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【創作論】カクヨムコンの歩き方

本作について

・本作は以前カクヨムで公開した創作論を転載したものになります。元記事はこちら
・「note版公開にあたって」以外は全て、カクヨム版と同じ内容になります。

(以下カクヨム版概要より転載)

◇本作について◇
・本作は「カクヨムコン4」を題材にした「作品を読むときにやった方がいい事」を主観でまとめたものです。
・本作が「完璧な正解」であるとは思っていません。あくまで「こう思うんだけど、どう?」くらいの理解でお願いします。
・本作は作品の評価等を「強要」するものではありません。するかしないかは個人の自由です。

note版公開にあたって

 昨年末から今年の頭にかけて開催されたカクヨムコンが6であることを考えると、実に二年以上前に書いたものになります。懐かしい。

 内容としては「カクヨムコン4の歩き方(以下歩き方)」と銘打ってはいますが、基本的にはネット小説全般に通じる部分のあるものではないかと思います。
 作品を評価する、反応する。大切なことです。

 残念ながら、自分は現状、ネット小説のメインストリームに乗っかっているとは言えません。
 従って、この「歩き方」のような形で作品が発掘され、そして、大きな盛り上がりを持つということに対しては半ば「諦めている」ということになります。

 その為、以下の論理は「読み手として、どう探すか」というポイントのお話に終始していて、書き手側に関しては、これから自分が様々な取り組みをしたうえでもう一つ纏められたらなと思っている次第だったりします。
 まあうまくいくかは分かりませんけど。

 それでは、ウェブ小説という偏りの世界を旅するための指南書、どうかお楽しみください。

1.はじめに

 はじめに断りを入れておきますと、本稿は別に「理想形」を規定するものではありません。ぶっちゃけ主観の方が多いです。ただ一方でその感覚は、そんなに見当違いなものでもないのかなぁと思ってます。

 さて、本題。タイトルにも入っている通り。本稿は「(主に読み手が)カクヨムコン4をどうやって楽しむか」といったことに主眼を置いたものです。その上で、カクヨムコン4だけに限らない、創作の楽しみ方とか、今後の創作事情とか、その辺りに関する私見を少しだけ書いてみよう。そんな試みとなっています。

 まずこの後にある「1.作品の選び方と読み方」では、カクヨムコン4に参加している作品の中から自分の好みであろう作品を選び出しいく方法をざっくりと語っていきます。ちなみにこの章では「ランキング上位から読む以外の読み方をする」という事を前提としています。ご了承ください。

 そして、章を重ねていく毎に「作品を読んで、その後どうしたらいいのか」をざっくりと、主観メインでまとめていくという構造になってます。まあ、以前に書いたものよりもタイトルを素直にしているので、気になったところをまずは読んでみて、その後最初から読むみたいなことをしても、多分大丈夫だと思います。多分ね。

 それでは、少しの間ですが、個人的な感覚にもとづく「作品を発掘し、知ってもらう為にどうしたらいいのか」ということに関する自分の語りにお付き合いください。

2.作品の選び方と読み方

 さて、読み手がまず最初にやる事と言えば「作品を探す事」です。読む作品が無ければ始まりません。

 こと「カクヨムコン4」であれば、その参加作品を一覧で探す事が出来るので、楽と言えば楽です。

 で、その作品一覧ですが、デフォルトの状態では「週間ランキング」になっていると思います。それ以外だと「新着順」という項目がありますが、並び替える項目はその二つ。ぶっちゃけそんなに多くは無いのです。

 一応ランキングは「週間」となってはいますが、正直な所、それが大きく前後するとう事はそこまでありません。理由は簡単。デフォルトでその順位になっているので、見る方も「上位から」見て行くことが多いから。恐らく思い当たるフシがある人も居るのではないでしょうか。

 その探し方が悪いとは決して言いません。

 ただ自分は「ランキング上位に居る作品が必ずしも自分に刺さる作品とは限らない」と考えています。

 理由は色々あります。

 ランキング上位に居る作品にはやっぱりそれ相応の「ストロングポイント」があるからなのですが、自分はこのランキング上位者の「ストロングポイント」は大きく三つの要素が強いのではないかと思っています。それはすなわち「減点する場所の少なさ」と「一話のキャッチ―さ」と「展開の早さ」です。早い話「最初の数話で引き付けられるかどうか」という事。

しかし、これは「作品が読者にとって好みであるか」とは必ずしも相関があるとは限りません。

 ご存知の方も多いかもしれませんが、ジャンプ黄金期を彩った、今でも名前を聞く作品たちは、減点法で行けば結構厳しい時があります。しかし、それらが何故受けたのかと言えば、それを超える「加点」があったからです。そして、今ではビッグタイトルとなった作品も、一時期は打ち切りがちらつくレベルだった……なんていうのは良く聞く話です。それでもその作品は最終的に多くの人に「響く」作品になったのです。

