見出し画像

パルコだからこその価値の追求を。ECサイトの枠を超えた取り組みで、より多くの人に認知してもらう /【事例】ONLINE PARCO

時代を敏感に感じ取り、新しい時代を切り拓いてきたパルコ。
「店舗」のイメージが強いパルコですが、コロナ禍で休業を余儀なくされる中、ECサイトの売上は右肩上がりで伸長していきました。

noteでは、パルコのECサイト「ONLINE PARCO」を担当する株式会社パルコの竹田 慶たけだ けいさんと猪俣 霞いのまた かすみさんにインタビュー。ソウルドアウトからは、営業担当の野中のなか、歴代の営業担当星川ほしかわ萬田まんだが参加しました。

ONLINE PARCOは3月にリニューアルオープン。これからどのような姿を目指していくのでしょうか?

株式会社パルコ
設立:1953年
本社:東京都豊島区

今回インタビューしたのはパルコ公式通販サイト「ONLINE PARCO」のご担当者です。

ONLINE PARCOだからこそのコンテンツを発信

ONLINE PARCO

ONLINE PARCO独自の企画をつくる

─── はじめに、竹田さんと猪俣さんの職務内容を教えてください!

竹田:CRM推進部でONLINE PARCOの企画作成や、SNSの運用を担当しています。

猪俣:私も竹田と同じく、CRM推進部に所属しています。ONLINE PARCOは今年の3月にリニューアルしまして、その業務にも携わりました。

2015年、ウェブを通じて商品取り置き・購入サービスを行なう「カエルパルコ」という前身がありました。その後、ECサイト「PARCO ONLINE STORE」へと変化し、2023年3月に「ONLINE PARCO」に生まれ変わりました。


─── ONLINE PARCOの企画というのは、店舗で行なわれる企画とは別で開催されているのでしょうか?

竹田:そうですね、ONLINE PARCO限定の企画です。企画では、新しいショップに期間限定のポップアップストアに出店してもらったり、既存のテナントさんに参加してもらい、企画にまつわる商品を売り出したりします。

以前、2月22日の「2」が揃う猫の日にちなんだ企画を行ないました。猫好き芸人として知られる「さらば青春の光」さんとコラボしてパルコオリジナルのグッズも作りました。

企画は内容によって結果の上下は激しいですが、この猫企画や陶器市企画は人気があり、何度も開催されています。

猪俣:全店舗で開催されるようなプロモーション企画では宣伝部が主体となって動いており、ONLINE PARCOも連動することがあります。


リニューアルでより新しい価値を届けられる場所に

─── ONLINE PARCOは、2023年3月「PARCO ONLINE STORE」から生まれ変わりました。どのような背景があるのでしょうか?

猪俣:コロナ禍で店舗休業を余儀なくされ、ECサイトの利用が進み、売上が急上昇していきました。それで、既存のシステムでは短期間の大量のアクセスに耐えられない、などの問題が起きてしまっていたんです。

また、ONLINE PARCOはモール型ECサイトです。お客様にも、テナントさんにも使い勝手がよく、より多くのテナントさんに使ってもらえるようなECサイトにしたいという思いもありました。

ECサイトのリニューアルのプロジェクトが完了し、「箱」はできました。その中身を充実させていくフェーズに入り、より多くの方に愛されるECサイトにしていきたいです。

─── 反響はいかがでしょうか?

猪俣:どのトンマナのテナントさんにも合うように、スタイリッシュでシンプルなデザインが好評です。使いやすさも向上して、ポジティブな反応が多いです。

テナントさんからの要望も反映し、管理画面でカスタマイズできることが大幅に増えました。多くのテナントさんが興味をもってくれています。


ONLINE PARCO独自のコンテンツ

─── 多くのテナントさんに使ってもらいたいですね!ほかに、ONLINE PARCOで注力していることはありますか?

猪俣:企画を行なう際に販売するオリジナルグッズの商品開発にも注力してます。ONLINE PARCOがAmazonや楽天とは違う商品を売っていて、わざわざ来たいと思ってもらい、買ってもらうことが大切だと思っています。ほかのECサイトとは付加価値をつけて差別化していきたいです。


─── ONLINE PARCOでしか買えない商品が増えていくとおもしろそうですね。ソウルドアウトの星川さんは、過去の企画で印象に残っているものはありますか?

