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「う」 裏メニュー問題を考える

 主観百パーセントなのだけれど、お店で通ぶるというのがどうにも好きになれないし、お店から「通的な行動」を推薦されるのも好きじゃない。

 その例として僕が真っ先に上げるのが蕎麦屋とつけ麺屋で

「つけ麺は最初に麺だけ食べることでその店のこだわりがよりわかるんですねぇ」
とか
「うちの蕎麦は、最初は何もつけずに食べていただいて蕎麦粉本来の味をまず感じていただいてぇ…」
とか言われると
「そんなに粉の味知りたきゃ粉舐めてろ!」
と思う。別につけ麺と蕎麦屋に恨みがあるわけじゃないです念のため。

で。

テレビとか雑誌とかで時たま「裏メニュー」が紹介されることがある。特に居酒屋とラーメン屋に多い気がするのだけれど

「裏メニューのカレーが絶品!」
とか
「裏メニューの辛味マシマシ卵のせ混ぜ麺がうまい!」
とか紹介されている。画面の中ではタレントさんがそれらを美味しそうに食べ、美味しいと感想を述べる。

まず根本的な疑問として「そこで紹介してはもう裏ではないのでは?」というのがある。テレビ離れが激しくとも、視聴者が数百人ということはないだろう。数千人、数万人単位の人がその「裏メニュー」を知ってしまった以上、そのメニューは白日のもとに晒されているわけで、その時点で表なんじゃなかろうか。

さらに疑問なのがなんとなーく皆んなが持っている「裏メニューの方が表メニューより美味しい」という謎の信仰だ。

多分これには「裏」という言葉が関係してるとは思う。例えばゲームにおける「裏ボス」は容赦なく本編のラスボスよりも強かったりするし、「裏社会」は表社会よりも猛者たちがゴロゴロしてそうな雰囲気が漂う。

裏は表に立たないけれど表よりも強い、というイメージがあるのだ。

けれども、飲食店における裏メニューに関して言えば、「そんなにうまいなら表メニューに出した方が儲かるのでは?」という疑問がついて回る。美味しいものを隠してる飲食店でどうなのだ。

「いやいやこれだからど素人は…表に出したら採算が取れないような手の込んだ一品なんですよ。この店の常連だけが食べれるんですよ」と言ってくるワインクルクルまわしてる美食家もいるかもしれない。

が、だとすればそんな裏メニューは存在しない方がいいのでは?と思うし、そんな店に限って、裏メニューと言ってシンプルなパスタとか卵かけご飯にトリュフをたっぷりのせたものが出てきたりする。

削ってるだけじゃん。

そんなこんなで裏メニューなんて世の中から消えて表に全部出てこいや!と思うのだけれど

【予約のみ営業の会員制隠れ家的レストランの裏メニュー】

とかになると逆に裏の裏の裏の裏でコインはクルクルと表に回り

「日清のカップヌードルです」
「おおこれがこの店の裏メニュー」
「なんと美味しい…」

とかいう会話が今日もどこかでなされているのかもしれない。そうだったら面白いなとは思う。


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