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910回目の「6日」

また「6日」が巡ってきた。ヒロシマの月命日。数えてみたら、今日で910回目の月命日だった。

今朝もいつものように、原爆供養塔前で白蓮寺の吉川信晴さんがお経を読まれた。

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本当は、今日は、吉川さんのお話の後、この場所に戦前からあった慈仙寺(現在は江波にある)のご住職が来られて、被爆した墓石などの解説をしてくださるはずだった。広島戦災供養会の会長で、胎内被爆者の畑口實さんが前々から段取りをして、ともに原爆資料館でヒロシマピースボランティアとして活動している仲間たちにも呼びかけて学びの機会とすることにしていた。ご住職は、法事の予定も入れずにこの日に備えておられたという。だが、コロナで断念せざるを得なくなり、今日この場に来ていた畑口さんはとっても残念そうだった。終了後、畑口さんと少し立ち話をして近況を報告し合った。

畑口さんは、毎年、8月6日の直近の6日となる7月6日前後に、ふだんより大がかりな清掃を呼びかけていた。2018年7月6日が西日本豪雨の発生その日となり、マスメディアもそっちにざっといってしまうため、今年は2カ月前である今日この日に設定していた。日曜日で集いやすい日だったのに、残念。今日も、毎月と同じように、10人に満たない小さな集いだったが、若い女性記者が一人だけ、取材に来ていた。

帰ったら、親しくしてくださっている取材先から、大きなアレンジメントが届いた。「自由人になられる園子さんへ」というメッセージがとてもうれしかった。不安だらけの毎日であるだけに。

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昼からは、子どもを乗せて車を県北へ走らせた。子どもを連れて、遊びにおいで、と言って下さっていた被爆者の方のお宅へ。田植えはすっかり終了。都会育ちの子どもたちは、きゃっきゃきゃっきゃ言いながら、虫を追いかけたり、トラクターに乗ってみたり。イノシシのワナも興味津々で見入っていた。ウシガエルやらアオガエルやらを追いかけ、大興奮。

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タマネギの収穫をお手伝い。「ずっとマスクばぁして、ほんまに子どもたちがかわいそうじゃ」と。がまんばかり強いている子どもたちには本当に申し訳ない。

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考えてみれば、私も香港やら東京やら都会育ちで、田んぼや畑が身近にない生活だった。広島の祖父母宅に帰ったときは、祖父が畑仕事をするのをちょっと手伝ったりしたものだが、その祖父も逝って10年が過ぎた。おじいちゃんの不揃いのなすび、おいしかったんだけどな。お酒をちびちびやりながら、もうちょっと原爆の話を聞きたかったな。収穫したタマネギをそろえながら、そんなことを考えた。

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お土産に頂いたタマネギで、晩ご飯にオニオンスープを子どもたちと一緒に作った。

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夜は、HIPPYがバトンを受け取って続けている、被爆証言を聞く会。もう1年以上、オンラインでの開催。早く、いつものように夜の薬研堀での開催が復活すればいいのだが、いつになるのやら。今日は、李鐘根さんの証言。10年ほど前まで、「江川政市」という日本名で生きてきた被爆者の方だ。御年92歳。

同じ時間に、広島市議会の政策立案検討会議が6月議会に諮ろうとしている、広島市平和推進条例について考えるオンラインイベントがあったので、HIPPYの会は録画を見ることとして、条例の方に参加した。だが、昼間に興奮した子どもたちがわめきちらしてじっくり聞けず。

同世代の市民のみなさんが、「平和推進条例の改善を求める市民キャンペーン」を立ち上げ、広島市議会がパブリックコメントを募った後からは毎回欠かさず傍聴しながら、問題提起を続けている。

こまごま色んな論点があるが、やはり、広島から「平和」と銘打った条例をつくり、いろいろと意見がある中で、平和を「世界中の核兵器が廃絶され、かつ、戦争その他の武力紛争がない状態」と、核兵器廃絶に事実上的を絞った形の定義づけをしているにもかかわらず、今年1月に発効した「核兵器禁止条約」についてたったの一言も言及していない点はどうなのだろうか。

ちなみに、広島市議会は、核兵器禁止条約が2017年7月に国連で採択されたすぐ後の9月、全会一致で、日本政府による早期の署名批准を求める意見書を採択している。

この条例については、私も一度、ちゃんと問題提起をしなければ、と思う。地元中国新聞は毎回毎回、傍聴して記事を書いているが、公共放送NHKは、この問題についてはあまり関心がないようだ。

iPhoneの不具合と格闘しつつ、オンラインイベントを聞いている途中、西の空を見たら、ピンクと紫と赤が入り交じった、何とも言えない色だった。原爆のことを思い出すから、夕焼けが大嫌いといっていた、岡田恵美子さんのことをふっと思い出した。もうじき、亡くなられてから2カ月となる。

そして6日が終わった。毎月6日は、自分自身が、前月よりも成長できているか、1ミリでも行動に移せているかを振り返る日にしようと思う。子どもたちの成長をしっかりと見つめつつ。

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