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【短歌】ぼくの泪を誰も知らない—令和6年春の自撰—

奪われしもののあまりに多かりき盛りを知れず朽ちてゆく花

あたたかい手もほお寄せる肌もなく泪は枯れてため息ばかり

冷えきった氷の壁が厚過ぎて未だに浮上できないクジラ

ちょうど良い関わり方が分からない愛してもらえたことがないから

今日もまだ起き上がれない今日もまだ自殺はしないのと引き換えに

遺言が書き終わらないそれだけで死でない方に居続けてゐる

良い子でいなければ生きられなかったぼくの泪を誰も知らない

届かない文(ふみ)したためる戦場の兵士のような便りをきみに

こわくないよきっとあなたはだいじょうぶオンサンザンザンサクソワカ

昼間には言えないことを伝え合う深夜を言い訳にしてふたり

はじめての時とおんなじ目をしてる降り来る雪をじっと見ている
(東京に初雪が降った日に)

日が延びて暖かくなって有難い?それじゃあ可哀想だよ冬が

如月の天地(あめつち)に立つ我独り共に歩みし君ぞ恋しき
(今年の作ではありません)

妖気みつ春の心をなぐさむる花の雨こそあはれなりけれ
(昨年の歌です。元の記事はこちら↓)

後記

本当は言いたくないことだけれど、ここにこうして記事を書いて投稿するのは、考えなければならないことが多く負担が大きくて、いつも大変なストレスを感じてしまう。

今年は年初から物事が思うように運ばないことが続き、とても記事を書くどころではなかった。けれど発表できていない作品が溜まってゆくストレス
もまた小さくはなかった。

今回は辛い内容の歌が多く、記事を作るに際して作歌当時の苦しみを思い出してしまうことは避けられず、そうした意味でも負担は大きかった。

大切な自分の作品を発表することを何より幸せに感じて楽しみたいと願うのに、それが中々できない。

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