星川:お取引を始めた初期の頃に開催された企画ですね。ライブコマースサービスを活用したライブショッピング企画「PARCOオンライン商店街」です。

ショップ店頭からのライブ配信で店頭とお客さまをつなぎ、相互のコミュニケーションを可能にする新しいショッピング体験で、ECがコロナ禍で徐々に騒がれ始めたタイミングだったので、新しい取り組みであり印象的でした。

猪俣:ありがとうございます。2020年のコロナ禍では売上もかなり伸びました。広告の反応もかなりよかったですね。

─── ユーザー視点でも、真新しい企画をみつけると、ONLINE PARCOに行くのが楽しみになります。企画をつくる際の方針はありますか?

竹田:ありますね。私たちパルコは企画をすごく大切にしています。ROASが低くても、認知としてやっている企画もあります。

猪俣:部内では、冬と夏くらいに次の半年間の計画を立てます。どの時期に、どのような人に対して、どのような価値を感じてもらいたいのか、という思いをもって企画を考えます。


─── デジタルマーケティング回りの取り組みだと、Instagramにも力を入れて取り組んでいらっしゃいますよね。

竹田:そうですね。Instagramでも、ONLINE PARCO独自のコンテンツを発信しようとしています。

ショップの商品の情報だけをONLINE PARCOのアカウントで発信してもショップと同じですし、できるだけオリジナルアイテムの情報や独自のコンテンツを発信しようという方針をもっています。

これまでは主にフィード投稿を行なっていたのですが、エンタメ系のものでしか良い反応がない状況だったので、最近はリール投稿も始めました。まだまだ試行錯誤中です。

ソウルドアウトとの取り組み

広告出稿を増やすタイミングでのご相談

─── それでは、ソウルドアウトとの取り組み内容について伺っていきたいと思います。最初の取引開始のきっかけを教えてください!

猪俣:2017年頃、ECサイトの認知度を高めるべく、広告出稿を増やしていくことになりました。配信媒体も増やしたいと考え、前代理店からの変更を検討していたんです。

特定の媒体に強い代理店ではなく、様々な媒体に専門性をもっている代理店を探していました。そこで数社の中から、ソウルドアウトさんにお願いすることになったんです。3年前から一緒に取り組んでいます。


EC売上に占める広告経由売上が18%まで上昇

─── どのような取り組みをされているのでしょうか?

萬田:メインは、Googleのショッピング広告です。現在はP-MAXの配信にもチャレンジしていて、配信を拡大しています。

Facebook・InstagramやTwitterなどのSNSは、企画に合わせて配信を強化しています。ほかにもYahoo!、Googleの検索広告やディスプレイ広告、昨年は福袋のタイミングでPinterestやTikTokにもチャレンジし、新規ユーザーにアプローチすることができました。

現在は広告の取り組みがほとんどですが、今後は、現在内製で取り組まれているInstagramのご相談もいただいているので、そういったところもサポートさせていただきたいと考えています!

─── 成果は実感されていますか?

猪俣:Googleショッピング広告を始めたときのインパクトは非常に大きかったのを覚えています。

いくつかのテナントさんでは、Googleショッピング広告がきっかけで商品がよく売れるようになり、それからはECサイトにも力を入れてくれるようになりました。

もともと、広告経由売上をモニタリングはしていたものの、目標値として追いかけるなどはしていなかったんです。

ですが、広告経由売上を見せていただいたときに、数字をみて驚いたのを覚えています。売上の数%でも大きなインパクトになるので、すごくありがたかったですね。

星川:モニタリングしはじめたときには、ECサイトの売上全体の8%ほどだったのが、12~13%ぐらいまで上がりました。

野中今だと、18%ほどまで上がってきています!

竹田:Googleショッピング広告は、現在P-MAXに切り替えて挑戦しています。7月からはCriteoの配信も始めました。これからさらに良い結果を期待しています!


広告成果を引き上げる肝は企画鮮度を重視した“スピード対応”

─── これまで星川さんや萬田さん、現在は野中さんというように、営業担当も変わってきていますが、「ONLINE PARCOならでは」の広告配信はありますか?

