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【2022年】9月に出会った本/映画/場所

9月はオフィスのイベントが2週に渡ってあり、「おひさしぶりです」も含めてたくさんの人とお話できました。週末は人と会う予定で埋まっていたのでちょっと読書時間は少なめでしたが、会社のメンバーからおすすめされたものを中心に7冊読めました。

9月に出会ったものたちを感想をともにご紹介します。

『会話を哲学する コミュニケーションとマニピュレーション』三木 那由他

この本では、会話とは約束事の形成としての「コミュニケーション」と発言を通じて聞き手の心理や行動を操作することを指す「マニュピレーション」から成り立つと定義する。
各章で漫画作品(うる星やつらやONE PIECE、鋼の錬金術師など)に出てくる会話を取り上げ、「登場人物たちはなぜこのような会話をしたのか?」「その会話によって何を叶えたかったのか?」を考察していてわかりやすく読みやすい。

『すごい論語』安田 登

能楽師の著者が、「論語」をテーマに三分野の賢人たちと対談する本。
『論語』に「音楽」を投げてみる(いとうせいこう氏と対談)
『論語』に「宗教」を投げてみる(釈徹宗氏と対談)
『論語』に「テクノロジー」を投げてみる(ドミニク・チェン氏と対談)
この目次でだいぶ興味を惹かれた。どんどん深くなる話に突き放されたり惹き寄せられたり。楽しかった。

『マンスフィールド短編集』マンスフィールド

小川さんのエッセイに出てきたマンスフィールドの短編作品集。20世紀初頭の中産階級の人々をメインに、何か大きいことが起こるわけでがない日々の情景とふとしたことで波立った感情の機微を繊細に描いている。有名な「園遊会」の他に「パーカーおばあさんの人生」「大佐の娘たち」「湾の一日」が好き。

『おいしいごはんが食べられますように』高瀬 隼子

第167回(2022年上半期)の芥川賞受賞作。ほのぼのしたタイトルから食がテーマの心温まるヒューマンドラマ小説かと思いきや全く違った。比較的短くてさくっと読めるのに、登場人物全員へのほんのちょっとの共感と何かもう蓋をして見ないでおきたい感じの不快感と「そこまでしてまわりの人と付き合う理由ある?」という疑問が入り混じり、心ざわつく不穏な恋愛小説だった。

『ひとりの双子』ブリット・ベネット

1960〜80年代のアメリカが舞台。肌の白い黒人が優遇される黒人の村マラードで最優遇されていた美しい双子は16歳で村から家出する。その後、双子のひとりは白人として、もうひとりは黒人としてそれぞれの人生を生きていく。
たとえ見た目には白人にしか見えなくても一滴でも黒人の血が入っていれば黒人として扱われるということを初めて知った。(黒人が白人として生きていくことを「パッシング」と言い、それをテーマとしている小説や映画もある)20年の流れの中で3世代の家族の物語で、途中片割れとも言えるお互いをなくした双子の失くしたものがクロスしていく構造が見事。

『優しい地獄』イリナ・グリゴレ

社会主義下のルーマニアで生まれ、現在は人類学者として日本の青森で暮らすイリナ・グリゴレさんのエッセイ。
文章から感覚の鋭さをひしひし感じる。幼いころの回想の部分はどれも映画のワンシーンのように頭の中で映像化された。好き。

『季節を脱いで ふたりは潜る』菅原 敏

詩集。12ヶ月を情緒的に詩に写す。美しく柔らかい。
特典として、巻末袋とじに書かれている電話番号にかけるとどれか好きな一篇の詩を著者が朗読してくれるそうです。(なんか照れるのでかけられていない笑)

漫画

『るきさん』 高野 文子

1988〜92年に雑誌『Hanako』で連載された漫画をまとめた文庫。バブル時代を背景に推定30代くらい女性「るきさん」の気ままな生活を描く。
高野さんの絵は違う作品で多々お会いしているが、高野さん自身の作品を読んだのは初めて。テンポのよいやりとりや「え?そこから?」と感じる斬新なカメラワークのような構図が楽しめた。

『星旅少年』(1.2巻) 坂月 さかな

ある宇宙、住民の多くがある毒により眠ってしまった星を訪ね、残された文化を記録・保存するために旅する旅人の静かなSF漫画。
本屋で表紙を見て「この青は良い青だ」と思って購入。細かなところまで空想が膨らむ絵もじんわり沁みる話も好みだった。この漫画の前日譚の短編が載っている作品集『プラネタリウム・ゴースト・トラベル』も追って購入した。

映画

『モリのいる場所』監督 沖田 修一

2018年 日本

30年間、ほとんど家から外に出たことがない伝説の画家・熊谷守一(通称モリ)とその妻の晩年を描いた作品。
ほとんど家から出たことないが庭を毎日散歩し、時には庭の中で迷子になる。「蟻っていうのは、左の2番目の足から歩きだすんだね。」というモリの言葉に、大人が3人揃って地面に顔をつけて寝ころび、蟻の観察をする。「生きるのが好き」らしい。モリの世界は、誰よりも広い世界。


場所

『本屋イトマイ』(東京都板橋区)

住所:東京都板橋区常盤台1-2-5 町田ビル2階​
東武東上線ときわ台駅北口から徒歩1分
​​※営業時間は公式 Twitter と Instagramでお知らせします

本屋イトマイ HP

雨の休日、以前SNSで見かけたときから気になっていた本屋さんにバスに揺られて行ってきた。ときわ台にある喫茶も楽しめる書店『本屋イトマイ』さん。
選書が自分の好みと合いすぎて、気づいたら端から端までじっくり2周していた。特に買うものを決めていたわけでもないのに6冊購入。併設の喫茶でコーヒーを飲みながらちょこっと読書して大満足でした。今後も定期的に遊びにこようと心に決めて帰宅。

カップかわいい。次はバスクチーズケーキも食べたい。

カフェ『SUKE6 DINER』(東京都台東区)

住所:東京都台東区花川戸1-11-1
営業時間 8:00~18:00

食べログ

9月の出社前モーニングは浅草駅近くの『SUKE6 DINER(スケロクダイナー)』に行った。川の真横で立地良い。

ボトルのお水、サクッとしたパン、胡椒のきいたお肉と野菜の洒落てるプレートを食べて、ちょっといい女な気分になった朝でした。


以上、9月に出会ったものたちでした。

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