 これらの話は「読み方」にも関わってきます。ネットの小説を「何話までで判断するか」という問いを投げかけた時、かなり少ない数字が返って来るのではないかと思います。

 しかし少し立ち止まって考えてみてほしいのです。例えばライトノベルの深夜アニメは、一巻を(ものによりますが)大体2~4話くらいで消化することが多いです。そうなると俗にいう「一話切り」という基準は大体小説にして2万五千字~5万字くらいで判断するということになります。

ネット小説の一話分は公式によれば(確か)3000~5000字くらいかいい、という話なので、おおい方の5000字で割ってやると、その話数は5話から10話です。そこまでいって初めて「アニメ一話」なのです。一話二話で切る判断はハッキリ言って早すぎるのです。

 上記の話をざっくりと纏めていくと「自分の好みにあった作品は必ずしもランキング上位作品とは限らない」「判断するのに、2万5千字は必要なのではないか」という事になります。勿論、絶対ではありません。判断や見切りが上手い人(自分の友人なんかがそうですが)はもっと早くても良いですし、もしかしたらもっと後ろまで見ないと分からないかもしれない、という事です。あ、文体が苦手ってのは仕方ないかな?

 その上で、作品を探す時ですが、「ランキング中位あたりから上に上がっていく」というのが個人的にはお勧めです。
 
 理由は色々あるのですが、ランキング下位の作品は単純に更新が暫くされていなかったり、まだ公開されて間もない可能性があるので、そもそも判断しづらいというのが一番大きくて、大体「良いところもあるけど、悪い所もある。人によっては刺さる作品」が潜っているのが真ん中位から少し上あたりだという個人的な体感があるからです。まあそうで無い場合もあるんですけど。

 後は曜日ごとに時間を決めて、新着を上からあさる、というのもランダム性があっていいかもしれませんね。

【ざっくりポイント纏め】
・ランキング上位作品は良い作品ではあるが、自分に刺さるかどうかは分からない
・作品探しは「新着」か「週間ランキング」のランキング中位あたりから上位へのぼっていくのが個人的にはお勧め
・見切るタイミングはアニメ一話を参考にして、最低でも二万五千字くらいにしたほうがいい

3.作品を「応援」しよう!

 さて、自分の好みの作品が見つかったでしょうか。そしたら後は読むだけ……なのですが、ここから先は作品がもっと良いものになっていったり、いい作品がもっと知られたりするために必要な事をざっくりと書いていきます。まず一つ目は「応援」です。

 作品を読んでいくと、最後の方にハートのマークがあると思います。それが「応援」です。まあ知ってるか。要は「それはポンポン押したほうがいいよ」ってことを言いたいのです。何故かって言えば簡単。だって応援するのは簡単だからです。

 例えば作品を読みました、良いところはあるんだけど、悪いところもあった。だから途中で読むのをやめてしまった。それでも「応援」は押していいんです。だって、「良いところもあったから、もっとそこを拡充してほしいな」も「応援」ですから。極端な話「読みました」みたいな軽さでも良いと思うんです(自分はこれくらいのスタンスです)。

 それから、応援した後に、「応援コメント」をクリックすると、Twitterのラジオボタン(で、良いんですよね?)が出ると思います。「更にシェアして応援」ってやつです。これ、すっごい分かりにくくて、その辺はサイトの問題だとは思うのですが、これを使って(twitterなんかを持っていれば)応援しました、のtweetをするのを、個人的にはおすすめしたいです。

 これら二つは何がいいのかって、ぶっちゃけ作者が喜びます。自分が全話応援されて、全部twitterにシェアされてたらモチベは凄くあがります(だから特に良いと思う作家さんにはこれをやってます)。

勿論後者は「作品を知ってもらう」という意味合いも含まれますが、それだって非常に重要です。どんな名作でも、見られなければ沈んでいきます。特にランキング機能が上位と下位の差を広げてしまっている状態ではなおさらです。一回引っかからなかっただけで、沈みかねない。完璧な作品でもそうなので、ちょっと欠点はあるけど刺さる人には刺さる作品なんかなおさらです。だから是非、シェアして、応援しましょうって話でした。

【ざっくりポイント纏め】
・「応援する」のは「読みました」位の緩さでやっていい
・シェアして応援する事で、作品を多くの人に知らせられる

4.「レビュー」を書こう!