野中:企画の配信ですね。定期的に企画が行なわれるのがONLINE PARCOならではなので。

ほかの企業さまだと、夏のセールや冬のセールのような単発でのイベントはよくありますが、ここまでたくさんの企画が開催されているのはONLINE PARCOだけだと思っています。特長であり、強みですね。

─── 企画の配信で、気を付けていることを教えてください!

野中:限られた企画の期間内で成果を出すために、特に気を引き締めて配信しています。

たくさんあるのですが、例えば、在庫状況に応じてクリエイティブの差し替えを素早く行なうことは企画ならではだと思います。

また、初動の配信結果があまりよくなかったときのために、次の打ち手も配信前から準備しています。必要となった場合にその打ち手をすぐに実行できるよう、各運用メンバーに事前に伝えています。

─── 企画はある程度、型が決まっているものなのでしょうか?企画の配信設計はどのように決めていくのでしょうか?

野中:企画の概要をいただいたら、ターゲティングや配信手法、クリエイティブなどを私たちからご提案させていただきます。過去にも実施したことのあるイベントであれば、過去の結果も参考にしながら決めていきます。

Yahoo!社が提供する「DS.INSIGHT」というリサーチツールを使って実際に調査することもありますね。

例えば、ターゲットとなる年齢層の人がどのようなキーワードで検索しているのかを調べ、そのキーワードに沿ったクリエイティブを作ってみると、実際にクリック率が高くなったこともありました。

星川:私が担当していたときに「お取り寄せグルメ」という企画が行なわれた際にこの手法を使いました。

DS.INSIGHT」で「お取り寄せグルメ」関連のキーワードで検索している方が、ほかにどのようなキーワードで調べているのかを調査しました。ある雑誌名が上位に現れたので、その雑誌からお取り寄せをしている層にアプローチできそうなクリエイティブを作成したところ、かなり成果がよかったです。

企画の広告配信を始めた頃は手探りで、検証を重ねましたね。今はFacebook・Instagramをメインに配信しながら、Yahoo!、Googleの検索広告やリターゲティングの配信をする、といったフォーマットが数年で固まってきました。


ソウルドアウトとチームとなって取り組む

─── ソウルドアウトチームにはどのような印象をもっていますか?

竹田:私自身、広告の専門的なことはわからないので、噛み砕いて説明してもらえるので大変ありがたいです。

あと、私たちの要望や相談に対しても、とても丁寧に対応してくださいます。例えば、ヴィンテージの企画のときのことです。あるヴィンテージストアにポップアップで参加してもらったのですが、10万円以上する海外から輸入したヴィンテージの自転車がなかなか売れなくて。

相談したところ、記事を書いて、興味関心をデザイナーに絞って配信してみてはどうかと答えていただき、実際にやってみたところ、なんと売れたんです!嬉しかったですね。無邪気な相談にも丁寧に応えてくれたので売ることができました。

萬田:Facebook・Instagram運用を担当しているメンバーとも相談してご提案させていただきました。ECで高単価な商品を売りたい場合に適している配信手法や、ヴィンテージアイテムは目で見て印象に残りやすいので、画像を使って記事を配信することなどもお伝えしました。


─── 猪俣さんはいかがでしょうか?

猪俣:チャットツールを使って都度連絡をさせていただいており、返事もかなり速いです。ここまで丁寧な代理店さんは本当に少ないと思っています。非常にありがたいですね。

また、半年に一度振り返りをしているのですが、その際の資料はかなり作り込んでまとめたものをいただけますし、ご提案もいただけます。私たち側からのたくさんの要望にもお応えいただいています。


─── ありがとうございます。ソウルドアウトと一緒に取り組みを続けていますが、どのような点を評価していただいているのでしょうか?

猪俣:内製で広告運用もできるのですが、自社で続けていると同じような運用になってしまい、おそらく収束してしまうと思うんです。配信媒体を増やしたいと思っても、内製では限界があります。

ソウルドアウトさんは、返事が速いとか、日頃の対応がしっかりしているとか、本当に小さな積み重ねではありますが、そういった点がソウルドアウトさんにお願いしたい理由でもあります。


これからのONLINE PARCOとソウルドアウト

好事例を展開し、テナントさんの売上を上げていきたい

─── それでは、ソウルドアウトとこれから一緒にやっていきたいことを教えてください!

