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価値ある人間になるために必要な「ベントオーバーロウ」の理解

皆さんは人間の価値は何で決まると思いますか?

人間性?優しさ?学歴?資産?

いいえ。正解は「ベントオーバーロウについての理解度」です。いくら学歴があろうと資産があろうとベントオーバーロウを理解していない人間に価値はありません。

今回はやや嫌われることもあるバーベルベントオーバーロウについて。

個人的には非常に好きな種目の一つで、パーソナルトレーニングの指導においても取り入れることが多いですし、自身のトレーニングにも取り入れています。

一方で指導していても思うのですが、ベントオーバーロウは非常に難しい種目で、嫌う人の気持も分からないでもありません。上体角度や手幅、グリップ、脇の広げ方などなどの自由度がかなり高いために気にすべきポイントも非常に多いです。また、背中を鍛えるという目的に立った場合、バーベルベントオーバーロウは他のトレーニング種目で代替できるというのも事実です。

ただし、バーベルベントオーバーロウをプログラムに取り入れるメリットも多くあります。同じ動きのダンベルローイングより高重量を扱えるし、ハムやケツの柔軟性を養い、使うことで連動性を養うことは筋肥大においても競技力向上においても有用です。

広い背中は頼りがいがあり、上司部下、パートナー、取引先と関係性を問わず頼られるに違いありません。というわけで、バーベルベントオーバーロウをマスターして広い背中と厚い信頼を手に入れましょう。

トレーニング種目のトレンド

トレーニング種目のトレンドは確実にあります。

影響力のある選手が取り組んでいる種目なんかは分かりやすい例です。ジムでトレーニングしている人を見て、ああ。〇〇のYouTube見たんだなってのと分かるやつです。

鈴木雅さんの影響でゴールドジムでもスタンディングのワンハンドサイドレイズが大流行した時期がありました。実際とてもいい種目です。

そんな中で、「これはちょっとビギナー向けの種目じゃないよな…」というものもあります。まずは基礎種目やり込むのが吉。

でも基礎種目って習得が難しいんですよね。

トレーニングマシンが変えたトレーニーのカラダ

マシンが進化してトレーニーのカラダも進化した。

何を言っているか分からないかも知れませんが、これは事実です。

ボディビルダーやフィジーカーを見ても、昔のように弱点部位が明確にあるという選手は少なくなりました。

これは、フリーウェイトや少なからず扱いが難しい部分もあったマシン種目が進化したマシンに移行していったことと大きく関係しています。

つまり、フリーや昔のマシンだとテクニックやフォームに依存する要素が高かったものが、進化したマシンの登場により、一定ルール守って取り組めばターゲット部位を刺激できる様になったのです。

昔のマシンは動作の中で負荷が抜けてしまう箇所があったり、扱いにひと工夫が必要なものも多かったです。今はグリップひとつとっても人間工学などよく考えられたものでターゲット部位に刺激が入りやすくなっています。アタッチメントのMAGグリップなんかもそうですね。考えなくてもそれを使うだけでよいという。

それでも残るフリーウェイトの有効性

フリーの難しさはここにあります。癖が強く出るから刺激できる部位は発達するし、取り残される部位も出てきます。

だから昔のビルダーの方が体に個性があったように感じます。今は体の完成度で競ってる感じ。でもマシンが進化した現代でもフリーの有効性はあります。

背中のトレーニングでベントオーバーロウは必須か?

