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DEADLY CURSE AND BLUE POP

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呪われし女青葉イズミ、その最後の戦い。
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DEADLY CURSE AND BLUE POP 1

どこまでも拡がる闇の先、篝火に照らされた祭壇が見える。祭壇の周りには幾人かの子供がいた。彼らは祭壇に祀られた古めかしい箱に施された封をひとつずつ剥がしていく。禁足地に忍び込む冒険で見つけた宝。彼らは目を輝かせて箱を開けようとしていた。いけない。それはだめだ。そう叫んでも声が出ない。彼らの元へ駆け出す。足は動く。しかしどれだけ地を蹴っても私は祭壇に近づけない。 やがて箱が開かれる。子供のひとりが中身を掲げ、仲間達がそれを見た。捻じ曲がった黒い水晶のかけら。彼らは冒険の成果にか

DEADLY CURSE AND BLUE POP 2

【1】 「この調査はリーヴじゃないんだ。人出も間に合ってる」 「そこを…なんとか…」 「他のリーヴなら屯所で募集してるよ。そっちに行ってくれ」 判ってはいたけど、取り付く島もない。チョコボを飛ばして廃墟へ辿り着いた頃には、すでに10人ほどの双蛇党員があちらこちらを調査していた。やはり一度引き返さずそのまま探索を続ければ良かった。どうして回避しきれなかったんだ。私の馬鹿。 今のところ《黒山羊》が顕現して何かする気配はない。恐らく、この廃墟のどこかで遺物に紛れて獲物を待

DEADLY CURSE AND BLUE POP 3

【1】【2】 林道を抜けた先で私はチョコボの手綱を引き、速度を緩めさせる。小高い丘の上から見下ろす宿場街は、旅立った日とまるで変わっていない。みんな元気にしているだろうか。話したい事はたくさんあった。 丘を下る私の角を柔らかな風が撫でる。道なりに広がる田んぼには鷺がぼんやりと休んでいた。緩やかに進む私たちの周りを蜻蛉が通り過ぎていく。のどかを絵に描いたような、故郷がそこにあった。 街道沿いに進んだ先に、一軒の茶屋があった。軒先にはレンの若者達が座っている。 「おーい、

DEADLY CURSE AND BLUE POP 4

【1】【2】【3】 垂直落下してくるソフィアが両手を大きく広げる。キィン、と鋭い音が響くと、その両手には途方もなく巨大な剣が顕現した。引き絞った両腕が振り下ろされる。巨大な剣は雷神の鉄槌の如く大地を砕き、《黒山羊》の群れを消し飛ばした。 光の翼をはためかせ、ソフィアはふわりと着地する。白いコートの小さな背中が、膝立ちの私を護るように立っていた。一角を消し飛ばされた《黒山羊》の群れは、離れた位置でこちらの様子を窺っている。 「ご無事ですか?イズミさん」 彼女は前を見据え