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詩 〈後朝 壱〉


まだ
乱れたままの
床の上で

先の御門に
召還された
未明

起き上がった
女と男の
その身体の先触れ

国学に
偏向する

明治の亀裂に
向かう

中心の穂先は
まだ柔く

ゆっくり
練り上げられていく
朝の白い粘りには

江戸の西端
かの大木戸を
囲繞する
みるく色の
霧を溶かし混む

虹色に
染まる

想い人との
逢瀬まで

吹き抜ける風と
歌う観覧車の
回る

黒々とした
影の下で
待つ

三日月の
かたぶく

21世紀の
とある日の
遅い午後まで

第三の男
として
待つ


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