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エンジニア内定承諾率UPの秘訣は「スピード」とエンジニアとの「役割分担」 ー #HRMLイベントレポ

人事向けコミュニティ「HRマーケティングラボ」で定期的に開催している勉強会。今回は株式会社ビザスクの小酒井 睦美さんにゲストスピーカーとしてお越しいただきました。

小酒井さんはPR・広報のキャリアが長く、HRに携わるようになったのは2019年8月から。一年という短い期間でエンジニア採用の内定承諾率を大きく向上させるために、採用担当者としてどのような取り組みをされたのか伺いました。

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ビザスクにあるのは「みんなで採用」の文化

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株式会社ビザスクは、日本最大級のナレッジプラットフォームを運営している会社です。メイン事業は、企業の課題や調査ニーズとその分野に知見を持つアドバイザーを1時間のインタビューでマッチングする「スポットコンサル」。現在創業9年目で、2020年3月にはマザーズに上場しました。社員は120名で、その約3割が開発業務にあたっています。

ミッションとして「知見と、挑戦をつなぐ」を掲げており、世界で一番のナレッジプラットフォームを作って世界中のイノベーションに貢献することを目指しています。

ビザスクには「みんなで採用」の文化が根付いていて、現在は採用を強化しているフェーズです。そうは言っても、特別な施策を行なっているわけではありません。とにかく「当たり前のことをみんなでやろう」ということを徹底しています。

エンジニアの内定承諾率UPの鍵はスピードと役割分担

私が入社する上でオーダーされたのは、エンジニアの採用をもっと加速させて欲しいということでした。すでに採用要件に関してはエンジニアの方が考えてくれたり面接に協力してくれたりしていて、スクラム採用の形はできていたんですが、入社後、思ったように採用が進まなかったんです。

そこで過去のデータを調べてみたところ、オファーは十分に出せていたにもかかわらず、内定承諾率が低いことが分かりました。当時は「採用の母集団を広げればいいのではないか」と考えていたんですが、この状況を知って「承諾率を上げる方法を考えよう」と切り替えたんです。

まず「オファーを承諾した人と辞退した人にはそれぞれ共通点があるのではないか」と考え、過去半年分のデータから以下の3点を中心に確認しました。

①オファーを出すまでにかかった日数
②面接の回数
③何人の社員に会ってもらったのか

その結果、オファーを出すまでにかかった日数に要因があることが判明。書類選考からオファーまでの日数が短いほど承諾率が高かったんです。その他の項目にはあまり差がありませんでした。一般的によく言われていることなので当たり前のことだと思いますが、数字を見て改めてここの大事さを実感しましたね。これまで他社の選考スケジュールを考慮してオファーを出していたんですが、この結果を受けて、とにかく最速でオファーを出すように変更。

次にやったことは、面接の役割を定義です。私が入社した当時、最終面接でもスキルやカルチャーフィットを見ていて、クロージングに十分な時間が確保できていなかったんですよね。そのため、スキルやカルチャーフィットのチェックは1次・2次面接までとし、最終面接でのクロージングを強化しました。

それに加えて、採用担当が応募者と話せるタイミングも作りました。一度目はカジュアル面談もしくは1次面接のときに会社説明を行うため、そして二度目は2次面接のあとにフラットな立場から転職活動についてヒヤリングを行うためです。これで最終面接のクロージングに向けて、漏れなく情報収集することができるようになりました。

さらに、面接が終わるごとに面接官と採用担当が振り返りとすり合わせを行う時間を毎回取るようにしたんです。この時間で面接官が感じたことの言語化をしっかりと行い、納得感を持って選考を進めるようにしたんです。


これらの施策の結果、2019年11月から2020年7月までにオファー承諾率は飛躍的に向上しました。面接官に入っていたメンバーもヒアリング力やクロージングトークの精度が上がり、自信を持ってオファーできるようになったこと。また、選考のスピードが上がったからだと思います。

役割を定義して発信のハードルを下げる

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採用広報については、複数のメディアを活用されている企業も多いと思いますが、各媒体の役割を定義して社内を混乱させないことが大切だと考えています。ビザスクでも、開発について発信するテックブログと社内外コミュニケーションを活性化するオープン社内報(note)、採用活動を目的としたWantedlyなど、役割を明確化して発信するハードルを下げています。

発信する記事も、いつ読んでもらいたいかを考えることがポイント。必ずしもバズる必要はありません。スカウトメールを送るときに使える記事、オファー前に社長の想いを知ってもらうための記事というように、対象となる人に読んでもらいたい場面を想像して計画的に記事を作っています。

発信で大事にしているのは、社員全員で広める努力をすること。たとえばWantedlyの記事は多くの人に読まれるきっかけを作るために公開したらみんなに「いいね」を押してくれるよう社内に呼びかけています。