個人的には背中のトレーニングにベントオーバーロウは必須だとは思っていません。やらない理由があるならやらなくて良いかと。

ただホームトレーニーなど選択肢が限られている場合はマスト種目

腰やハムへの負担やターゲット部位にフォーカスできないといった理由からプログラムから外している人も少なくないかと思います。ただし、ベントオーバーロウは角度やグリップ、脇の開きなどバリエーションをつけて行えば背中の大半の筋肉をカバーできる種目です。

ベントオーバーロウを取り入れる際はプログラムや分割法を再考する必要があるかもしれません。

バーベルベントオーバーロウが背中に効かない

そもそもベントオーバーロウが背中に効かないという人もいるのではないでしょうか。

ベントオーバーロウで腰ばかり張る、という人はデッドリフトを取り入れて姿勢保持を強化&腰の可動を減らすことを学びましょう。腰を使わずに上体を動かすためのトレーニングとしてデッドリフトは優秀です。

デッドリフトの記事はこちら↓。

デッドリフトを覚えるとハムケツで支えて腰を動かさずに上体をコントロールできるようになります。

広背筋のテンションと走方を考える

背中には沢山の筋肉があり、それぞれ機能が違います。したがって、背中をオールインワンで鍛えられる種目はありません。

背中の筋肉は多角的に刺激する必要があるのです。

プルダウンやロウで手幅や上体の角度を変えつつ行う必要があるのは多角的に刺激を加えるためです。

肩関節の伸展動作は屈曲動作に比べて全体的に強い傾向があり動作的に高負荷を扱いやすいです。

肩関節は伸展動作のほうが力が強い

グリップを広げると肩甲骨の内転(肩甲骨を寄せる動き)がメインとなります。この動きのためには肩関節は水平外転させる(脇をあける)ようにすると効果的です。

逆に広背筋を鍛える場合はグリップ幅を肩幅〜肩幅より少し広い程度にしておくと良いでしょう。

肩関節の内転と外転

広背筋狙いのベントロウでは肩関節を外転させずに、脇を閉める形で引くのが効果的と言えます。

ベントロウのボトムでテンションが抜けるケース

エクササイズ中は目的にもよりますが対象部位から緊張が抜けないように意識しましょう。

といってもフリーだと負荷が抜けやすい局面が生じます。

そもそもフリーはターゲットの筋肉の動きと負荷方向にカラダを調整しないといけないのが大変です。マシンは狙った動作に特化したつくりとなっていることが多いので、窮屈でない楽な姿勢で力を発揮できるデザインになっています。

とはいえ、身体の連動性を養う事は筋肥大においても重要です。

連動性を養ったり背中の基礎を作るためにもベントロウは有効だと私は考えています。

ベントオーバーロウをやってみよう

では、実際にバーベルベントオーバーロウをやってみましょう。

ベントオーバーロウのグリップ

基本的にはグリップは脇が閉めやすくなるため、サムレスがおすすめです。(サムレス=thumb less 親指を使わない)

脇を開けて行う僧帽筋狙いの場合はオーバーグリップ。

サムレスのオーバーグリップ

アンダーグリップの場合だと、脇が締まり純粋な肩関節伸展動作に近くなります。よって肩幅程度が適切。

前腕の回外制限がある場合などEZバーを利用すると良いでしょう。

EZバーでのアンダーリップ

握力に不安があればパワーグリップを使いましょう。

パワーグリップは一時期馬鹿みたいに色々試しましたが、意外と安いけどALL OUTのものはよかったです。ゴールドジムのものはいいんですが、最近ちょっと値段が上がりすぎですね。

ベントオーバーロウのグリップ幅

グリップ幅を狭い場合、肩関節の伸展動作がメインになります。

グリップ幅が広い場合、肩甲骨の内転動作がメインになります。

どちらかだけ、という話ではなく有意に使われる比重が変化すると理解してもらえればと思います。

肩関節伸展の主導筋は広背筋。よって広背筋をターゲットにする場合、狭めのグリップになります。どの程度の狭さかというと肩幅よりやや広め。肩幅より狭いと体幹部に干渉するのでレンジが狭くなります。

僧帽筋の中部、下部をターゲットにする場合は広めのグリップとなります。
グリップを広げることで肩関節の水平外転と肩甲骨をしっかり寄せられるようになります。目安として肩幅の1.5倍。81センチラインに触れるくらいでしょうか。

ベントオーバーロウの上体の角度

ベントオーバーロウの上体角度に正解という正解はないのですが、狙う部位によって上体の角度は変化します。

ターゲットとかわからん!

