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君はおもちゃで遊ばない

かえるのガラガラ

クシャクシャと小気味いい音が鳴るタオル

いろんな飾りのついたプレイジム

押すと音楽が鳴る仕掛けがたくさんついた車

何を与えても、君は最初だけ興味を示すけれど、すぐに飽きてしまう。

もうすぐ一歳になる君は、まだ歩けもしないけれど、もう自分の「欲望」をよく知っている。


電車や車のなかで静かにしていてほしいとき。

買い物に付き合ってほしいとき。

ママはどうにか君の気を引こうといろんなおもちゃを手渡してみるのだけど。

君が欲するのはそういうものじゃない。

先の尖った鍵の束

とか、

熱々のコーヒーが入ったスタバのカップ

とか、

一般的に、最も不衛生なものとされる「お財布」

とか。

「ああ、はいはい、これがほしいのね」と、簡単には渡せないものばかり。

でも渡せないこちらの事情なんか知ったこっちゃないので、君はそれらを求めて叫ぶ。もはやそれ、悲鳴だね。


役所の手続きでどうにか静かに待っていてほしいときも。

たくさん持ってきた君のおもちゃはすべて床に落とし、

君が求めるのは

きれいに積み上げられた「健康保険のご案内」のチラシ

やめて、触らないで、お願い・・・

ズザザザザー(チラシが落ちる音)


銀行の窓口で君がどうしても手に取りたかったのは、

老眼鏡・・・


0歳だって、一人前の「人」。

こっちの思い通りになんて、いかない。

何が君のおもちゃかは、君が決める・・・のだね。


#子どもに教えられたこと

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