もちろん社員が自発的にやってくれることが理想かもしれませんが、通常の業務もありますし、採用担当が舵取りをするというのが大事だと思います。

エンジニア経験のない採用担当だからこそできること

スクラム採用をする上で、大事にしていたことが2つあります。ひとつは、面接に入っているメンバーの負荷を取り去ること。採用担当がカジュアル面談や1次面接に入ることになったのも、エンジニアの方が「もっと面接に集中したい」と感じていることもきっかけでした。

もうひとつは、エンジニアの方々と仲良くなって、採用担当に話しかけやすい状況をつくること。各チームの飲み会に参加させてもらったり実際にコードを書いたりして、エンジニアの方を理解するよう注力していました。これらの取り組みで、採用がより進めやすくなったと感じています。

内定承諾率が上がったところで、「それは現場の力であって採用担当の力ではない」と思っていて。私の喜びポイントは、入社したメンバーから「入社前に聞いていた話と相違がなくて楽しいです」と言ってもらえることなんですよね。だから、HRの立場として話せることは包み隠さず伝えたいなと思いますし、Wantedlyや社内報を活用して会社について積極的に発信するようにしています。

Q&Aセッション

ー 小酒井さんが考える「スクラム採用」とは何でしょうか?

社員全員が前向きに採用に取り組めているかどうか、だと考えています。面接に入ったり発信をしてもらったりする際に、社員が積極的に手を挙げてくれる状態を作れるといいのかな、と。

ー ビザスクさんは発信に対して前向きな方が多い印象ですが、発信してもらうための施策などあったんでしょうか?

2020年の春からリファラル採用の施策として発信を強化することにしました。テックブログだけでなく現場からQiita Organizationを導入したいという声もあったので導入して、気軽に発信できるようにしました。

ー 内定を出したあと、内定者へに対するフォローアップはされていますか?

内定者とのコミュニケーションは、入社手続きに関するメールから始まるんですが、新しく出た記事や会社のプレスリリースなどをお知らせするなど、こまめにメールを送るようにしています。

あとは、チームメンバーとの飲み会の場もセッティングしていますね。最近だとZoomを使ったオンライン飲み会になるのですが。そこで、どんな人と働くのか、今どんなことをしているのかなどを、面接で会っていない社員と話すことができるんです。私もその場に参加しています。

ー 内定承諾率100%になる過程で、1次面接から2次面接の通過率など、他にも変化はありましたか?

採用の母集団を広げたので書類通過率は下がったんですが、1次面接から2次面接への通過率は上がりました。次は書類通過率を上げる施策も考えたいなと思っています。構造化面接の手法とかも取り入れてみたいです。

ー 構造化しても採用担当は面接に入りますか?
入ります。お会いしたほうが面接後のコミュニケーションも取りやすいですし、そもそも面接官としてジャッジする立場じゃないので、そこは変わらないと思います。

ー 多くの応募者を集めるためには、どのようなことをされていますか?

エージェントは20社ほど付き合いがありますし、スカウト系のサービスはほとんど使っているので、そこで集めています。あとはWantedlyの運用もしています。

ー Wantedlyはどのような戦略で運用されているのか教えてください。

まずはこの半年で採用したいポジションを考えて、そのポジションの仕事内容がよく分かる記事を探します。なかったら作るべき記事をリストアップして、その中でさらに優先順位をつけて記事を書いていくようにしています。求人もそれに合わせているんです。


ー Webエンジニアにスカウトメールを送る際は、何か工夫されているんでしょうか?

直近ではスカウトメールは送っていないんです。条件でフィルタリングして、マッチした人にいいねをする。そして、いいねが返ってきた人にだけメールを送るようにしています。そこで一番大事なのは、いいねを返してくれた直後にメールを送ること。そうすると返信してもらえるんです。

ー すぐに返信するということは、いつでも返信できるような体制が必要ですよね?即レスのための仕組み作りについて教えてください。

Slackに連携できるものは連携して通知に気付くようにしていますし、メールなどもパソコンで通知が出るようにしています。もちろんメールのテンプレートも準備していますが、仕組み化というより、通知に気付くようにして返信を何よりも優先するという感じですね。

ー なるほど。小酒井さんのお話を伺って、採用はスピード感持ってまめに対応できるかどうかと、いかに問題を見つけるかという部分が大事なんだと気付かされました。貴重なお話、ありがとうございました!

次回のHRマーケティングラボは…

次回のHRマーケティングラボは「採用マーケティング戦略」をテーマにヤフーの干場さんにご登壇いただきます!お楽しみに!

(企画進行:西村創一朗、文:矢野 由起)

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