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食べることが生き甲斐の人間が断食をした話②


初日、試練が早すぎる。

前回の記事はこちら。

申し込んだのは3泊4日のコース。
チェックイン日の1週間前から段階的に食事を減らしていく『準備食』を自宅で行うようにと連絡をいただいた。
これを行うことで、断食反応と呼ばれる断食中の頭痛、吐き気、倦怠感、発熱などの体調不良の予防になるのだそう。
私はこの断食反応が怖かったため、できる範囲で行なった。
といっても、揚げ物を控えるとか、和食中心にするとか、だんだん量を減らす程度だけれど。
準備食については以下に詳しい。


迎えたチェックインの日。
特急サフィール踊り子号に乗って伊豆高原へ。
伊豆=踊り子号だと思っていたのでサフィール踊り子号なんていうオシャレな乗り物ができていたとは。
見よ、この洒落た空間を!

サフィールとは、サファイアを意味するフランス語だそう。外観を撮り忘れたが、深いサファイア色が印象的だった。

狭い我が家より、脚を伸ばしてもなおゆとりある空間だった。今回は乗車時間が30分程度だったのが悔やまれるほどだ。

初日は朝からお水かお茶しか口にしてはいけない。
車内では乗客がお酒とおつまみを楽しんだり、じゃがりこを分け合ったりしていた。
そうだよな、これこそ旅行の醍醐味だよな。
私はせっかく伊豆という美食の地に行くのになんで飴ひとつ楽しめないんだ。
いきなりナーバスになった。
お腹が鳴って鳴って鳴りまくっていた。

快晴の伊豆高原駅!

伊豆高原駅からは、お宿のシャトルバスに乗せていただいた。
今回利用させていただいたのは、やすらぎの里高原館さま。

断食の指導歴が長く、①でお話しした「ひとり旅2年生」をはじめメディアに多数紹介されている。
なによりリピーターの多さが信用できるなと思い、こちらに決めた。

到着すると、館内説明と面談(体重体脂肪測定込み)をしていただいた。
「ゆるゆるするのが大事なんです。断食で失敗する原因の多くは食べられないことによるストレスホルモン。お腹だけでなく、頭も空っぽにするといいんですよ。だから高原館は自然豊かな緑の中にあるんです。どうか、ゆるゆるしていってくださいね」
面談でかけていただいた、なんとも優しい言葉だ。

食べないだけなら都会でもできる。自宅でもできるだろう。
でも主戦場であるコロッセオで休めと言われて心の底から安らげる戦士がどれだけいるだろう。
いたとして、多分そいつは天然のストレス耐性が半端じゃない。
優しいスタッフの皆さんに助けられた。

図々しくも着いてすぐに「私のお部屋〜」と思えた客室

夕方、カッピングの施術をしてもらった。(宿泊料に含まれている)
カッピングとは、透明のカップで背中から腰にかけて吸引する施術だ。
吸引後に残る跡の色で、どの部位に不調があるかわかるそう。
色が濃いほど要注意。赤紫っぽくなる人もいるのだとか。
私は薄いピンクがほとんどで、コリに悩んでいる右肩のあたりだけ濃いめのピンクになっていた。
写真を載せようか迷ったけれど、あまりにお見苦しかったので控えたのであった。

断食コースの利用者にも、朝と夕方は液体食が提供される。
待ちに待った夕食がこちら。

具なしのお味噌汁である。
いや、実は知っていた。
事前に雑誌や体験記を見ていたので、初日がこれだということは。
でもあまりに空腹だったので心の中で「でも実は今日は特別にお粥的なものが出るのでは…」などと幻想を抱いていた。出ない。
今目の前にある具なしのお味噌汁を、5分位かけて、一口ずつ鼻で呼吸をしながらゆっくりゆっくり食べた。いや、飲んだ。

が、足りるわけはなく。
夜は温泉に入ったり読書をしたり気を紛らわせてはいたけれど、あまり眠れなかった。
お腹が空いて夜中に何度も目が覚めてしまうのだ。
自室にいると余計空腹を感じる気がして、深夜の館内を動き回っていた。
何度も共有スペースにお茶をもらいにいった。
全日程を振り返って、初日の夜が最も空腹に苦しんだ試練の時だったと思う。

ちなみに、館内には温泉がある。
貸本スペースもある。
マッサージチェアもある。
岩盤浴も。
これらは宿泊代に含まれているので、空腹を紛らわせるのにとても役立った。

③へ続く。

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