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風景のレシピ #45 “中庭”| nakaban

「旅と記憶」を主題に絵を描いている画家のnakabanさんが、風景画の制作過程をレシピ化するこころみです。序文はこちら



風景のレシピ #45 “中庭”

調理時間:5時間

材料:
木漏れ日:適宜
庭木:4、5本
苔むしたタイル:地面一面に
土壁:空間を一周
大きめの円卓:一台
鳥の声:適宜
木の椅子:1、2脚
小動物:一匹
額装された絵画:数点
果物:適宜
ワインボトルやコーヒーカップ:適宜
鉢植え:3鉢
木の扉:ひとつ


1.金色の眩しい光を全体に振りかける。
  光のあわいに庭木を植える。庭木はたちまちのうちに成長する。


2.よく練られたその地方の土の壁でこの場所を取り囲む。
  庭木に配慮しながらテラコッタのタイルを敷き、苔むすまで熟成させる。


3.光のひときわよく当たる場所に大きな円卓、椅子を置く。
  好きな場所に鉢植えを3つ並べる。


4.壁に扉をしつらえ、その周辺に絵画を架ける。
  果物や食器を円卓に並べる。


5.椅子に座り、日がな一日過ごす。
  鉢植えの水やりを忘れないように。


調理のコツ
*他人の夢を覗き見るように


苔に覆われながら呼吸するタイル
聖人の肖像
星図を描くように果物を並べる
できあがり。クリックすると拡大して見られます。


◎プロフィール
nakaban (なかばん)
画家。絵画、書籍の装画、文章、映像作品、絵本を発表している。
新潮社『とんぼの本』や本屋「Title」のロゴマークを制作。
著作に『ダーラナのひ』(偕成社)『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)『窓から見える世界の風』(福島あずさ著、創元社)など。
好きなことは果樹栽培、ポストカード収集、そしてもちろん絵を描くこと。
本を読むのが遅い。
広島市在住。www.nakaban.com

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