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余命の一週間が過ぎた

平成30年10月下旬。


母、妹、私の三人で協力しながら毎日父の付き添いをしているうちに、余命を言い渡された一週間が過ぎていました。


父の容態は変わりなく、落ち着いているようにも見えました。毎週月曜日の早朝に採血をし、血液検査のデータを取っています。


ある日、担当の看護師さんより「ずっとベッドに寝てばかりいても良くないから、車椅子に乗ってみるのはどうか?」と話がありました。高熱が続いていましたが、少し落ち着いてきたということです。


「えっ!いいんですか?」


まさか、ベッドから起きられるなんて思ってもみなかった私達はびっくり。早速お願いすることにしました。


人手を集めて下さり、リクライニング型車椅子に看護師4人がかりで移乗してくれました。


車椅子に乗った父がデイルームに到着すると、少し驚いたような顔をしています。


「久しぶりに起きられて良かったね!テレビ見ようか?」声をかけると、じっとテレビを見ていました。


約30分程デイルームで時間を過ごして、看護師さんが「そろそろ戻ろうか?」と声をかけて下さり、部屋に戻りました。「大丈夫そうだったから、あしたからも車椅子に乗ってみましょうか?」と提案してくれ、本当に嬉しい気持ちになりました。


車椅子に乗って起きられたことがあまりに嬉しかったので、たくさん写真を撮って妹に送っていました。


「余命一週間って言われたけど、まだまだ父さん頑張るよね?」希望の光が見えたような出来事でした。

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