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【職業筋肉Basic Training】#001_ケトルベルスイング

ベーシックなトレーニングについての解説をしていくシリーズものを月2回くらいのペースで始めてみようと思います。初回はケトルベルスイング。

実は私、日本ケトルベルトレーニング協会を勝手に発足し、会長に勝手に就任しています。ケトルベルを愛するあまりイサミから山田崇太郎プロデュースのケトルベルも発売されています。

山田崇太郎プロデュースのケトルベル
よく見ると"PRODUCED BY SOTARO YAMADA"の銘が入ってます!

スポーツの肝「股関節伸展」

スポーツパフォーマンスの肝とも言える動きに股関節伸展があります。

そこに生じやすいエラーを改善する事はより高いパフォーマンスを獲得することに繋がります。今回紹介するエクササイズはここへのダイレクトなアプローチです。 

股関節伸展はスポーツパフォーマンスにおいて重要度の高い動きです。

トレーニング理論もこちらに重点を置いたものは多くありますし、股関節の使い方次第で競技パフォーマンスが大きく変わる事は間違いありません。

競技トレーニングにおいて「どれだけ地面反力を生み出すことができるか」はとても重要。躍動感のある動き、高い出力、ブレーキ動作、爆発的なスタートは地面反力なしではあり得ません。

“高い腹腔内圧と強い股関節伸展筋力”

ここが強い地面反力を生み出す多くの運動連鎖、動力の中心です。

股関節伸展筋の主動筋は大臀筋とハムストリングスです。高いパフォーマンスを発揮するアスリートの共通点として大きな臀筋が挙げられます。高いパフォーマンスには強い臀筋が必要なのです。

だからスクワットやデッドリフトを行って股関節伸展筋を鍛える。この辺はみなさんご存知かと思います。

ただこの中にエラーとして生じやすい、力の伝達においてもロスとなり傷害のリスクも高まる動作も股関節伸展と合わせて行ってしまっているケースが多く見られます。

エラーの主要因は何でしょうか?それは腰椎の過伸展にあります。

腰椎の過伸展

腰椎の過伸展、つまり腰が反ってしまうことです。何も意識せずに股関節を伸展させると体幹部も連動して伸展します。

腰が反ると腹筋も力が抜けやすくなり、重心も変化します。

バックスクワットで反り腰になっていたり、ベンチプレスで過度なブリッジを組んで腰痛になる人は少なくありません。(ベンチプレスでもしっかり腹筋を使うというのは以外にも見落とされがちなポイントです)

こうなると腰痛のリスクも高まりますし、股関節をターゲットとしたトレーニングの効率も低下します。

腰が反らないためには?

では腰がそらないようにするにはどうしたらいいのでしょうか?腹筋が弱いというより動作の中で"使えていない"ケースが多いように感じます。動作の中で使う感覚が足りない。姿勢制御に問題があるのでしょう。位置感覚などですね。

分離と協働

私のnote等でこれまで何度も触れてきたポイント、"分離と協働"。体幹部はしっかり腹筋を効かせよう。ただし股関節は動かしますよ。

ということでプランクです。

体幹トレーニングなどでよく行われるプランクですが、負荷方向が一致してないとか、腹直筋の肥大にはクランチがいいとか評価が下がっている風潮も感じなくもありません。

正しいプランク

そもそもあなたが行っているプランクは正しいでしょうか?ジムでプランクをしている人もよく見かけますが、反り腰でただ腰への拷問みたいなトレーニングやってる方がとても多いです。

体幹トレーニングの意義を再確認

また、「体幹を鍛える」と一口に言っても、体幹トレーニングすることの意義についても再確認しておきましょう。体幹トレーニングの意義は「体幹を整えることで全身のバランスを高めて安定性を増す」といったことがテーマになっています。

よくある勘違い、"『体幹』=『腹筋まわり』"というのは間違いです。

体幹部の定義は四肢を除くもの、です。体幹トレーニングも腹だけでなく前鋸筋や首といったパッケージで作られています。筋力だけでなく姿勢制御や位置感覚も養う意識がポイントとなります。

そして体幹トレーニングをどう使っていくのかについてもとても重要です。ただ単に体幹トレーニングをやって満足しちゃダメです。パフォーマンスを高めるためには繋げていくことが肝要です。

体幹トレーニングをしっかりと行うことで、応用的なストレングストレーニングなどでも体幹トレーニングを活用させる

競技練習にも体幹トレーニングを活かせるようにしていくことで結果としてパフォーマンス向上させる

となったりです。今やっているトレーニングは何のために行っているのか?これを自問自答する癖はトレーニング効果を最大化するためにはとても大切なことです。漫然とトレーニングするだけでは成果はなかなか出せません。

ケトルベルスイング

そんなわけでケトルベルスイングです。ケトルベルが無い人はケトルベル買いましょう。

山田プロデュースのケトルベルがございます。買うと私にもいくらか入ります。ありがとうございます。

届くまではダンベルで代用してください。

step1

まずは体幹部の安定を意識して股関節を軸にして前傾→直立の動作を練習しましょう。

股関節はしっかり伸展させる。立位でのプランクのようなイメージで踵、膝、腰、肩、頭まで一直線にすることを意識しましょう。

立位でもプランクを意識

今できていてもstepの後半になった時に再確認すると股関節伸展が出来なくなっている人が多いはずです。トレーニングあるあるですが、トレーニングの主目的ではなくトレーニング動作そのものに最適化しちゃうんですよね。その動作をやることが目的ではないのです。トレーニングの目的は回数をこなすことではなく、それを通じて正しい動きを学習したり目的部位を強化することにあるはずです。いちいち重複しちゃうので後では言わないので見返したり思い出したら確認してみてください。動作確認を細かくstepを追うごとに行う事で効果は高まります。

