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【中島みゆき劇場版ライヴ・ヒストリー2】人の痛みは『知性』でわかる。思いやりではなく。

運命?とかいう奴にこてんぱんにやられたけど

どっこい生きてる。
難病ってやつにかかり、金はなく、体力もなく、学歴もなく、スキルもなく、資格もなく、免許もなく、美貌もなく、とにかく金が本当になく、医療費がなく、薬代がなく、あの日から急に何もかもなくなった。

人に迷惑をかけながら生きていて恥ずかしい、ということしかない。
私が恥で、恥のかたまりで、みっともない。
金がないのに身体という資本がないから、つまるところ希望がない。

身体のどこも痛くなくて笑ったりスマホいじったり怒ったりしてる全ての人達が羨ましい。
数年前まで自分もそうだったのに、戻りたい。

そんな私にも希望があるとすれば

私は中島みゆきのファン。
ATMで「残高やばいなあ」と感じながら5000円だけ金をおろして、柏まで出掛けた。
『中島みゆき劇場版ライヴ・ヒストリー2』を観るためだ。

こんな状態の私にも希望があるとすれば、会ったこともないけれど渾身の激励をくれる中島みゆきがいることだ。

【セットリスト】
銀の龍の背に乗って
夜行
歌姫
一期一会
with
命の別名
ホームにて
蕎麦屋
あした
最後の女神
化粧
地上の星
MEGAMI
Why&No
誕生

中島みゆき劇場版ライヴ・ヒストリー2公式サイトより
柏駅前 キネマ旬報シアターにて


セットリストのとおり、銀の龍の背に乗ってから始まったが、ことばの包容力がすごい。
私が私を大丈夫じゃないと思っても、「そんなあなただから知ってることがある」といわれる。

たとえば。

失うものさえ失ってなお
人はまだ誰かの指にすがる
柔らかな皮膚しかない理由は
人が人の傷みを聴くためだ

中島みゆき『銀の龍の背に乗って』より

たやすく涙を流せるならば
たやすく痛みもわかるだろう
けれども人には
笑顔のままで泣いてるときもある

中島みゆき『命の別名』より

『痛みを知るためだ』じゃなくて、
『傷みを聴くためだ』なんだ。
ぐにゃぐにゃに弱いから、ぐじゅぐじゅに傷んでしまったから、私が知ってることがある。

それで思い出したのだけど、最近、『人の痛みがわかる』ということは、思いやりなんかではなくて、知性の問題なんだと考えている。

『人の痛みがわかる』は、知性の問題

優しい厳しいじゃなくて、思いやりの有る無しじゃなくて、『知』がない。

その人の痛みの発生機序がわからなければ、医者ですら平気で患者を傷付ける。
私自身、病名がわかるまでは嫌になるほど嫌味を言われた。

「健康なもんですよ!はい元気元気」
「異常ないですね。痛い?ありえないですね」
「横浜市からここまで来たの?そりゃ〜元気なな証拠だ!」

この医者たちには思いやりというものがないのか!と思っていたけれど、(思いやりも足りないのかもしれないけど、)『中島みゆき劇場版ライヴ・ヒストリー2』を鑑賞していて、スーーッと腹に落ちた。
知識として、無いだけなのだ。

だから、学校の道徳の授業で思いやりや優しさや利他的精神を教えるのも大賛成なのだけど、『知』としての人権教育をしてほしいなと、強く思うのだ。

話が大幅にそれたが、大大大好きな一期一会もwithも最後の女神も蕎麦屋も大画面で観れて、誕生で大泣きして、パワーチャージしまくって劇場をあとにしたのだった!

(みゆきさん、ステージではドレスもメイクも華やかキメキメなのに、リハとか普段どすっぴんでスタッフさん誰にでも飾らなく接してて素敵だよね…)

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