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無人島に持っていくならヘックスバーとバーベルどっち?

本当の実力が知られておらず、それゆえに適正な評価が与えられずに、不遇な扱いを受けている人は少なくありません。ヘックスバーもその1人です。職業筋肉として、ヘックスバーに対する正しい評価を皆さんにしていただくために私は今日まで生きてきたとすら言えます。

筋肉散歩(ヘックスバーのプロモーション)

ヘックスバーの素晴らしさを世の中に知らしめるため、ありったけのプレートをつけて広尾から麻布十番まで歩いたことがあります。プロモーション活動です。筋肉散歩をすれば街中の方がヘックスバーの素晴らしさに気づき、「一家に一台ヘックスバーの時代」が訪れるだろうと期待して約2キロ歩きました。

結果、港区でこの日に売れたヘックスバーは0個(山田調べ)。私は猛烈な筋肉痛とそれに伴う38度の発熱を引き起こしました。コロナワクチンよりも筋肉散歩による副反応のほうがはるかにきつかったです。

プロモーションの効果が不十分だった理由は、重量が不足していたことが要因なのは明らか。次回は400キロくらいでやる必要があります。(このときは260キロ、Light Weight BABY.)

とんでもない重量を扱いながらも"Light Weight BABY."でおなじみロニー・コールマン。ロニコーに比べたら260キロは…。

効率よく鍛える

PANDA GYMはスクワット特化を標榜していますが、その背景には"効率よく"トレーニングをする、"効率よく"体をつくるというように、「効率」というキーワードがあります。ここで言う"効率"はトレーニング種目自体のことも指しますし、トレーニングフォーム習得にかかるまでの時間も指します。ヘックスバーは扱いやすく設計されているため、トレーニングフォーム習得までの学習時間が短く、トレーニングそのものに集中しやすいというメリットがあります。

全身の筋肉量を増やしたい、短時間で効果的なトレーニングがしたいという目的であればヘックスバーは間違いなくいい選択の一つです。「バーベルデッドリフトが強くなりたい」、「バーベルスクワットが強くなりたい」という目的でトレーニングするのはパワーリフターのような競技で取り組んでいる場合であって、一般的には(競技成績をあげたいアスリートでもダイエット、健康目的であろうと)得られる効果が同様なら何でもいいわけです。

アスリートだって時間がない

私のクライアントのビジネスパーソンは忙しい人が多く、効率を求める方が多いです。一方でアスリートは競技しかしなくていいわけですが、違った視点でアスリートも時間がありません。競技人生のリミットです。

もちろんフォーム習得の過程で獲得できる能力や気付きは大きいものはありますが、アスリートにとって現役の時間は限られているので手っ取り早くカラダを作って競技練習に時間を割くべきです。

「トレーニング効果は、トレーニングしたようにしか高まらない」つまり、どんなにキツいトレーニングを行っても、それが競技特性と結びつかなければ競技成績につながらない。これを競技特異性とい言います。専門競技の技術レベルはしっかり高める努力をすべきです。技術練習の時間を確保するという観点でアスリートも効率よくトレーニングをしてカラダを作り、技術練習の時間を作ることが重要です。

「これをやらなきゃいけない」という決まりはトレーニングにはありません。何らかの理由である種目ができないとしても、代替種目があります。もちろん優位性や効果の違いはありますが、トレーニング自体は手段であって目的ではない。ここを誤ってはいけません。トレーニングはあくまで手段です。なんならトレーニングもしなくて健康になれるならトレーニングも必要ないわけです。トレーニングの代替になるものは少なくとも現代にはないのでトレーニングは必須なのですが。

なぜヘックスバーは有用なのに流行っていないのか?

ヘックスバーはそもそもの認知度が低く、あまり知られていません。YouTubeやテレビでアスリートが使ってるのをなんとなく目にしたことがあるくらいではないでしょうか。

大谷翔平 選手もヘックスバーでデッドリフトしています。腰を傷めにくいため、野球選手のトレーニングにはよく取り入れられていると思います。

ヘックスバーをみなさんがなぜあまり目にすることがないのかと言うと、用途が限られているため、空間効率を考えるオーナーの場合、ジムに設置しないことが多いということも理由の一つです。ちなみにPANDA GYMにはヘックスバー(トラップバー)が4本あります。

「空間把握能力ついてねえのかよ!」

と買いすぎて怒られました。でも後悔していません。

「無人島に持っていくならヘックスバーとバーベルどっち?」

悩みに悩んで発熱したこともありますが、多くの人は汎用性の高いバーベルを選ぶことでしょう。(これも「多くの人はそんな問いの設定をしない」と一蹴されましたが、そんなにみんな想像力が乏しいんでしょうか。かわいそうです)

マシン一台置くスペースにヘックスバーを置くのはアリかと思うのですが、ジム管理の視点では、マシンの方がお客様が使い方に悩まず、説明のための人件費は減らせ、怪我のリスクもより低いマシンを置くのかもしれません。漠然と安全で簡単そうなマシントレーニングがしたいと思う人はいても、ヘックスバーがあるからジムに入会するという合理的な人は悲しいことにまだ少ないです。

用途や強度を適切にコントロールしていけば、大変効果的で安全にトレーニングをする事が可能になるので、施設で見かけたら積極的に使ってみる事をおすすめします。

そもそもヘックスバーって何?

