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2020の読書ーおもしろかった4冊

ライブドア,カネボウ,メディアリンクス・・・・.ニュースでは「粉飾」の一言で片づけられる経済犯罪を解説した一冊.特に巨大企業カネボウの凋落の記述はリアルで非常におもしろかった.本書のおかげで確かにライブドアの行為が粉飾かと言われると微妙と言われる理由もなんとなくわかった.

積水ハウスが東京の土地取引で,「地面師」なる集団に60億円も騙し取られたという事件で初めて聞いた不動産取引専門の詐欺集団「地面師」について書いた本.開いた口の塞がらない規模の取引で巧みに人を騙して,他人の土地を他人に売ってしまう詐欺取引・・・・・.この本を読んで驚愕したのが,実際に地面師たちに犯罪によって,第三者の土地に建てられた家を買って住んでしまっている人たちがいるということ.普通の人生では土地取引はマイホームの購入くらいしか機会がないが,我々も,巻き込まれないとは限らないのだ・・・・・.

戦後になっても日本の防波堤にされてしまった沖縄の悲しみを取材した本.はっきり言ってつらい.筆者は,近年に浄化作戦として,売春の一切を否定し,売春街を潰していく社会にひとつの問いを投げてかけているように読めた.問いの根元は,そもそも,そうなってしまったのは何故か,本人だけの責任なのか,売春で生きていくことはそこまで否定されることなのかにあるように思った.沖縄の悲しみの根源の一つを知る意味でも,読むべき本だと思う.

1995年,当時の警察庁長官國松氏が出勤中の自宅前で何者かに狙撃され重傷を負う事件が起きた.この本を読むまで,この事件は,オウム真理教の犯行だと私も信じ切っていた.当時,オウム真理教のサリン事件の後の大規模な家宅捜索が行われており,さらに,当時に信者であった警察官が僕がやったと自白したことから,操作は,オウム真理教で間違いないという線で行われていったが・・・・実は,それを明らかにする証拠が全く出てこない事態に.さらにその警察官自体の自白も二転三転し,信憑性がなくなっていく.そんな中,別の名古屋の現金輸送車襲撃事件の犯人が,自身の事件への関与をほのめかし,彼のアジトからそうとしか思えない証拠がゾロゾロと出てくる・・・・・・.オウムが犯人で決まりという路線を貫き,事件を迷宮入りさせてしまったとしか思えない警察組織の怠慢と,そんな中,犯人としか思えない警察官殺害の犯罪歴を持つ東大中退の過激派の登場・・・・・.事実は小説よりも奇なりを地で行くノンフィクション.

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