見出し画像

映画『ひとしずく』和歌山上映会(制作:地域おこし協力隊OB山下大裕監督)

2022年1月に移住・就農して2年が経ち梅農家として
3年目に突入するタイミングで素敵な映画と出会った。

1月中に投稿したかったが観梅イベントの慌ただしい日々
に追われ冒頭の文章を書き始めてから気づけば1ヶ月…

2024年1月21日(日)和歌山県田辺市の紀南文化会館
小ホールで行われたとある映画の上映会と舞台挨拶へ。

その映画のタイトルは『ひとしずく』

鹿児島県南大隅町を舞台に撮影された90分間の
地域おこし協力隊が題材となった自主制作映画。

《あらすじ》やりたいことや目指したい道がないまま東京で一人暮らしをしている坂本香澄(24)は、田舎暮らしへの憧れと人生のリスタートを切りたいという思いから奮起し、本土最南端の鹿児島県南大隅町地域おこし協力隊に着任する。思い描いていた生活とのギャップに戸惑いながらも町の人々と手を取り合い、様々な壁を乗り越え、泣き、笑い、学び、暮らしていく中で人として成長していく物語。

山下組映画プロジェクト公式サイトより引用

この映画の存在を知ったきっかけは坂本香澄役を演じた
和歌山県田辺市出身の俳優で主演を務めた工藤成珠さん

工藤さんを知ったのは私が田辺市への移住者と言うこと
もあるが、実は最初に知ったのは弟でJリーガーの工藤
孝太選手(現ギラヴァンツ北九州)がきっかけである。

そして昨年、工藤さんがFMTANABEのパーソナリティ
に就任しご縁があり番組応援団をしていたりもする。

そんな彼女が主演で映画に出演すると言うことと題材
が移住者の自分にとって深く関係する地域おこし協力隊
とこれまたタイムリーな内容で観に行くことになった。

《地域おこし協力隊》は、都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住民票を異動し、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組です。隊員は各自治体の委嘱を受け、任期はおおむね1年から3年です。

総務省ホームページより引用

また監督は鹿児島県南大隅町地域おこし協力隊OBの
山下大裕さんが脚本から編集まで全て担当している。

会場には田辺市・県内外から183名が来場しほぼ満席で
累計鑑賞者数は920名となり1000名まで目前となった。
※1/28の南大隅再上映会にて記念すべき1000人に到達

ひとしずく公式X(@hitoshizuku2023)より引用

では映画の感想についてありのままを綴ります。
※この先はネタバレを含みますのでご了承ください。

正直「工藤成珠ちゃん映画に出るんや〜会場も近いし
行ってみるか〜」ぐらいの何となく軽い気持ちだった。

しかし物語が進むに連れて主人公の香澄と移住してから
の自分がリンクする場面が多く気づけば涙が溢れてた。

段々と手で拭うだけでは止まらずハンカチ無しではいら
れないほど心に刺さり人生で初めて映画を観て泣いた。

自主制作映画と言うものに初めて触れたが想像以上の
クオリティに良い意味で期待を裏切られた90分だった。

では具体的に主人公のどんなところにリンクしたのか?

私は田辺市への移住者であると同時に隣町みなべ町の
梅農園で新規就農し、現在は個人農家さんを経て農業
生産法人の農園部の一員として移住生活を送っている。

昨年の誕生日に移住してからの1年半を振り返ったので
こちらの記事も合わせて読んでいただけると幸いです。

話を戻すと私の移住したきっかけは地域おこし協力隊
ではなくサッカーを通じて現在の場所にたどり着いた。

そんな中で映画を観ながら改めて気付いた事が職場の
従業員で県外からの移住者が自分だけだと言う事実。

入社して1年と少しが経つが年齢的にも一番若手であり
タイミングが良かったのか農園部以外の部署へ応援に
入ることも多くそのおかげでほぼ全員と接点を持てた。

しかし、何の先入観もない新入りが会社の様々な面を
見ると自然に「こうしたら良いのにな…」が出てくる。

思った方もいるでしょうか。そう、それこそが自分に
求められている事であり移住者(=よそ者)だからこそ
気付く点をどうすれば良くなるかを考えるためだった。

その立場と言うのが行政と会社の組織の差はあっても
地域おこし協力隊と通づるものが非常に多いと感じた。

例えば、何か変えたり新しいことを始めるためには「今
まではこうだったから」「それは◯◯さんの許可が
必要」など乗り越えなければならない様々な壁がある。

絶対に良好な関係を築いた方が良いキーマン(物語中
では自治会長)からの信頼を得ることは必須である。

まぁこれはどんな仕事をする上でも大事なことですが
移住者にとっては取り返しのつかない事にもなり得る。

それはもう心が折れそうに…いや折れたこともあるけど
これまでの経緯や人間関係を尊重した上で人と人との
潤滑油的な存在になることが何よりも大切だと知った。

今も現在進行形で壁にぶつかりまくっているけど移住前
に比べれば「1日をただ生きる」が出来るようになった。

これらの心境が主人公の香澄とリンクし感情移入して
まるでそこにいるかの様な錯覚に陥ったのだと思う。

その背景には映画初主演の工藤さんだったからこそ表現
できた純粋で真っ直ぐな演技が本当に素晴らしかった。

紀伊民報より引用(画像をタップするとリンク先に飛びます。)

