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三題噺2【各国・歴史・日曜】

毎日が日曜日になってしばらくが経った。

父さんは子供の頃からずっと、「毎日が日曜日だったらいいのにな。」と思っていたそうだ。
僕は生まれた時から毎日が日曜日なので、その気持ちはわからない。「ふうん」という感じ。


日曜日には、独特の文化がある。
かつて平日があった頃、日曜日にだけ行っていた文化。
各家族、それぞれの文化。
各国、それぞれの文化。


ある家では日曜日の朝は必ずパンケーキを焼く。
ある家では日曜日は必ず一家総出で教会に行く。
ある家では日曜日は必ずテレビを消しておく。


家族の記憶と歴史は、日曜日に集約されている。


ならば短い一生なのだから、そのあたたかさを目一杯味わおうじゃないか。ということで、平日は撤廃され、毎日が日曜日となったのだ。


平日とは、きりきりと胃が痛むような速さで過ぎてゆくものだったと聞く。


朝、カーテンから漏れる光で目が覚めた僕はリビングに降りてゆく。
父さんがコーヒーの入ったマグをテーブルに置き、ソファで新聞をひろげている。


今日も同じ光景だ。


毎日が日曜日。




※「三題噺(さんだいばなし)」:3つのお題を元に、即席で演じる落語のこと。落語では作り方にいくつか決まりがあるようなのですが、ここでは細かいルールはあまり気にせず、3つのワードから発想したお話をゆるりと書いています。

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