ヘックスバー(別名トラップバー)は"HEX"すなわち六角形をしたバーベルの事を指します。この六角形の中心に入り様々なトレーニングを行えるのが特徴です。

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一般的なヘックスバー。真ん中に入って重量を持ち上げます。上を掴むか、下を掴むかで可動域が変わる。

一般的なのがヘックスバーデッドリフト。効果はデッドリフトというよりスクワットとデッドリフトの中間くらいの効きになるのが特徴です。

通常のバーベルであれば、グリップを握り持ち上げると、足にバーベルがぶつかるため、身体の中心軸よりも必ず前でバーベルを保持することになります。この状態におけるバーベルと腰のモーメントアームは長いため、腰への負担は必然的に大きくなります。

デッドリフトに苦手意識を持っている、デッドリフトで腰を痛めた経験のあるトレーニーは少なくないのではないでしょうか?

この腰とバーベルのモーメントアームの距離を縮めたり、広背筋を関与させて体幹部の剛性を高める、臀筋やハムストリングだけでなく四頭筋を上手に使うというのがデッドリフトの要になるのですが、修得はそれなりに難しいものです。多くのトレーニーがデッドリフトを避けたり、背中のトレーニングを苦手とする原因がここにあります。

しかし、ヘックスバーなら形状のお陰で重量の中に入る形がとれます。そのためバーの中心軸と身体の中心軸が近い状態となり、上級者のデッドリフトと同様のフォームが自然に作り出せます。結果、腰部への負担が大幅に軽減できるのです。

ちゃんと専門家の指導を受けずにバーベルデッドリフトを行わせると脚をあまり使えず腰引きになってしまうのですが、ヘックスバーだと多くのケースで膝がしっかり曲がって自然と脚を使える事が多いです。ヘックスバーならフォームを習得せずに適当に行っていいという意味ではありませんが、フォーム習得は容易です。

そのためアスリートのトレーニングとしてもおすすめです。ジムでは見なくても、野球やラグビーの練習風景ではちょくちょく目にするヘックスバー。その理由は有用だからです。

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PANDA GYMにあるトラップバー。こちらはヘックスバーと違い、ぐるっと囲われていないため、ブルガリアンスクワットのような脚を前後させる動きに対応しやすい作り。

極論、アスリートは筋力は欲しいけど筋肉痛を避けたい。筋肉痛で競技練習に支障をきたしたり、局所的な筋肉痛でフォームが崩れるのは望ましくない。(もちろんシーズンによってはトレーニングの比重が高まって筋肉痛も辞さない時期もあります)ヘックスバーデッドリフトであれば、局所的な疲労というより全身を使って分散できます。

ヘックスバーデッドリフトの具体的なポイント

デッドリフトの代替として行うなら股関節メインの動作にするのもありなのですが、個人的には膝も股関節も関与させやすくするために上体をより垂直に近い状態まで立てて、股関節と膝関節を中心に上下させるフォームがおすすめです。負荷を分散できるし、多くの筋肉が関与するのでこれ1種目だけでも多くの筋肉を刺激できるいいトレーニングです。

ヘックスバーではグリップの高さが2つあるものが多いです。低い方だとバーベルのデッドリフトと同程度の可動域。高い方だとスタート位置が8〜12センチほど高くなります。腰にも優しく高重量を扱えるのでまずはハイグリップがおすすめ。

動作のポイントとしては

・ヘックスバーの中央で肩幅で立つ

・肩を引く(背中を丸めない)

・腹圧をかけて体幹部を固める(お腹を膨らませる)

・三頭筋に力を入れて広背筋をしっかり関与させるようにする。

・スタート時にしっかり脚を使って足裏全体で床を踏む

まずはこのあたりを抑えましょう。

慣れてきたらローグリップで可動域を広げるのもよいでしょう。膝の屈曲伸展も大きくなるので四頭筋の関与が大きくなります。柔軟性も要求されるので代償動作で腰が丸まらないようにしっかり腹圧を高めて適切なフォームを保てる重量で行いましょう。

PANDA GYMへの入会

こんな素晴らしい効果があるのにあまり一般的なジムには置かれていないヘックスバー。なんとPANDA GYMには4本あります。(大事なことなので2回言います)

そんなPANDA GYMへの入会はこちら!

クラウドファンディングもやってます!是非!


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