ここからは大半の移住者が共感できるであろう映画の
シーンについて触れながら、2年間で感じた地域貢献や
や地方創生のリアルを角が立たない程度に書いて行く。

※主観が多分に含まれてるので不快に感じられた方は
進まずにその時点でそっと記事を閉じていただきたい。

移住して最初に驚いたことがインターホンを鳴らさず
にガラガラとドアが空き玄関に人が立っていたとき。

作中でも当たり前の光景で、他にもお隣さんが雨の前
に洗濯物を取り込んでいたり、玄関に食べ切れない量
の野菜が置いてあったり…プライベートに干渉された
くない人間にとってかなりのストレスになってしまう。

これは誰が悪いと言う話ではなく、地元の方にとって
は日常で良かれと思っての行為であり、移住する側も
最低限のコミュニケーションを取ることは求められる。

それをしないと「人の善意を受け取らない冷たい人間」
と思われてしまい地域に溶け込むことが難しくなる。

また、地域コミュニティではそう言ったちょっとした
出来事があっという間に広がる。良く言えば困ったら
助けてもらえる安心感があるし、悪く言えば「あの人
◯◯らしい」と他人の噂話や情報がいつも飛び交う。

逆に信頼を得られると良い情報もすぐに広まるので自分
の意見も聞いてもらえる様になり結果的に上手く行く。

ではなぜ「地域おこし協力隊」と言う制度があるにも
関わらず現地で噂話や移住者がギャップを感じるのか。

現地に来てから時々感じることだが、地域の方々は
「移住する側が思ってるほど移住者を求めていない。」

から。誤解を恐れずにもっと分かりやすく言うと

「自分たちにとって都合の悪い人間(よそ者)に
お願いしてまで町を良くすることを望んでいない。」

から。これが理由だと思う。2年経った今では確かにな
と思うことができるし、誰でもいきなり来た他人から
配慮なくあれこれやりたいと言われて良い気はしない。

この原因の1つが協力隊の制度にあるのかも?と思った
とある町で遭遇して嫌な気分になった実体験をここで。

それは募集をかけても中々見つからないと言う話から
「募集要項はあるけど掲載するために書いてるだけで
この町のために真面目に働いてくれさえすれば誰でも
良い」的なニュアンスのことを話してたのを聞いた。

一見悪くない様に思えるが少し曲がった解釈をすると
「こちらの思う通りにしてくれたら後は何をしてくれ
ても良い」とも聞こえる。更に恐ろしいと感じた発言
が「国からの補助金で雇うからもし合わずに辞めたと
してもまた探せば良い」これが受け入れる側の本音か…
と全自治体がそうでは無いのは大前提で現実を感じた。

これは受け入れる側だけの話ではなく移住をする側も
自分のやりたい事さえ達成できればそれで良いと言う
気持ちが少なからずあるから生じる問題だと思った。

当たり前のことだが何か新しいことを始めようとする
と問題が起きる。ただ毎日を平凡に暮らしてる人々の
所へ移住者が現れなければこの問題って起きなかった
のか…と思うこともあり移住前なら凹んでたけど今は
お互いが必要とした結果なので乗り越えようと思える。

これは2年間で得た自分なりの「地域おこし・地域貢献
地方創生」についての考え方だが「◯◯します」など
「やろうと思って出来ることではない」と言うこと。

その町に住み地域の方々と交流する中でいつの間にか
繋がりお互いの強みが合わさる可能性を見出し続ける
事が「新しい◯◯」を生み結果的に地域のための活動
になるのだと思う。実際に最近はご縁があった飲食店
との梅を使ったコラボメニューが完成したり、農園と
地域の方を繋ぐきっかけになれて今後の自信になった。

いつの間にか脱線し過ぎて自分でも何を言いたかった
のか分からなくなり始めてるのでまとめに入る(笑)


長々と書いてしまってますがまだ続きます。
もう少しだけお付きいただけますと嬉しいです。

まるで移住したことや地域おこし協力隊について
否定的な書き方になってるけどそんなことはない。

3年目に突入し2年間の苦労が報われた様な2024年は
非常に楽しみで人生の転換期になりそうな気がしてる。

そんな自分のことは置いといて、これから移住を考え
てる方には是非この映画に出会って欲しい。この映画
を観ればこんな事が起きるかもしれない…と心の準備
をした上で飛び込めるし、先に述べた移住先でのギャ
ップや精神的ダメージを緩和することができると思う。

これも否定する訳ではないがどんな移住セミナーや話
を聞くより、この映画を90分観るだけで自分が挑戦し
ようとしてるメリット・デメリットを知れると言って
も過言ではないぐらい徹底的にリアルを追求している。

