詩【雨上がりに虹をかける】

失われた事柄や手放したであろうそう言った類の言葉を丁寧に刈り取っては三つ折りにして空へ放つ

空白のポストに際しては切手も必要はなくってやれ求められるのは並べられた文字の意思や意識なのだと知ったことでまた筆は進むも

書き続けていることで生まれたものがよもや色褪せることはあるまい寧ろ色褪せるでもなく輝いていたかどうかすら怪しくそれがそうで悲しい

それでもまた続けていくことにのみ価値を見出せるかもしれないという一掴みをまだ見出せない

謙虚が美徳になり得ない世の暗闇に身を置いたことその時のこともそう

何重にも切った十字は暗闇に燃え盛る
狂った角度によって重なり合った切られた十字跡は円になり終わりなき眠気すら誘わぬ念仏を唱えてはその円の間から仰ぎ見る毒のような海は暗く深く黒い

吐き出した言葉書き出した言葉とその音
それだけが繋ぎとめられる自らの意識というものがあるからやめないやめられないこの無作為に近いことを

何回でもやる
何回でもやり続ける
同じこと違うこと近いこと遠いこと
それはどう捉えられるのか知ったこっちゃないが1番わかっているのが自らなのだから恥ずかしい

それでも恥ずかしげもなく明け透けなものばかりが良いというのもおかしいとは思わないかい
はっきりとした色合いのものも確かに美しいかもしれないがそればかりで構成されていくのならば少し俺は疲れてもしまうよ

変わらずこんな毎日を過ごしつつだけれど一つ一つの痛みに無頓着なわけではないから多少なりとも気にかけはするしその発露としての選択を繰り返す

そう繰り返し繰り返し繰り返すことで生み出せるかもしれないことにこの気持ちをかけるのだよ

かつて雨上がりの芝生の上にすら左足で虹を描いた男がいたけれどそう言ったことと同じようなことを言いたいんだが不完全なものほど愛おしく愛でたいとも思うその気持ちを忘れないでいきたいよいける限り許される限り

まだ今年に入り新しくなれない言葉思い意思意識があるのを知っている
畑を耕すのに時間や知恵や運までもが必要なことは誰もが知っているが理解してもわかれないこともあるからそれはそのままにしていてもいいしほんの少しだけ何かに委ねても良いかもしれない誰も許してくれるし自分でも許すべきだよ

またこうして文字を手繰りながら夜を徘徊する
いつもそう そうやってやってきた
ここではそうしたことがそうすることが正解なのだと信じている世界を生きている生きられている人がまさにここにいるけど
さあどうだろう俺は幸せの一端を掴みすぎているのかもしれないと思うことがまた酷い搦手へと過去へとあの暗く深く黒い海へと誘うのだろうか

雨上がりに虹をかけられるのだろうか
いや かけてみせるよ

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