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私の好きな映画ベスト50 Part3!!!

さらに前回はこちら↓↓↓
50位から35位までのランキング。

前回はこちら↓↓↓
34位から21位までのランキング。


前回までは34位から21位までを紹介しました。
振り返ってみるとなかなか暗い映画や重い映画がランクインしているような気がしていて、たぶんこういう作品が自分は好きなんだろうなぁとついつい思ってしまいます。
時代や国をなるべく考えずに、本当に好きなものだけを詰め込んだので、自分の価値観や好きなものがはっきりとわかりました。笑

そして今回は20位から11位までを紹介していきます。
おそらくここからは紹介文が長くなっていくような気がしています。。。



第20位『他人の顔(1966)』

監督:勅使河原宏 主演:仲代達矢

安部公房の同名小説を映画化。
顔を事故で負傷した男が、新しい顔に出会い生まれ変わる。
監督はATG初の日本映画を産み出した勅使河原宏。

表面的な顔という箇所。
顔を失った男は世間にも、誰にも彼にもひねくれた態度を持つ。
新たな顔を手にいれた途端、彼の態度は豹変する。自身の内面が、生まれ変わった顔に呑み込まれていく。
アンダーグラウンドな雰囲気から、安部公房独特な台詞回しや、勅使河原宏による異端な演出。日本映画ながら、演出や台詞回しが明らかに海外作品のような異質な雰囲気を醸し出す本作は、同監督の『砂の女』とも遜色がない出来合い。本作の方を先に観たからか、インパクトが非常に強い。
まさに表面だけではない人間の裏側のような奥深さと、妖艶な世界観は唯一無二。
“顔”と“アイデンティティ”の繋がり、及び自己存在の波及へと繋がる問いかけは、観客全てに通ずる。
“顔”にフォーカスした演出も愉しく、ラストシークエンスがものすごい画の力を感じさせた。すげぇ。

予告編はこちら


第19位『野いちご(1957)』

監督:イングマール・ベルイマン 主演:ヴィクトル・シェストレム

ベルイマンの傑作とされ、入門としてもぜひともおすすめしたい作品。

名誉博士号の授賞式にむかう一人の老人。
医学の発展に尽力したが、彼は友を作らず孤独に暮らしていた。
自宅から授賞式の会場へと向かうたった一日で、彼は自分の人生を振り返る。
その要因となったのは、時折見る悪夢が原因であった。
孤独であった老人は、現実に対し真摯に向き合うことから逃れてきた。そこで出会う人々。
過去の思い出、夢の中の世界、現実。
すべてがつながり、老人は悟る。
本作は”死”を描いているのではない。”生”を描いているのだ。
生と死は隣り合わせでありながら、誰もが死を恐れ、生を蔑ろにする。
本作は誰しもが経験していることや、これから経験することを客観的に描くことにより、多くの観客に共感を与える。
ベルイマンは敷居が高いと思われがちだが、本作はそういった意味でも触れやすさがある。

予告編はこちら(単体の予告がなかったため、連作の物となるが)


第18位『友だちのうちはどこ?(1987)』

監督:アッバス・キアロスタミ 主演:ババク・マハマッドプール

友だちのうちへノートを届けよ。
ジグザグ道三部作の1作目にして、アッバス・キアロスタミの代表作。

大人にとってはどうとでもないことだが、子供にとってはとてつもなく大きな試練である。
間違えて持ち帰った家の住所を知らない友人のノートを届けなければ。
子供のころはたかが隣町でも遠い冒険のように思えた。
今となっては不条理とも思える大人の言葉が、すべて正しいと思っていた。
そんな大人に怒られないよう、少年は走り回る。
子供の姿を追うカメラは、右往左往している。
切迫する子供の表情。
同時に映し出される大人たちは、子供の言葉を聞かず、自分の生活で手一杯である。
まかり通っている大人の常識は、子供からすればまさに非常識であり、勝手にルールを変える大人たちの都合は全くもって理解できない。
ノスタルジックさとともに、忘れかけていた純粋な世界と、今からでも変わっていってほしいイランの生活というのも感じられる。
子供が笑って過ごせる世界こそ、やっぱり望みたいもの。

予告編はこちら(今回も連作予告のみ)


第17位『タクシードライバー(1976)』

監督:マーティン・スコセッシ 主演:ロバート・デ・ニーロ

この街は汚れてる。ゴミ箱みたいだ。
アメリカン・ニューシネマを代表する1本であり、ベトナム戦争についても言及した今なお語り継がれる名作。
主演を務めたデ・ニーロは、本作の後に『ディア・ハンター』にも出演し、この時代のアメリカを描いた作品には欠かせない人物である。

