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スランプ強行突破ストラテジー

すらんぷ、だなんて言うのも気が引ける。
その言葉を使っていいのは本物のプロフェッショナルだけな気がしてしまう。
脳みそで時折顔を覗かせる偉そうな顔も知らぬ誰かが、「もともとおまえには才能が無いだけだ」と足を組んでこちらを見据えているような気分になる。うるさいよ、分かっているよ、だから無い才能は努力でカバーしなくちゃいけないのも分かっているのよ、でも仕方がないじゃない、うまく脳みそが動いてくれないんだもの。

わたしには 言葉がうまくでてこない時期、というものがたびたびあって、まさしくいまがソレなのだ。いままでの経験上ソレを抜け出せなかったことはないから、いつかまた鬱陶しいくらいにぼろぼろ言葉が溢れ出る瞬間が来るのだと信じている。のだけれど、やっぱりどうしても、不安にはなるのだ。

いまこの文章も、無理矢理絞り出して羅列している。これはわたしのスランプからの脱却方法のひとつで、所謂『強行突破』である。
いま無理矢理にでも書いてしまわなければじわじわと脳みそが腐っていって、終いには腐り切って元通りにならなくなるかもしれない、もう二度と納得のいく文章が書けなくなるかもしれない、「ケイコさんの文章が好き」という何度手にしてもうれしくて堪らない言葉を受け取れなくなるかもしれない、わたしの存在意義を失うことになるかもしれない、と、自分で自分を脅すのだ。
書いては消して、足しては引いて、下書きに仕舞いこみそうになるのをぎゅうっと我慢して、どうにか今夜には曝け出してしまおうと思うの。きっとなんの脈絡もなく起承転結もなく明確な意図もなく、ただわたしが吐き出したいだけの終始重たい文章にはなると思うので、それを好まないかたはここまで。

(でもまあ 既にここまで読んでくれているひとがいるのだとしたらそれはもう相当なもの好きで、ここまできたならきっと最後まで読んでくれるとは思うのだけれど)(あ もし違ったならすみません)

わたしはいまのわたしのような心の状態のことをいつも“心があまりよくない場所にある”と脳内でひとり、言っている。
なにをしても脳みそがかなしいほうに傾いてしまいがちになる。もちろんそうではない瞬間もあるし、うれしいこともあるし、たのしいこともあるし、基本的に誰か人と一緒にいるときは平気なのだけれど、ひとりになった途端ほんのりとだめになってしまいがちなのだ。

すこしまえまでわたしは、プラスだろうがマイナスだろうがあまり関係なくそのときの気持ちや出来事をなんでもかんでもSNSに書いて残すタイプだったと思う。でもさいきんはめっきりそれができなくなってしまった。そうなったきっかけや理由はひとつではなくて、心配をかけないようにしなくてはとか、へんな憶測を立てられたらいやだなあとか いろいろあるのだけれど、そのなかのひとつ すこし比重の大きなものとして『よいものをひきよせたいから』がある。
さいきん、プラス思考なときはプラスが寄ってくる、ような気がしているのだ。まいにちをていねいにごきげんに生きているとき、友人からの遊ぼうよ!の連絡が増えたり、楽屋でほかの演者さまに話しかけられることが増えたりする。
でもこれはきっと、『プラス思考だからプラスなことが増えている』というよりは『プラス思考だから心に余裕があり、プラスなことにきちんと受け止めることができて嬉しいと感じ取れている』のだと思う。
どちらにせよ、せっかく目の前に現れたプラスを取りこぼさないようにしたいと思うのだ。それもあってマイナスを晒さなくなったのだ。
ちょっとクサイ話かもしれないけれど、高校時代にだいすきな先生が「口に+と-で『吐』になるけど、口に+で『叶』だよ」と話していたことを思い出しながら。

ただ、マイナス思考だからと言ってなにも生み出さない訳では無いとも思う。し、マイナスを発信することが悪いことだなんて思わない、全く。
元はと言えば、アイドルになるよりずっとまえ わたしがいまのSNSのアカウントを作ったのは『いまの出来事や気持ちを忘れないように残しておくため』だった。大人になりたくなくて堪らなかったモラトリアム時代、なんでもかんでも言葉にして書いて残しておけば、いつか見返せるし書くという行為をひとつ挟むことによってより色濃く記憶できるような気がしたからなのだ。

いまはもう大人になって、さらにもっと大人になることもすこしずつこわくなくなってきた気がするのだけれど、吐き出したものがプラスであれどマイナスであれど、わたしにとっての武器が言葉であることだけは揺るぎないものでありたいと思った。いま、ふと、改めて。そうでないと冒頭にも書いたとおり、きっと脳みそは腐敗していってしまうんだろう。あ、いま、もしかして、わたし、結構大切なことに気が付けた?

こういうとき、さいきんのわたしは、“ゆっくり生きよう”と思うことにしている。焦らない。焦らない。焦らない。他人にできるのにわたしにできないことがたくさんあるけれど、他人がわたしになることもできないよ、と。
おだやかに、したたかに、しなやかに、どの一瞬も、そのひとかけらを大切にできますよう。そんな女の子であれるますよう。
ああどうにかここまで書けました、良かった。なあんにもおもしろくなくてごめんね。これがいまのわたしだ。最後まで付き合ってくれてどうもありがとう。



ここからはほんとうに、余談の余談。あのね、ずいぶん長いこと仲良くしてくれているグループの武道館が決まって、嬉しくて安心してしあわせな気持ちになりながら、でも、やっぱりちょっと、悔しくなっちゃったんだ。そしたら、わたしたちよりデビューが遅いのに人気なグループがいることとか、Zeppワンマンにじぶんのファン100人集めたいのと話したらけらけら笑われてしまったこととか、そういうことを思い出しちゃって、ああ、どうにかいまをこの手でこの足で脱しなくちゃと思ったの。どれもこれもきっと、2月の2週連続Zeppワンマンまであと3ヶ月しかない焦りからなのだと思う。
でもこんな、あまりにも不器用で下手くそな試行錯誤の日々も、どうか愛していけるよう、愛してもらえますように。それだけです、いまは。
おしまい。

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