詩 〈往 還〉
すぅーっと降りてったら
足がついた
その時から
すべての
生き物に
気を配った
濡れたり乾いたりする
きなりの膚を
彩る
赤や緑や黄色の
カビさえ
愛しかった
400年が経てば
美男美女も
あらゆる
余計な肉や皮を
そぎおとして
綺麗になる
髑髏の愛人に
優しく
袖を引かれ
口説かれるたびに
第七肋骨の疼く春が
今年も
もうすぐ訪れる
だが
この軟調はどうなのか
もうすぐ
交情を促す
赤い月も昇る
遥か三万年を下る
地層に眠る
硬骨魚たちの
鋭い歯の
並んだ口が
パクパクする
閻魔のように
豪快に
哄笑しながら
すうっと上がってったら
地上は もう
終わっていた
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