ベトナム戦争から帰還したトラヴィスはある職を見つけた。
タクシードライバーだ。
治安の悪いNYの街を夜から朝まで走り続ける。
不眠症のトラヴィスにはうってつけの仕事。
そうして街を走るとわかったことがある。
この街はゴミみたいな人間しかいない。
国のために兵士として戦った男にとっては、この街は腐ったものでしかない。
正義のために戦い、ようやく帰還したとき、救えない現実を目の当たりにする。
変わり続ける社会の中で、自分は止まったままだ。
アメリカという国自体が模索しながら変化していく中で、自己の存在価値を見いだせない男は苦悩する。
本作のラストは、最後までアメリカの闇や、凶器が内側にはらんでいるという示唆がされており、うまい具合に最後まで描かれた作品だと思う。
本作は中二病をこじらせたかのような男に映るが、実際は社会に取り残されてしまった孤独な男を描いた映画。
つまりは誰の心の中にも隠れて潜んでおり、誰もが社会を無言のままに受け入れることで表面化することを逃れている。
間違いなく傑作と呼ぶにふさわしい作品。

予告編はこちら


第16位『6才のボクが、大人になるまで。(2014)』

監督:リチャード・リンクレイター 主演:エラー・コルトレーン

12年間同じキャストで撮り続けるという不可能に近いことをこの映画はやってのけた。6才のメイソンが実際に18才になるまで、キャストたちは毎年夏休みに集まり撮影を続けた。
主要キャスト4人が12年間続けて出演する必要があるため、完成しただけでも奇跡な作品。

「すべての瞬間に”大切”が宿っている」
この言葉のように本作ではいくつもの大切が宿っている。
特に注目すべきは、他の映画であれば確実に削るであろうシーンが多い点。
普段の生活で退屈だと思えるシーンを映し出すことで、人生のどの部分を切り取ってもすべてに”大切”が宿っていることが伝わってくる。
小学生の時にいつも一緒に遊んでいた子。
近所に住んでいて、いつも一緒に遊んでいた子。
子供のころに出会った人もそれぞれ成長していく。
だが、必ずしも自分の人生に絡み合ってくるわけではない。
脚本は主人公のメイソンがどんなふうに成長していくかによって、キャストたちと話し合って決めていたため、メイソンのキャラクターと劇中のキャラに違和感が生まれない。
何気ない日常をわざとらしくなく、確実に伝わってくる温かさはこの監督ならでは。
本作は165分と長い。長いんだけど、その分ラストまで観た重みがあるし、母親のセリフにたくさんの意味合いがこもっているのが伝わる。
人生は時として映画よりも自由で、華やかで、退屈だ。
映画には終わりが存在する。だが人生の終わりはまだまだ先だ。
また親となったとき改めて観直したい映画だ。

予告編はこちら


第15位『恋の秋(1998)』

監督:エリック・ロメール 主演:マリー・リヴィエール

フランスの変態映画監督エリック・ロメールの傑作。
四季物語の最後を飾るのは、本作『恋の秋』である。
ロメール自身も、四季の物語は秋で締めると決めていたといい、本作の主演2人もロメール映画の常連。

子供たちが巣立ち、また新たな女性としての人生が始まる。
友だちの恋人を代行で探す(しかも本人に代わって何度があったりする!)という狂ったストーリーから、普段のロメール調が混ざり合い、最後は含みを持たせたラストへとつながる。
”偶然”というのはこのシリーズでテーマとなっており、本作では偶然を操作し、運命を作り出そうとしている。
運命とは作り出すことではないが、偶然から生まれる自らの主体性が人生の舵を切っていく。
運命の作り方はこういうことだといわんばかりの展開は見事。
恋愛だけでなく、人生そのものや価値観を感じさせる本作は、まさに豊潤な秋の季節と呼ぶにふさわしい。
人とかかわることは本作のようにめんどくさいことも多いけれど、面白いことも多く、偶然に身を任せることも肩の荷を下ろす感覚で持っていたい。
会話劇が好きな方はぜひともロメール作品をおすすめ!少しの変態チックさに癖になること間違いなし。

予告編はこちら


第14位『アンナの出会い(1978)』

監督:シャンタル・アケルマン 主演:オーロール・クレマン

アケルマン作品はこのランキングで2作目か。
アケルマンの傑作『ブリュッセル1080~(以下省略)』が製作された3年後に公開された本作。

どこまでも孤独なんだなと感じた瞬間すごくつらくなったが、それはみんな同類で、誰もがわかりあおうとしたりするけど、一方的に語るだけであって誰もが自分のことしか考えられないんだなと強く感じた。
主人公が映画監督ということで、アケルマン自身を重ねていると勝手に考えてしまうが、ゴダールに影響を受けているのでその可能性は高そう。
アケルマンの作品は空間の使い方が非常にうまい。
空間は確かに存在するが、映画として成立させるには人間が必要。
映画の中ではすぐになくなってしまう無用なものである空間。
それを映画に長く映し込むことで、無用な空間が私にとっては必要なものでもあるということでもあるし、私自身の価値と同列に扱っているように思うのだ。
彼女は孤独なんだろうけど、孤独になりたくないという感覚もありながら、孤独になりたいという相反する感情を持っている。
孤独はすべて悲しいことではないと感じさせる作品。

予告編はこちら(今回もまともなものがなかったので、アケルマン映画祭の予告にて)


