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夫婦で一緒に出店すること

月に数回、妻の紙商品の出店がある。

木の皮から手作りした手漉き和紙の商品が世に出て、いろんな人の手に渡る日だ。

家の鍋でコトコト煮たて、一枚一枚漉かれた紙で作る商品は、我が子のように愛着を持っている。

僕はパッケージを手伝ったり、オンラインショップの管理をしたり、ああだのこうだの言うだけしかできないけれど、商品の説明にもちょっと熱が入る。

「同じ価値観で一緒に販売できるのって良いですね」

今日の出店場所で、隣の出店者さんが言った。

「夫婦で出店している人はいても、旦那さんは手伝いをするだけだったり、ちょっと距離感があったりしますよね。でもお二人は同じくらいの熱量で商品も紹介できて、楽しそう。」

そう言ってもらえるのはとっても嬉しい。

でも、僕が最初から紙が好きだったわけじゃない。

妻が紙を勉強したいと言った時、誰よりも反対したのは僕だったと思う。

今まで勉強してきた木版画やデザインをやっていけばいいのにと、何度も相談した。

和紙といえば習字のイメージしかなかったし、商品と言ったら便箋やポチ袋などしか考えられなかったからだ。

妻はときめきを信じると言って紙の道に進み、少しずつ紙の商品を作り始めた。

家にも紙素材が増え、紙に触れる機会が増えるようになった。

否応無しに紙に触れる機会が増え、同時に奥深さも感じるようになった。

一口に和紙と言っても、いろんな種類がある。

原料の良し悪しや漉き方でいろんな種類の紙ができる。

たかが「紙」と思っていたけれど、紙は全ての始まりでもあるのだ。

妻が作った紙の商品は僕が想像していたものとは全然違った。

ずっと妻らしく、素敵なものを作っていたからだ。

僕にとって、その体験はその後に自分のスタンスを変える出来事になった。

一見理解できないと思えることがあっても、相手がそれを好きな理由を突き詰めれば、大抵は理解できるのではないかということ。

先入観で魅力が見えていないだけで、相手が本気でいいと思っている部分がわかれば、その魅力は大抵はわかるのではないかと思うのだ。

だって妻だからだ。

価値観が合うと思っている相手が見つけた良いものは、少しでも共有したいし、無理して合わせたりなんかしたくない。

一緒に楽しめたらそれが一番だ。

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