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DAY10:殺陣・アクションがすごい作品〜劇団☆新感線『髑髏城の7人 Season鳥』〜

 劇団☆新感線を知ったのは大学2回生の頃。
 友人に「商業演劇で観やすいものはないか」と問うた時のことだった。当時の新感線は会員でもチケットが入手しづらく、当たり前だがチケットの単価が超劇場の2〜3倍はする。貧乏学生だったわたしはその時点で観劇を諦めてしまい、ついぞ劇場で観ることはなかった。

 時は過ぎて29歳の夏。
 梅田ブルク7のど真ん中で、『髑髏城の7人 Season鳥』を観劇。
 お目当てはひとつ。早乙女太一の”殺陣”だ。


 『髑髏城の7人』は“花・鳥・風・月(上弦・下弦)”、“極”の6作品・5シーズンがある。作品毎に名の知れた俳優が起用されている。
 Season鳥は阿部サダヲ、森山未來、早乙女太一、松雪泰子など、豪華な顔ぶれ。出演者の多さに加えて大掛かりな舞台美術、きらびやかな衣装、エトセトラ。「そりゃあチケット代、高いよな」と、数年越しに納得する。

 新感線の作品はIHIステージアラウンド東京という、客席が360度回るアトラクション劇場(と勝手に呼んでいる)で上演されていて、ことあるタイミングで座席が動く。その分、役者の移動も増える。体力勝負だ。
(映像で見ると舞台が動いているように見えるたのだけれど、客席がぐるんと回るから、役者は装置停止に会うように走らなくはいけないのでは…と書きながら思う。)
(こちらの劇場、直近では舞台『刀剣乱舞』や舞台『るろうに剣心 京都編』が上演されている。)

 

 殺陣というものは、正直、時代劇や地元の奉納祭でしか観たことがなかった。祖父と姉と並んで観た『暴れん坊将軍』や『水戸黄門』の断片的な記憶から、あまりアップデートされていない。

 それでも、風が運んできた「早乙女太一の殺陣はものすごい」という噂が気になった。彼の殺陣を目撃できるのは劇団朱雀か新感線の二択。それで選んだのがタイミングが合った後者だった。

 実際に映像で観た早乙女さんの殺陣は、素晴らしいの一言に尽きる。
 しなやかに動く手首、軽やかな身のこなしにブレない重心、一つ一つの所作が美しく、無駄がない。動きが早過ぎて追いつかない手捌きも見事だった。殺陣に詳しくないわたしでも、早乙女さんの技術が並大抵のものではないことがわかる。 

『髑髏城』で早乙女さんの殺陣シーンは決して多くはない。 
 けれど、その一瞬に彼のこれまでの努力が凝縮されている。一振に、一足にそれが顕れる。口を開けたまま、スクリーンを凝視したまま惚けたことは、たぶん人生で2度目。

 早乙女さんだけでなく、阿部さんのアクションもすごい。もはや出演者全員の体力がすごい。運動量がちょっとおかしい。いや、すごくおかしい。正気か、何度思っただろう。


 ちなみに『髑髏城』をはじめとするゲキ×シネ作品、現在Netflixにて絶賛配信中。AmazonPrimeはレンタル購入で視聴が可能。

 早乙女さん目的だったわたしだけれど、艶やかな松雪さんの佇まいと歌声、森山さんの怪演にすっかり魅入られてしまった。そして、ガンガン鳴り響くロックな音楽に気分も上がる。
 ずっとジェットコースターに乗っている爽快さも味わえる(はず)なので、「何の予定もない休日」のおともに、どうぞ。

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