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10. 大学職員の労働環境

タケシがQ大学を退職する3年前。
タケシはQ大の”施設部”という部署に異動した。
タケシ30歳。
やっと希望の部署に配属された。

当時、Q大は福岡の比較的街中にあるキャンパスから、少し離れた土地にキャンパスを移転している最中だった。
それに伴い、多くの建物が新設、改修されていた。
その建物の設計から工事の現場管理、メンテナンスまで一貫して担当する部署、それがタケシ配属先である”Q大施設部”であった。
タケシはそこで、大学施設の設計がしたかった。そのために民間企業から転職したのだ。

Q大施設部で、タケシは自分なりに必死に働いた。
本当に、プライベートも寝る間もなかった。
職場を退勤するのはほとんど22時過ぎ。
2日間連続で徹夜することもあった。
上司からは「30時間以上、残業時間を申請するのは非常識だ」と言われ続け、サービス残業が常識だった。
周りもそうだった。
それがみんなの常識だったのだ。
「残業代を払う決まりになっている法律のほうが間違っている」という文化だった。
そして毎日、部下に対して大声での叱責が長時間続く。
毎日、常に誰かが叱責されている。
みんな毎日、本当に寝る間もなく働いてる。
しかし、その甲斐なく、労ってくれる人間はいない。
若手からどんどんリタイヤしていった。
3年間でタケシの後輩が2人、リタイヤした。

しかしタケシは辞めなかった。
自分がやりたいと思ったことを今やっているのだ。
転職してまでやろうとしたことを今やれている。
異常な環境であることはわかっている。
でも、ここで辞めたら3年間も上司の川島からのいじめに耐えてきた苦労も報われない。当時はそう考えていた。

それに、「こんな理不尽な奴らに負けたくない。」そんな気持ちも強かった。

しかし、そんな環境で働き続けたある日、勤務中にタケシは身体に違和感を覚える。
身体が痺れて指先も震える・・・。

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