イビくんの認識相乗実験に関する結果報告と個人的なポートレート 【EVYシリーズ】
1.経緯
イビくん。
これは呼びかけではなく確認である。
イビくんは、自らの実体の存在を疑っていた。
たとえば、林檎を手にして、齧る。林檎を齧った形跡は残るが、「林檎を齧った自分」はもうそこには存在しない。林檎を齧っている様子を写真や動画で撮影したものを見せられたとしても、それは「写真や動画を見ているイビくん」と同一ではない。
あるいは、鏡を見つめながら林檎を齧ったとしても、「鏡を見ているイビくん」を見ることはできない。「鏡を見ながら林檎を齧っているイビくん」と「そ