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短編小説 「眠れない私…」


夜空の下で、私、まなみは、寝付けない時間を溶かしていく。いつものように、私の部屋の中は静かだ。ただ、古びたラジオから流れ出る声だけが部屋に静かに響いている。


時間は深夜2時をすぎていた。ほとんどの人々が眠りについて、街は静寂に包まれていた。でも、私は、眠れない。どうしても眠れない。だから、深夜のラジオを聴いて、時間を過ごすことにしている。 


ラジオから流れる声は、柔らかで温かい。深夜のラジオのパーソナリティ、彼の声は、孤独な夜を少しだけ和らげてくれる。彼の語る話は、時には面白くて、時には深い。でも、それが何であれ、私にとっては、夜の友だ。


ラジオを聴きながら、私は思う。このラジオの声が届いている先には、きっと同じように眠れない他の人々がいるんだろうなと。私と同じように、夜空を見上げている人。一人ぼっちで、眠れない夜を過ごしている人。そんな人たちと、私は深夜のラジオを通じて繋がっているのかもしれない。


そんな風に考えると、夜が少し寂しくなく感じる。ラジオから流れる声は、何かを教えてくれるような、そんな気がする。それは、一人ぼっちではないということ。どれだけ遠くにいても、同じ空の下にいる人たちと、深夜のラジオを通じて繋がっているということ。


だから、私はラジオを聴きながら、夜を過ごす。眠れない夜を、ラジオの声と共に。夜が明けるまで、私の部屋には、ラジオから流れる声と、夜空の星々だけがある。それが、私の夜の時間。



時間を割いてくれて、ありがとうございました。

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眠れない夜に

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