イギリスほど物価が高い場所は無いというので、喫茶店で夜を明かすことにした。まさかスペインに到着して寝たきりになるとは思いもしなかった。

バンコクからスペインに行くには一度ロンドンを経由する必要があった。スリランカを一泊1,500円で過ごしていた僕たちにとって、たった数時間の休憩のために一泊1万円も払うのは嫌だった。

その代わり、イギリスに降り立った「証」は欲しい。空港にはまあまあ評判の良いパブがあった。フィッシュ&チップスとビールを食べればイギリス感が出るだろう。美味しかった気がする。味をほとんど覚えていないというのが自分の体調を物語っている。

その喫茶店は「野宿御用達」になっていて、深夜から朝5時までは実質営業は休止し、早朝便に乗る旅行客のシェルターになっていた。僕たちは早い時間から陣取っていたため比較的いい椅子で寝転がっていたが、トイレに行ったついでに陣地を奪われてしまった。こういうところはシビアだ。