見出し画像

最近の読書 ひとこと感想 の二

ひとこと感想 の一は↑。

というわけで、(何がというわけなのか、わからないが)絶賛辛口で、ひとこと感想の二を行ってみよう〜。辛口苦手な方はここでさようならで……

今回は、もらったものや借りたものではない。自分で買った本ばかり。

郵送、着陸、着地がうまくいかなくて、何度もオランダと日本を往復したものもある。痛い出費である。

それに比べるとやはりAmazonは最強。でも運んでくる人(DHL)が悪いと、本が傷んでしまってるものもありこれまた微妙。もう少しきちんとしたコンポをAmazonには期待したい。

Kindleは? Kindleでも買いだしているから、それもそのうち感想をまとめてみようと思う。

注意書き。

11月から6月までの読書日記です。
ほぼ読み返さないで書いています。ただただ、覚えているところだけ。

では行きましょう。上の写真の本の中の第一に選んだものは、


生命式 村田沙耶香


トップバッターは「生命式」。
やばいものを書いては村田沙耶香さんの横や上に出る人がいない。やはり安定の強烈個性。安定の文学らしい文学。

今回は人肉がテーマ。

これは参りました! というのがまず感想。

だって人肉ですよ。佐川くんのレポート小説は私は読まない、読めないけれど、この人のなら読める。

浅いと思う人もいるだろうけど、私は死んだ人がインテリアになったり、自分の肉は葬式の時はこう調理してくださいと考える人がいる世界を想像し作れるのは、常識人で溢れている日本の中、とっても希少な存在、応援したい。

読んだ人に、気持ち悪くモヤモヤさせる感覚や感情を、よくわからない価値観に頭がグジュグジュ洗われたりするものを書くのは、すごい。

これこそ、文学なのか


生きているだけで愛 本谷有希子


これ、どういう作品だったのか覚えていなく、もう一度軽くあらすじを読む。あ〜、そうだったとようやく思い出した。双極性障害のメンヘラな女子の話。

とても上手く書かれていた気がするけどどうも私に一つも響かなかったので忘れてしまったのかも。

実はあらすじを辿りながら角田光代の「ピンク バス」を思い出した。
それにしてもう〜ん、忘れていたというのは! 

読みやすいのだけど、最後の方は今でもどういう話だっけという感じ。
日本の若いメンヘラ系の女子を勉強するにはいい本かも。

手応えのない本だった。(私にとっては)この手のものは、角田さんがいればよく、この人のは私にとっては(!)まぁどうでもいいかなぁ。

デトロイド美術館の奇跡 原田マハ


この作家の「楽園のカンヴァス」がとても良かったので、もう一冊買ってみたのが、「デトロイド美術館の奇跡」。

市の財政難から、美術館がどう立ち上がるかという話とともに、そこに通う人や、キュレターなどの視線で、各章が成り立っている。

構成うますぎ。勉強させていただける。

ところで、実は私はオランダの現代美術館で週一のボランティアをしているので、実話ベースのこの話はとても身近な話題。

私の美術館(もはや家)の場合、まず政府からの援助が切られ、市が現在は援助している状態である。勿論それだけではなく、いろいろ美術館自体が頑張っている。(絵を貸す、レンタルスペースとかetc) 。この辺りの海外の美術館事情は日本の美術館とはだいぶ違う状況だと思う。

ではではですがこのお話は、読んでよかった。単純に。
でも、「楽園のカンヴァス」に比べたら薄く浅い。
ファンタジー要素がなさすぎるからかな? リアルすぎる。

「楽園のカンヴァス」より筆の進みが格段に上手いのは確か。
でも、どうもそういうことを抜きにしても「楽園のカンヴァス」のストーリーの方が好きだし、面白いと思う。

楽園のカンヴァスの方が作者の中に眠ってる深いところから作られた話だからかも。

おばちゃんたちのいるところ 松田青子


おばあちゃん(幽霊)たちが、現代にやってきて活躍。17編の短編。それぞれの章におばあちゃん幽霊が出てくる。 

表紙に、NYタイムズでも激賞と書かれていて期待して読んだのだけれど、この本は初めの章から入っていけず。

最初の一話、二話が特に面白くなかった。最後の方の章にいくに従って、話や文章も良くなっていった気がする。珍しいよね、そういうの。

いま売れる要素ががっちり入ってる話、文章も上手い。それなのに、どうも主人公に共感が持てない、それかしら?

とにかくもう一章、読み直してみようかな? ほぼ忘れている。

私の中に、読後感がない。もう一つ。

猫を棄てる 村上春樹


父親と猫を棄てに行った話から始まる自分のルーツについて書かれているエッセイ。

久しぶりに村上春樹のエッセイを読みましたという感じ。サラリと彼の家のことを勉強した感じ。

最後の方で、自分はとっても平凡な家に生まれた一人の人間と強調して書いているのがかなり嫌。

そこ必要? もし私が彼の妻だったら、削れと、言ってしまう気がする。そんなことをグダグダ書かなくてもいい気がする。

印象的なのは、本の素材。とても素敵な紙を使っている。手触り最高。

行間が開きまくっていて、読みやすい。彼の読者層も年取ってきたから合わせて? いや、そこ違うでしょ、単に一冊にしたかったんでしょうね、出版社が。何にしても綺麗な表紙。イラストもいい。

精霊の木 上橋菜穂子


デビュー作ということで手に入れてみた。
彼女の作品では「獣の奏者」が、特に好き。

この本は、それらの本に比べるとかなりスケールアップした物語。地球が滅亡して、人々が色々な惑星に移って200年が舞台のSF。
そして、彼女お得意のファンタジーでもある。

で、最終的にどう思ったかというと、アニメの原作として最適な感じ?
世界観は今と変わらないと思うけど、まだまだ書き込まれていなさすぎの未来の背景が軽く薄い感じ。少し中途半端。

でも、この本には、この先彼女が何を描きたいのか、そのエッセンスが全て詰まっている。そういう意味では彼女の他の本が好きな私にとっては意味がある。

この物語のをバラすと、三つくらいで、シリーズの話はできるのかもしれないので、まさに全ての彼女の物語の序章とも言えるのかもしれない。

彼女は書けば書くほど(年取れば取るほど)、彼女の世界観を深く追求できて表現する人なのかもしれない。そういう作家さんは素晴らしいと思う。


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?