日記

君の大きな大きな瞳がわたしにばれないようにほんの少しだけきらりと揺れる。傷ついたこころを隠すように少し笑う。わたしはどうして君のことをいつもいつも傷つけてしまうんだろう。

君はわたしとまるでちがうふわふわとした髪の毛で少し肌が黒くてまつ毛が少女のように長くてそして、本当はとてもとても優しいただの若い男の子で、きっとわたしと同じくらい、もしかしたらもっと自信なんかなくって、傷つきやすくって、それが分かっているのにどうして優しくしてあげられないんだろう、こんな自分がひどく憎らしい。だけど君に対して近頃いつも苛々してしまうんだ、本当にどうしてなんだろう?前は君のこと思うと柔らかい気持ちになれたものだった、落ち込んでいるときは君に話したいと思ったし、だけど今ではまるで反対なんだ、なんだか何を言っても君にわたしの心がうまく伝わると思えないんだ。世界でいちばん同じ言葉を使って話せる人だと思っていた君が近頃なんか遠くに感じるんだ。本当に悲しくて、寂しい。

わたしたちがもうちゃんとしたロマンチックなキスやセックスができないこと、それがきっとわたしたちの言葉が違ってしまったことと無関係とは思えなくて、まるでジジの言葉が急にわからなくなってしまったキキのように寂しいよ。あのシーンは本当は原作の小説にはないんだけれど、宮崎駿はあれを書くことで少女の成長を描きたかったらしい。わたしは成長したんだろうか?君の言葉がわからなくなってしまう成長が、わたしにとって本当に良いことだったんだろうか?

いつかわたしたちが過ごしたこの永遠のようにも一瞬のようにも思えた年月が綿菓子のように消えてしまった後で、君が風の便りにわたしの相変わらずじたばたとした生き様を聞いてそのへし曲がった唇を少しあげて笑ってくれたらいいな、と思うよ。願わくば君がひとりじゃないように。かわいい犬でも飼っていますように。わたしなんかよりずっと優しいひとが君を愛してくれていたらいい。どうしてこうなってしまったんだろう?

いつまでも君のそのとても素敵な眼差しにのぼせ上がっていたかったよ。本気だよ。愛してる。だけど……

#創作 #エッセイ #小説 #生活 #ごめんね



本を買います。たまにおいしいものも食べます。