〈聖夜の恋歌〉2022.12.24
ひむがしの
野はあま乞い
12月の
横浜の
空の下は
今宵も
月光に
照らされて
渇いている
凍った
切っ先のような
風の手が
柔らかい
君の肌を
撫でてゆく
やがて
銀河の夜の
端から
端まで
濃紺の
天鵞絨の
帳で被われる
満天に
無数の
星たちが
ちりばめられ
優しい
声で
さざめきあう
明日は
どこか
遠くの
海沿いの国境で
戦火が上がり
誰かの
うら若い
恋人が
倒れる
夕刻に
どこか
遠くの
広大な砂漠の
テントの
一隅で
牧童の
若い妻が
新しい
命を
優しい
そのかいなに
抱く朝が
くる
ひむがしの
野はあま恋
もうすぐ
われらの
聖夜(イブ)が
訪れる
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