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小説の書き出し(がるあん短編小説集)

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構想も何も無い状態で小説の書き出しだけを書くという遊びをしてみる事にした。やってみればそれは結構面白かった。しばらく続けてみようかなと思います。がるあん短編小説集。
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#思い出

AIR LINE

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 どんな時、どんな時間でも、世界中を飛び回る世界で一番大きな鳥。僕の人生の傍らにはいつも、鉄で出来たあの大きな鳥があった。

 県内に一ヵ所しかない空港からほど近い僕の故郷の街は、細々とはしているが観光業を軸とし、昔と変わらず何とかやっている。遠方から嫁いできた父はあの鳥に対しよく不満を漏らした。
 とにかく騒音が酷く、あれが通り過ぎる瞬間は家の中ですら会話がままならないのだ。父の怒りは理解できる

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焼き付いた

焼き付いた

 朝である。

 朝とは私にとって、目覚めてからの数時間の事を指す。
 現在の時刻は十二時三十四分。
 世間一般的な解釈に基づけば、この時間は当然朝とは言い難い時間である。
世間一般的な朝というのは、私の認識の限り喫茶店がモーニングメニューの販売を停止するまで、となっている。私が眠りに就いた時間に世界は目覚め、そして私が起きた時には既にそれは終わっている。
 しかし、私にとっての朝は正しく、たった

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