映画を観た上で更に「現地へ行く」これをすることが
何よりも大切だと経験から言える。そこで短期バイト
の「援農」や「リゾートバイト」他にも「フリアコ」
と言う制度もあるので興味のある方は活用して欲しい。

【援農】農繁期に農家さんのお手伝い(主に収穫)を
する短期バイト。例)6月→梅、12月→みかん等
【リゾートバイト】ホテルや山小屋などの宿泊施設で
働く短期バイト。滞在先だけでなく食事付きの場合も。
【フリアコ】フリーアコモデーションの略で主に宿泊施設の業務を手伝いながら無料で滞在できる。中長期滞在
することで、その町の人や普段なら出会わないゲストの
方と交流し刺激を得ながら自分と向き合えるのが特徴。

今回はご縁があって田辺市での上映会に参加できたが
この映画は移住を検討してる方の多い都市部で観れる
機会を増やせたら良いのにな…と自主上映での様々な
事情は理解した上でいつかは叶って欲しいと思った。

そして舞台挨拶で監督から何とか全国での上映を実現
できるようにしたいと言う言葉から1ヶ月も経たずして
初関東上映会が決定し山下さんの有言実行にまた感動。

実は舞台挨拶終了後にメディアの方々に混じって山下
監督とお話しをさせていただいて自主制作ならではの
距離の近さもサッカーの地域リーグ感があり良かった。

また和歌山上映会の共催として司会進行や会場設営を
されていた「一般社団法人わかやま地域おこし協力隊
ネットワーク」の方と移住者として繋がることができ
これから和歌山で活動して行く上で大きなご縁だった。

移住してからこの「ご縁」と言う言葉が良く出て来る。

「ひとしずく」も2020年春からクランクインしコロナ
が無ければ2024年の今のタイミングで観れなかった。

コロナが無ければ、工藤さんが主演でなければ、田辺
市出身でなければ、弟さんがJリーガーでなければこの
ご縁はなかったと思うと本当に感謝の気持ちしかない。

その日に決めた目標は舞台となった鹿児島県南大隅町
への訪問を30歳になるまでに実現しロケ地の聖地巡礼
をしながら山下大裕監督に会って現地で話をすること。

その日を楽しみにこれからの活動を頑張りたいと思う。


過去最長の5,000文字越えが目前となって来ました。
お付き合いいただいてる皆様ありがとうございます。

こんな感情になった映画は初めてでした。改めて制作
に携わった全ての関係者の皆様に感謝申し上げます。

そして感動したもう1つの要素が挿入歌と主題歌です。

挿入歌:村島圭祐さん「ツボミ」

長崎県佐世保市出身のシンガーソングライター。最後
のマルシェに本人役で登場し爽快感のある歌声を披露。
この曲が収録されたアルバム「BOUQUET」で聴ける。

主題歌:麗奈さん「情熱」

鹿児島県鹿児島市出身のシンガーソングライター。
THEFIRSTTAKEのオーディションにてグランプリに。
透き通った歌声と熱い歌詞にエンディングでまた涙涙。

どちらも各サブスクでダウンロードできるので是非!

このnoteが移住を考えてる方に届き「ひとしずく」を
知るきっかけなり、決断する後押しになれば幸いです。

最後に公式パンフレットの紹介をしてこのまとまりの
無い自己満足が多分に含まれたnoteを終わりにします。

映画『ひとしずく』の公式パンフレット【自主上映版】です。
盛りだくさんの内容となっておりますのでご鑑賞の記念に是非お求めください。
※本パンフレットには脚本も全編掲載しておりネタバレがございます。作品鑑賞前の購入には十分ご注意ください。
※本パンフレットの一部または全部の無断複写・複製・転載(Webを含む)を禁じておりますので、表紙以外のページのSNS投稿などは固くお断りいたします。
《収録内容》
・制作の経緯
・監督プロフィール
・ストーリー
・映画タイトル『ひとしずく』に込めた想い
・人物相関図
・劇中場面写真【10ページ・合計59枚】
・エンドクレジット
・美術・小道具紹介
・映画『ひとしずく』脚本決定稿
※脚本決定稿は撮影現場での修正により本編と異なっている箇所がございます。これらも含めてお楽しみください。なお全編標準語です。
映画『ひとしずく』公式パンフレット【2024年1月21日発売】
仕様:B5サイズ(182mm×257mm)フルカラー28ページ
編集・デザイン:山下大裕
発行:山下組映画プロジェクト
Ⓒ DYC Entertainment All rights reserved.
※商品は厳重な梱包をしておりますが万が一折れや傷、濡れなどがありましたら代替品をお送りいたしますのでホームページの『CONTACT』よりお申し付けください。

「ひとしずく」が1人でも多くの方に届きますように。
最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。

ひとしずく公式X(@hitoshizuku2023)より引用
左から山下大裕監督・工藤成珠さん・油木田一清さん

この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?