第13位『残菊物語(1939)』

監督:溝口健二 主演:花柳章太郎

戦前の溝口最高傑作とも名高い本作だが、とんでもない。彼の生涯の作品の中でも超絶大傑作。めちゃくちゃよかった。

才能がないにも関わらず、若い女たちからちやほやされていた菊之介の物語。
親という大きな存在があり、そのせいで誰からも叱責されることはない。
あの男の嫁になれば将来安泰だから、あの男に気に入られればコネができる、そう考える誰もが誉めることしかしない。
菊之介の心のなかでは、自らの実力のなさを感じていた。
本作が好きなのは、菊之介が努力家であり謙虚であり、誠実さもあるところ。
自分の実力不足を痛感していることに正面から向き合う姿勢。
自分の成長を続けるために、苦しい生活にも耐える姿。
サクセスストーリーでもありながら、悲哀な恋愛を描いた作品でもあり、その上美しい情景が作品を彩る。
日本人らしいとも思われる菊之介とお徳の関係も、本作では静かに美しさを放つ。
作品のショットや構図の美しさは本作でかなり印象的になった。
すいかのシーンを観るだけでも価値があるし、そのすごさを感じる。
誰かのために思い、行動することの尊さ。
観ずに死ぬと人生損するレベルの
傑作。

予告編はこちら…と言いたいところだが、古すぎるため該当の動画は見つからず…。

第12位『ディア・ハンター(1978)』

監督:マイケル・チミノ 主演:ロバート・デ・ニーロ

ベトナム戦争へ向かうことになった三人の男たち。
地元で仕事に就き、悪友たちと飲み明かしながら鹿狩りを行う。
月曜に戦争へ向かう前に、結婚式を行う。
誰もが幸せな瞬間を祝福する。

戦地へ向かう前から登場人物たちを描くことで、アメリカのある地方という妙なリアルさを感じる。
確かに前半の結婚式のくだりで一時間は長いんだけど、戦場による人間の変化というものを描くなかではシーンのどれもが大事なもの。
そして同じ時間が過ぎていても、アメリカの地では笑い合い、ベトナムの地では殺し合う。
現実の世界は非情であり、平和な世界の延長上では残酷な世界が存在している。

戦場から戻る。
誰もが祝福の言葉をかけてくれるが、今まで通りではいられない。
体や心に負った傷の深さは、経験した者しかわからない。
同情することは許されず、批判することなどもってのほか。
あの時のように仲間たちと語り合い、バカみたいなことをやった日々は今では変わってしまった。
あんな戦争が起きても街は変わらず、生活も変わらない。
変わったのは人々の心なんだろう。
青春映画として観ることもでき、男たちの友情の物語としても素晴らしいクオリティ。
ベトナム戦争を題材とした映画として、僕のなかではベスト。

予告編はこちら


第11位『アンダーグラウンド(1995)』

監督:エミール・クストリッツア 主演:プレドラグ・ミキ・マノイロヴィッチ

さらば祖国よ。
今は亡きユーゴスラビアという国。
クストリッツアの最高傑作にして、映画史に残る大傑作。

第二次世界大戦下、ナチスドイツがユーゴスラビアに侵攻。
避難民たちを地下にかくまい、武器を作らせることで富を築く。
日々襲いかかる襲撃から、なんとか逃れ続けついには戦争は終結。
地下で密かに作られた世界ではいまだに戦争が続いていると思っている。
こちらも三時間近い作品で鑑賞に非常にエネルギーを必要とするが、観るとあっという間に進んでいく。
コメディチックに進んでいく世界だが、悲劇の中では喜劇を求めるしかない。
すれ違っていく人々の感情がいつしか大きな渦を作り出し、誰にも止めることができない憎しみの世界を作り出す。
数多の民俗が入り乱れた旧ユーゴ。
そのエネルギーが、この『アンダーグラウンド』という作品に溢れだしている。
ユーゴスラビアという国は現代では存在していないが、過去確実に存在しており、現在の我々のようにたくさんの人々が肩を寄せ合い、血を流しながらも生きていたのだ。
なお本作の完全版も存在しており、完全版は314分という超長尺映画であるが、まずはオリジナルからでも鑑賞してみてほしい。
絶対に観て損はないであろうまごうことなき傑作である。ってか観て!

予告編はこちら


ということで20位から11位までをまとめました。
やはりシリーズものなしだね…。
ここまで選別していくのも大変だったけど、あと10作品しか選ぶことができないのか。
人それぞれ好きな映画は違うから、こうして知らない人の映画のランキングを見るのが楽しいって人がいたらすごく嬉しいです。
自分はどちらかというとそっちのタイプなので。
あと、監督ひとりにつき1作品っていうのもなんだかんだそうなっているようだったけど、ここにきて2作目が入ってしまった。けどいい作品なのでしょうがない。

残りは10位から1位となります。
あとちょっとしかまとめられないのが寂しいけれど、自分のなかでも整理できるので楽しんでまとめていこうと思います!

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