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昔の男~season3~孝史という男05

孝史は、話のセンスがいい人だった。常に読書をして、文章も書いていたし、作品作りもする。

いつもとても面白い知識で私を楽しませてくれる。年上だもんで当然かもしれないが、若かった私にはものすごく新鮮だった。

音楽や、映画、遊び、人間関係。色々を教わった気がする。偏見は強い人だったが。

そして、なにより、動物を可愛がる気持ちは、誰よりも強かった。動物が好きすぎて、お肉を一切口にしない。

孝史のそんな一面を尊敬すらしていたし、見習いたいとも思っていた。

ただ、動物たちには、物凄く優しい孝史だったが、私にはかなり厳しく、私のぽっちゃりは許してくれなかった。

当時の私は、小学生時代から、ぽっちゃり人生を送っていた。
当時160㎝、56kg、運動歴はあまりなし。陸上部ではほんの少しだけ人よりタイムを縮めたぐらいだった。

はじめは、それもセクシーで素敵だと、優しい言葉をくれた孝史だったが、
『俺の横に連れて歩く女にふさわしくなってくれ』
これが孝史の本音だった。

人の心を動かすのが上手な人なので、少しずつ、ダイエットしないといけないと言う気持ちに、私を誘導していった。

もちろん、ダイエットは女性の永遠のテーマであるので私も賛同し、努力すると約束した。

こうして、私のダイエットライフが始まった。

一番の思い出(?)は、2人で食事に行った時の事。
「美味しそう、一口ちょうだいっ」と、私がいつものノリでそう言った。

そしたら、そこから孝史のお説教タイムが始まる。

「痩せたいと誓ったとこやろう」
「だらしない女」
「その一言が体重を増やしてる」
「残さず食べようとするな、卑しい」

そんな言葉を、帰り道ずっと聞かされて、悔しい恥ずかしい気持ちを抑えながら、彼の家へと帰る。

泣きたかったし、消えたいほど恥ずかしかった。

ただ、その3か月後には、私は10㎏減には成功した。
物凄く悔しかったから、とてつもない努力をしましたもんで。

たまに、緩みそうになったら、またキツーイお説教してくれる人がいましたからね(笑)


今では感謝すらしている。あのモラハラのお陰で、スリムな体は手に入れた。

ただ、精神はかなり削られたが。

そういった意味ではなかなかハードなダイエットだったと、振り返れば、思う。





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