足は肩幅。(ケトルベルを膝にぶつけると痛いです。)

股関節軸に体を倒す。ここだけで見ると歩幅の広いルーマニアンデッドリフトです。

股関節を軸に倒す

膝は前傾時に軽く曲げましょう。

足裏の重心はフラットな接地。踵は浮かさず、母指球の接地を意識しましょう。

ケトルベルを振り上げた際のトップの姿勢の確認もしておきましょう。

背中に意識を置き、肩を引いた状態で振り上げることを意識する

昔、はるか昔ですが、ケトルベルの遠心力で前にすっ飛ばないようにする簡易的な説明で踵重心と説明していた過去があります。踵だとお腹抜けやすいんですよね。今では腹筋やらの連動を考えて母指球でフラット接地と説明しています。

step2

step1ができるようになったらケトルベルを持つ。

スイングではケトルベルを振り回すわけですが、肩で振るのでなく、股関節を主導で行いましょう。

ケトルベルのセッティングにもポイントがあります。

セッティングの際に身体から離した位置に置く

上の写真の様にケトルベルを身体から少し離した位置に置きます。

離したケトルベルを取ることにより背中に意識を向ける

離れたケトルベルを取ることにより広背筋への意識を促す目的です。

ケトルベルを振り上げる高さは肩の延長線。

ケトルベルは肩の延長線上まで振り上げる

まずはケトルベルを置きに行きます。コントロールの練習。

このやり方だと動作スピードを制限する形でコントロールしているので負荷は低いものとなります。

step3

スイングの負荷を腹筋で受け止める。 

プランク+プルオーバー。

慣れてきたら急停止を腹筋と前鋸筋、広背筋を使って受け止めましょう。

全力で振り上げたケトルベルの勢いを腹筋でキャッチします。

プルオーバーの感覚を掴む練習方法として、ストレートアームでのケーブルプルオーバー(バンドでも代用可)でアイソメトリックを行うと腹回りや広背筋に力の入れる感覚が掴みやすいかと思います。壁を作るのです。

step4

股関節にも大きな刺激を与えるために全力で振り下ろす。

往路も復路も気を抜けないエクササイズ。

一般的なエクササイズではポジティブ動作(挙げる動作)で主動筋が短縮して、ネガティヴ動作で主動筋が短縮しながら筋力発揮するわけです。

ベンチプレスだと降ろす動作で大胸筋は遠心性で筋力発揮。ベンチプレスの降ろす動作ってロウイングの動きと同様ですが、広背筋を使うわけではないですよね。(拮抗筋やらの働きとしてではなく)

step2のスイングはこれに当たります。
臀筋とハムストリングが収縮して振り上げて、降ろす動作では臀筋とハムストリングで制御しながら受ける(タメを作る)

ここでは降ろす際も能動的に広背筋、、前鋸筋ら腹直筋、腸腰筋、大腿直筋を使って振り下ろすのです。(ネガティヴ動作の際負荷を受け止めるのは臀筋やハムストリング)

ポジティブ動作ではstep3同様、切り返しで腹筋で受けてやりましょう。

気持ちの上で休むタイミングの無いハードなエクササイズとなります。

スイングの設定

レップを決めて行うのもいいですし、私が多く取り入れるのは時間。20〜30秒でのAMRAPとかですね。

ハイレップで行うスタイルもありますが、フォームを維持できるないうちは控えましょう。どうやってもレップを重ねれば質は低下します。

何のために行うのか?

こちらでは股関節伸展に伴う連動性、ポステリアチェーンとかを鍛えることと、抜けがちな実動作における腹回りのトレーニングとして、提案します。
もちろんボディメイクとして尻のトレーニングやハムストリングのトレーニングとして行うのもいいでしょう。

ただ純粋なサイズアップが目的であればバーベルなどを用いたルーマニアンデッドリフトを選択します。

ケトルベルの重量選択

まずは軽いもので行いましょう。フォームを保つ事も大事。スピードも大事。

男性でも8〜12キロくらいからスタート。トレーニングしている方なら16キロくらいからはじめるのも良いでしょう。 

step5

片手で行う。(肩の高さまで)

アンチローテーションとして、片手に集約させて力を伝達するトレーニングとして。

動作エラーの修正

ヒップヒンジのエラー(股関節がうまく使えない)修正のためのストレッチ例も紹介しておきます。

まずは腸腰筋のストレッチ。体幹部は反らないようにキープ、股関節の前面をストレッチしましょう。ストレッチ側の臀筋に力を入れるのがコツです。

体幹部が反らない様に意識

次に大腿直筋のストレッチ。大腿直筋は股関節と膝関節にまたがっている二関節筋なので股関節だけでなく膝関節も曲げてストレッチしましょう。

股関節だけでなく膝関節も曲げてストレッチ

ケトルベルを背面で保持してのグッドモーニングも有効

背面でケトルベルを保持してグッドモーニング

お尻を突き出してケトルベルを押し込むように前屈
背面で持つので自然と肩甲骨が内転するため、体幹部が正しい姿勢で保持しやすい。

おわりに

ケトルベルトレーニングについての指導はPANDA GYMにお任せください。トレーニングの種類も目的に応じて色々と指導可能です。

ケトルベル売ってます。(買ってください)この辺の収益で生きています。

本も出してます。

内容は名著と言って過言ではありません。タイトル先行で誤解されがちですがいい本です。

メンバーシップもやってます。メンバーシップでは過去の有料記事がすべて読めることに加え、今後メンバーシップ限定のマガジンの発行も予定しています!

ジムにもぜひ来てください。

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