小島杏子

尾道在住のライター / 言葉を紡ぎながら、自分を覗き込んでいます。 ポートフォリオは、マガジン【これまでの仕事とこれからの仕事】をご覧ください。
固定されたノート

私、僧侶。29歳。何から解放されたいかって、そりゃあ◯◯から解放されたいです。

自信を持って自己紹介できたことがありません。

私はこういう人です!(ビシッ)
こういうことをしています!(バシッ)
今後はこれを目指しています!(ジャーン)

こんな立派に自己を紹介できたことはなく、私の自己紹介にはいつも(一応…)という枕詞が必要でした。

(一応…)こういう人です…
(一応…)こういうことしてたり…
(一応…)今後はこれを目指したいなーとか…

そこにあるのは、自信のなさ。

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夕日

忘れられない夕日、というのが人生のうちには何度か訪れるような気がしている。それは幼き日の小さな胸をいっぱいにするような辛い思いをした帰り道だったかもしれないし、ずっと大切に思っていた誰かとの別れのときに差し込む夕日だったかもしれない。

特別なわけもなく胸が詰まってしまった夕日の風景がある。それは大きなフェリーから眺めた異国の夕日だった。

フィンランドに数日間滞在していた私は、ヘルシンキから船で

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旅のはじまりと、友人のこと

2018年10月19日の夜明け前。なぜこんな時間のフライトを予約してしまったんだ……。そう30回は頭の中で唱えつつ、私はまだ真っ暗なヘルシンキの町をゴロゴロとスーツケースを押しながら歩いていた。

フィンランド トゥ アイスランド

 
  数日間滞在したアパートメントのあるカンピ地区から徒歩で10分ほど、スーツケースのコロを数歩ごと石畳のくぼみにひっかけながらだと15分ほどでヘルシンキ中央駅に

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外国へ行く理由

外国は不便だ。まず言葉が通じない。空港の職員は怖いし、トイレは綺麗じゃないし、湯船にも浸かれない。どう考えても世界で一番美味しいのは、お茶漬けと大根の古漬けに決まっているし。外国にはそのどちらもない。

でも私は外国に行く。スーパーのレジでまごついて店員に呆れた顔をされても、iPhoneのGPSが大間違いの場所を現在地だと言い張っても、洗濯機の排水溝が詰まって汚水が逆流しても、重すぎる食事が全然食

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夜の話

昔から、眠るのが下手な子どもだった。

赤ん坊のころから夜泣きも激しく、寝つきも悪かったのだと母は言う。妹は3冊ほど絵本を読めばすんなり寝付いたのに、私は全く眠らないからついに母の方が先に陥落して、よく私の顔の上に絵本を落としていたそうだ。痛そうである。

少し大きくなって、そばで絵本を読み聞かせてもらうことがなくなっても、私の寝つきは悪いままだった。部屋を暗くして、布団をかぶり、目を閉じる。カチ

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瀬戸内の食卓から 〜しその穂の塩漬けと、でべら茶漬け〜

家の目の前にある畑は、父の城だ。もう一度勉強していいなら農業高校に入りたいと常々言っている父は土いじりが好きで、畑はいつも何かしらの作物が実っている。

とはいえ今年の夏は特別厳しかったから、例年のようにトマトもきゅうりもナスも順調には育たなかった。青じそだけは元気に育ったので、若葉はもちろん、伸びきった穂もこれから収穫して塩漬けにする。

しその穂の塩漬けは、我が家になくてはならない薬味だ。凝縮

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ありがとうございます!今日は美味しいもの食べてください!
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