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「過去と現在を結ぶ手紙は彼女を救えるか?~『大正浪漫』~」

『大正浪漫』 NATSUMI  著 ( 双葉社)       2021.11読了
 
ご存じ、小説の世界を音楽にする人気アーティストユニット・YOASOBIの曲とともに発表された原作小説。
この世界観が映像化もされていて、動画サイトYouTubeでも公開されています。


 私は原作の方を先に読んで動画を観たのですが、とても美しい映像で表紙絵の主人公ふたりがそのまま画面に出てきて物語の中に引き込まれるようです。
動画の中に洗濯機や扇風機などの電化製品が出てきますが、まだ小説を読んでいない人には不思議かもしれません。
 
時翔(ときと)の机に突然現れた過去からの手紙。
それは大正時代に生きる千代子が書いたものでした。
もちろん時間も場所も離れている二人ですが、通わせる手紙の中でだけでも恋心を募らせていくのです。
 
女性には今ほど自由がなかった時代にいる千代子と、進歩した社会の中で生きる時翔。
しかし千代子が生きていた時代に歴史的にも大変なことが起きることを、時翔は歴史の授業で知ってしまいます。
果たして千代子の運命は?
二人の恋はいったいどうなるのでしょうか?
 
二人それぞれの立場からと、現代の第三者をからめて進む物語になっています。
 
 
実は私は大正ロマンものが大好物なのです。
戦争はあったものの、それを抜きにすれば、あの時代感が好きです。
文明が開かれたあと西洋文化が流入し、急激に進化していった時代です。
 
特に日本文学や児童文学が大いに盛んになり、現代文学の基礎が築かれていきました。
都市部に限られますが、庶民の生活も近代化し向上していきます。
 
そのような時代背景が丁寧に描かれているとワクワクします。
だから読む前に、かなりハードルをあげてしまっていました。
 
なので読んでみて、実はもうすこし…と物足りなさは実際感じてしまいました。(例えば、当時のしゃべり言葉は今とはずいぶん違ったはずなのでもっと当時に近づけてくれていればなあとは思いました)

でもまあ、軽く読めるお話だしファンタジー要素もあるし、ちょっとばかり読書はにがてという人にも読みやすいのではないでしょうか。
 
ちなみに原作本の購入特典には、YOASOBIのikuraによる、本作から抜粋された文章の一部を朗読する映像も視聴できます。


 





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