 さあ、あと一つです。レビュー。作品に☆を投げた時に書けるもの。これが非常に重要です。何故ならこれが付いているだけで読み手は“おっ”となるからです。

 Amazonのレビューで、時々日本語が怪しかったり、どう見ても使ってないなという文言で☆5が投げられているのをちょいちょい見かけます。
 
 あれはどうしてやるのかと言えば、それで「作品を良く見せている」のです。それはまあ悪い例ですが、逆に「良いレビュー」が書かれた作品は、やっぱり読んでみたいと思う物です。だからレビューをしてほしいと思う訳なのです。

 とはいえ、レビューというのは案外書いてみると難しいもので、実際作品の良い点と、悪い点を坦々と述べる事が多い自分はいつも結構苦労をします。それでも特にいいと思った作品には出来る限り何かは書くようにしています。

 それは例えば「キャラクターが個性的で楽しく読めました」とか。そんなのでも良いんです。正直。あれがあると無いとでは、作品情報ページの見栄えが違います。
 
 一杯レビューがついてる作品はそれだけで「なんだろう?」って思う物なのです。基本人の意見に耳を傾けない自分でそう感じるので、人によっては、それだけで半ば勝負が決してしまうかもしれません。

 そんな訳で、良いなぁと思った作品にはレビューを書いてみましょう。後、あの「レビューを書く」って事自体が、結構文章力鍛えられるんじゃないかと個人的には思ってます。是非。

【ざっくりポイント纏め】
・作品のレビューを、少しでいいから書いてみよう
・レビューが付いているだけで、作品自体の見栄えがぐっと変わる
・良いレビューを書く作業は文章力が鍛えられるかもしれない(個人差があります)

5.おわりに

 さて、最後にちょっと横道にそれます。昨今、良くこんな言葉を聞くのではないでしょうか。「消費離れ」。

 この言葉。まあ理屈を色々つけるのは割愛して結論だけ言えば大きな間違いであると自分はある程度の確信をしております。「売り手の消費者離れ」であるというのがきっと正しい理解なのでしょう。

 物が売れないとされる昨今ですが、基本的に「歴史的大ヒット」はバカスカ出ています。これは業界に限らない話で、フィジカルなモノ(CDとか)が売れない売れないと騒がれる一方で、イギリスの歌手であるアデルの「21」というアルバムは歴史的な売り上げを記録しています。
 
 日本に視線を移せばドラマ「逃げ恥」(『逃げるは恥だが役に立つ』)の最終話が歴史的な視聴率を記録したのはまだ記憶に新しい所です。アニメなどを取り上げるのならば「君の名は。」を語らないわけにはいかないでしょう。物が売れないなどという時代にこれだけのメガヒットが連発しているのです。何故なのか。

 ちょっと専門的な話になりますが、音楽業界では今ストリーミング配信で聴くというスタイルが一つ出始めています。
 
 そして、そのスタイルによって「過去、歴史的に評価されてきた音楽」と「今、ちょっと出てきた音楽」は、ともすれば「あなたへのおすすめ」という形で一括紹介されます。そこには専門的解釈はなく、等価的に消費されている。そんな時代になっているという学問的な理解があります。

 そして、その理解はこと小説を含めた他ジャンルでも例外ではないのではないか、と思います。
 
 娯楽がただでさえ多様となった今「これを読んでおけば安心」という物はほぼなくなりました。
 
 漫画文化であれば「ジャンプを読んでおけば、みんなの話についていける」という事もあるいは無くなっているのではないかと思います。
 
 そんな中で「どれがいい作品なんだろう」という指針が無くなり、結果として「上手い具合に流行った作品」を見つけ、「これ見ておけば取り敢えず安心だ」という無意識か意識してかの心理の元、空前のビッグヒットが生まれてくるんじゃないかなぁというのが個人的な解釈です。

 そんな中で、これを読んできた「読み手」は非常に大事です。
 
 いい作品をピックアップし、紹介し、的確に届けていく「評価者」は、恐らく今後の時代に求められていくのではないかと思っています。
 
 例えばそれは作品へ誘導するアンテナサイトであるかもしれないし。「このマンガがすごい!」のようなランキングであるかもしれません。その中に「この人が勧めた作品は絶対読んで損をしない」という評価者は間違いなく含まれるのです。

 自分も作品を批評したりしてきました。しかし、本質的に書き手であることが好きなのか、やっぱり書く方に回ってしまいました。だから、これを読んだ誰かが、作品を救い上げて、別の誰かの「信頼できる評価者」になったら、きっと、「消費離れ」などという誤解すら生まれない世界に一歩近づくのではないかと、そんな夢を思い浮かべながら、今回は筆を置きたいと思います。

【ざっくりポイント纏め】
・「消費離れ」は「売り手の消費者離れ」
・類を見ないメガヒットは「何を選んだらいいのか分からない」が故の一極集中
・「これがいいよ」と教えてくれる「評価者」はこれからどんどん重要になっていくのではないか

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