「Title」のロゴマークを制作。
著作に『ダーラナのひ』(偕成社)『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)『窓から見える世界の風』(福島あずさ著、創元社)など。
好きなことは果樹栽培、ポストカード収集、そしてもちろん絵を描くこと。
本を読むのが遅い。
広島市在住。www.nakaban.com

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