と漠然と背中を鍛えたい方は腰に不安がなくハムケツの柔軟性に問題がなければ上体はしっかり倒しましょう。効きます。

前傾角度が大きいと肩関節の可動範囲が大きくなる&腰の負担が増します。

上体を立てると僧帽筋の関与が強くなります。可動範囲も小さくなり高重量を扱いやすい。ですが、上体を立てすぎると広背筋は鍛えられません。

上体を完全固定のストリクトスタイルから動作に合わせて上体の角度を変えていくフォームもあります。この辺はテンポというかリズムが大切です。

ベントオーバーロウの足幅

基本的には左右の足幅は腰幅前後で調整しましょう。力が入りやすいです。

ベントオーバーロウの足底の重心

足底の重心位置は、基本的には足裏全体にかかるようにします。

動作のボトムでは踵気味、トップではつま先気味。あくまで足裏の中で比重を変える程度です。接地箇所が浮いたりするほどではありません。

これにより上体の煽りが制御しやすくなり、ハムケツの関与も強めになります。

ベントオーバーロウの軌道

肩関節の伸展にフォーカスする場合、脇を閉める形で下腹部を目掛けて引くようにします。

脇を閉めて引く位置が胸だったりすると肘の屈曲が強くなり腕に効きます。
肩甲骨の内転にフォーカスする場合は脇を開きます。

ベントオーバーロウのチーティング

ベントオーバーロウはある程度チーティングを前提としたエクササイズだと思っています。

高重量を扱う場合は特にそうです。

ズルというか意味のない(背中に効かない)エクササイズにしないためにチーティングも匙加減がポイントです。

トップで収縮させられる程度にはコントロールができる重量設定にしましょう。

振り回すのは良いですが重量に振り回させるのは怪我のリスクも高まりますしNG。

そういう意味でも重量設定は大切です。

ベントオーバーロウのバリエーション

基本のベントオーバーロウについては上記の通りですが、フリーウェイトのベントオーバーロウはバリエーションも様々です。色々できる。逆にいうとこの自由度の高さが魅力でもあるのですが、難しさでもあり、嫌われる理由の一つかもしれません。目的を理解し、トレーニングに取り入れていくことで、一皮むけたひとつ上の背中を目指しましょう。

アンダーグリップベントオーバーロウ

アンダーグリップで握ります。広背筋下部をメインとして広背筋に効かせやすい種目です。

こちらはEZバーを用いるのもアリです。

ワイドグリップベントロウ

先にも書いた様に、ワイドグリップにすると脇が開くので僧帽筋中部と広背筋上部を鍛えられます。

肩甲骨の内転がメインですが、肩関節も水平外転&屈曲となるので広背筋の上部も鍛えられます。

ケーブルベントオーバーロウ

フリーで背中に効かせられない人におすすめなのがケーブルベントオーバーロウです。

動作中、勢いをつけなければ負荷が抜けないのでハムケツで支えつつ広背筋を使う感覚を掴みやすい種目です。

負荷方向が斜めとなるのでボトムで広背筋のテンションを感じられます。

広背筋のストレッチ種目としてプルオーバーがあります。肩関節の屈曲角度は違いますがこのイメージがボトムであるとグッド。

足を踏ん張りつつ水平方向に引くという対人競技における立位でのプル動作のイメージが掴みやすい。

ケーブルで感覚を掴むと、広背筋のテンションが抜けないレンジが理解出来るはずです。この感覚をもってバーベルベントロウを行うと、これまでよりも可動域が少し狭くなるかと思います。

背中の発達しているボディビルダーのベントロウを見るとこの辺がしっかりできていることが多いです。ただ、このあたりを選手本人が言語化したり意識しているかは分かりません。できているけど説明できないというのはスポーツ競技でもよくあることですね。

ベントオーバーロウの魅力は伝わったでしょうか?本noteをきっかけに明日から全国のジムでベントオーバーロウが見られることを期待しています。

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