竹田:知見も少しずつたまってきました。いい成果事例をたくさんつくって、各テナントさんに共有していきたいです。広告の結果とそのインパクトを伝えなければならないと思っているので、 好事例をパターン化して伝えていきたいです。

猪俣:そうですね。あとは、エンタメの商品やコラボ商品は自然と売れますが、ほかの商品でも、広告のターゲティングや配信媒体を選定して戦略を立てたことで成功した、といった事例をつくりたいです。広告でONLINE PARCOを知らない人が見つけてくれて、それが売上にもなっていく、という流れができたらいいですね。

ONLINE PARCOになってまだ数か月ですが、ここ半年、1年はどんどん数字がシビアになってくると思います。新規ユーザーを増やす施策にも積極的に取り組んでいきたいです!


─── パルコさんは、店舗が主要な駅にあって店舗自体が認知のきっかけになっていますよね。社内でのONLINE PARCOの立ち位置を教えてください!

猪俣:おっしゃる通り、「パルコ=店舗」といったイメージはあると思います。社内でのONLINE PARCOの立ち位置も、店舗の売上を上げるための一つのツールという認識をしている方が多いかもしれません。

ONLINE PARCOは、テナントさんありきで成り立っています。テナントさんに使ってもらうことが大事なので、テナントさんの売上を上げていくための取り組みには力を入れていきたいです。ちなみに現在では、売上の4割ほどがONLINE PARCOでの売上になっているテナントさんもありますね。

ですがリニューアルを機に、チケット販売や抽選機能、これからリリースされるガチャ機能やオンラインくじのような機能など、一つのツールといえども、様々な機能を備えるようになります。「ONLINE PARCOでは店舗にはない体験ができる」ということを広めていきたいです。


ONLINE PARCOの文化をつくりたい

─── ソウルドアウトのメンバーも、取り組んでいきたいことを教えてください!

野中:私は、ONLINE PARCOの文化をつくってみたいです。

最近ニュースを見ていて、夏の福袋が風物詩になってきていることを知りました。そんなふうに、「〇〇といえばONLINE PARCOだよね」というものをつくってみたいと考えています。

猪俣:おもしろそうです!店舗のイメージが強いパルコですが、ONLINE PARCOならではのコンテンツを増やして、それを広告やSNSで認知させる。そういった流れをつくっていきたいです。

星川:私は現在主担当は引き継いでいる状況ですが、パルコさんとソウルドアウトとで協力して、企画を作ってみたいです。

私たちはパルコさんから企画内容を教えていただき、そこに広告としてどう当てはめていくかを考えます。ですが、先にターゲティングを話し合い、企画を決めていけば、広告やクリエイティブのパターンも増えていくかもしれません。

猪俣:いいですね!星川さんのお話とも重なりますが、広告代理店はただ広告をやっていればいいわけではないですし、私たちも同じく、ただECだけをやっていればいいわけではありません。商品開発などにも幅を広げ、たくさんの人に認知してもらおうとしています。

広告配信だけではなく、配信の手前にある企画のところも、何か一緒にできるといいですよね。そうすれば、いろいろなアイデアが出てきそうな気がしました。

これからもよろしくお願いします!

編集後記
このチームのすごいところは、メンバー全員が「ONLINE PARCOはただ買い物をするだけの場所ではなく、ならではの『文化』を楽しめる場所でありたい」という同じ思いをもっているところ。これから仕掛けていく企画がとても楽しみです。

【インタビュー・執筆・編集:みやたけ(@udon_miyatake)】


👇 対談・インタビューはこちらのマガジンにまとまっています!


ソウルドアウト公式noteでは、週に1~2回ほど、デジタルマーケティングに関する情報をお届けしています!
ぜひ、フォローをお願いします🔥

この記事が参加している募集

マーケティングの仕事

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

デジタルマーケティングに関するご相談・お問い合わせはこちらからお願いします🔥