ワゴンに山積みされるブランドバッグを見て。

質流れのワゴンに山積みされているブランドバックを見ていると、涙が出るほどではないが、どこか心の中にぽかんと穴があいてしまったように悲しく感じる。


一度は誰かのものだった。誰かからたいそう可愛がられ愛情をそそがれ、自分の自慢の相棒のように周りに見せびらかしていた日々もあったろうに。

色褪せたり傷やへこみができた、単にこのバッグ自体に飽きたなど、様々な理由で百貨店のワゴンに流れ着いたバッグたちを見ていると、人間たちの自分勝手な態度に翻弄されているようで切なさすら感じる。

私の力でワゴンに無造作に山積みされているバッグをなんとかしたいと思っても全て買い占められるほどの財力は私にはないから、質流れのワゴンセールのアルバイト店員である私は、ちょっとでもバッグを大切に可愛がってくれそうな次なる持ち主へ届けるのみ。

何というか切ない。本当は手放したくなかったけどやむを得ない事情で持ち主の手から手放されたバッグもいるはず。

バッグ1つにも様々な人生模様が見えてくるような気がした。

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そんな現場で慣れない接客の仕事に苦戦している時、シュッとした若い男性に優しくされたりなんかしたら、思い出し笑いするぐらい嬉しくてふとした瞬間に何度も思い返してしまう。
嬉しいできごとの部分だけ切り取って脳内で何度も巻き戻しと再生を繰り返してばかり。舞い上がることしかできない自分がほんとうバカみたい(笑)
普段から若い男性にちやほやされていたら、カンタンにときめいてしまうことはなかろうに。

月日が過ぎると「そんなこともあったなあ」て軽く思い返すぐらいの感覚になるだろうな。

このアルバイトもすでに4日目に達していた。毎日長時間の立ち仕事で身体に疲れがたまっていた。ちょっとしたトキメキを感じたり、悲しくて切ない気持ちになったりと、感情の振れ幅が激しかったなと思い出す。

おのれの感情がいつもより繊細になっていた。どうやら心底疲れていたかもしれない。

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