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サハラ砂漠への道のり<夫婦世界一周紀73日目>

メルキド…ドムドーラ…メラゾーマも近い響き。メルズーガという名前を聞いた時にドラゴンクエストが脳裏に浮かんだが、砂漠へと走る道はまさに大冒険の舞台のようだった。ドムドーラを抜けてメルキドの街に辿り着くまでの道のり。かげのきしに怯えながら歩いたことが懐かしい。今はサソリが怖いです。

サハラ砂漠といえば当然一面砂漠なはずだ。そんな場所目指すのだから、てっきりだだっ広い荒野をひた走ると思っていた僕の予想は、バスに乗って10分で裏切られた。

上高地をバスで登ってるのか?と思うほどの急斜面にうねり。最初は元気そうだった欧米人のパーティの顔がみるみるうちに青白くなる。8時に出発して20時に到着。砂漠への道のりは長く険しい。

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トイレ休憩で降りた時には頭はぐあんぐあんしていて気持ち悪かった。山肌に食用サボテンが赤く実っていて写真に収めたかったけれど、ファインダーをのぞいたら一巻の終わりだ。隣に座っていたアジカンのゴッチそっくりの韓国人はフルサイズのデジタル一眼でバシャバシャ撮っていた。顔は真っ青なのに大したものだ。

トイレ休憩とアナウンスはなかったが、バスが止まったので降りてみる。すっかり山の中だ。かわいた風が吹き続け、空気は澄んでいた。

「ねえ見て」とフウロが指差すので見てみると、山頂にはうっすら冠雪。どうりで寒いわけだ。でもどこかトゥヴァを感じさせる荘厳さがあって、僕もフウロもワクワクしていた。トゥヴァ以来の高揚だ。未知の自然に細胞が活性化するような、あの感覚だ。

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深夜バスと違って眠くはならないし、四六時中いろは坂のような曲がりくねった道を走っていると、目を瞑っていても吐き気をもよおす。できるだけ道の遠くを眺めてやりすごすしかない。

平地に降りてきてほっとするとまた山道。延々と繰り返して、昼過ぎにようやくしっかりとした平地まで降りてきた。昼食だ。

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外に出ることが出来ない今、旅をできること自体に価値が生まれつつあります。僕たちが見てまわった世界はもうないかもしれないけれど、僕らが家にいる時にも世界は存在していて、今日もトゥヴァだってニウエだってある。いつか全てが終わった時に、あそこに行きたいと思ってくれる人が一人でも増えたらいいなと思って、価格を改訂しました。 無料で公開したかったのですが有料マガジンを変更することが出来なかったので、最安値の100円に設定しています。

2018年8月19日から12月9日までの114日間。 5大陸11カ国を巡る夫婦世界一周旅行。 その日、何を思っていたかを一年後に毎日連載し…

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